1 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:07:55 BI3oos0c 1/50

「こんな日に限って、なぁ」

「そ、そうだよね」

「よりにもよって、お互いの両親が旅行に出かけてる日に」

「台風直撃なんて、なぁ?」

「見事に直撃だねぇ」

元スレ
男「台風だなぁ」幼馴染「そ、そうだね」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1340197675/

2 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:08:41 BI3oos0c 2/50

「…飛行機、明日も全便欠航だって」

「まぁ、オヤジ達の事だ」

「旅行が一日延びたーとか言ってそう」

「ふふ。そうだね、言ってるかもね」

「あ、台風速報!」

「…今、暴風域に入ったって」

「今まで入ってなかったのかよ!って位、外、風つえぇ!」

3 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:09:23 BI3oos0c 3/50

「こりゃ、今夜は停電するかもなー」

「えー」

「こればっかりは、どうにもならないさ」

「…えー」

「…」

「…お」

「ん?」

「お、男が怖いって言うんなら…」

「と、泊まっていってあげてもいいんだけど?」

4 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:10:03 BI3oos0c 4/50

「ぷふっ」

「な、何よ?」

「怖いのは幼の方だろ?」

「ち、違うわよっ!」

「高校生にもなって、台風が怖いんだろー?」

「違うっ!別にこんなの、大雨と変わらないじゃないっ」

「わかったわかった」

「わかってない!私は怖くなんてないんだからねっ?」

5 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:10:42 BI3oos0c 5/50

「もう、外はかなり風も強いし」

「隣とは言え、一人で歩かせるのも怖いしな」

「そ、そうよね。何が飛んでくるか、わからないもんね」

「それに、俺も停電は怖い!」

「!」

「だから、幼さん。今日ウチに泊まっていってください」

6 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:11:21 BI3oos0c 6/50

「ま、まったく!し、仕方ないわねー」

「男はいつまでたっても子供なんだから!」

「私が善人で良かったわね、男!」

「…本当に、なぁ」

8 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:11:58 BI3oos0c 7/50

「あー、泊まるんなら、先に風呂入ってこいよ、幼」

「えっ?」

「ウチ、オール電化だから、停電したらお風呂入れないぞ」

「そ、そうだよね。まぁウチもそうだけど」

「あ!でも着替え!着替えがないか…」

9 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:12:41 BI3oos0c 8/50

「あ!あの…実は…」

「ん?何?」

「おばさんの部屋に、私の着替えが…あるのよ」

「は?」

11 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:13:13 BI3oos0c 9/50

「ウチのお母さんと、おばさんから言われてね?」

「…何を?」

「いざ!って時の為に、着替えを置いておけって」

「へぇ…準備が役に立って良かったな、幼」

「う、うん。あはは。転ばぬ先の杖だよねっ」

12 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:13:52 BI3oos0c 10/50

「…ふぅ。台風サマサマーだなぁ」

「まさかこんな展開になるなんてね…」

「…でも、これはチャンスですよ、チャンス」

「18年間、進展の無かった私達への…」

「天からの応援メッセージですよっ」

「はー、しかし良い湯だなぁ」

13 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:14:27 BI3oos0c 11/50

「…」

「セッガール拳法、だーいさーくれーつ♪」

「ラッスボスーさえも一瞬だー♪」

「『でも、ラブロマンスだけは勘弁な!』」

「セッガール、セッガール!無敵のセガール!」

「セガーーーーール、音頭っ♪」

14 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:15:02 BI3oos0c 12/50

「おーーーい、幼ーーーーっ」

「ひゃ!な、なにっ?おとこっ?」

「この後、俺も入るんだから、なるべく早くなー」

「あ、わかったわよっ」

「あと、タオル、ここに置いておくからなー」

「あ、ありがと、男」

15 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:15:32 BI3oos0c 13/50

「…」

「…さっきの、聞かれてないわよね?」

「っていうか、ちょろっと覗きに来るくらいしなさいよっ」

「いっつでも大丈夫なように、ピッカピカに磨いてるんだけどなぁ…」

「…はぁ、そろそろ上がろっ」

16 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:16:27 BI3oos0c 14/50




「やべー」

「幼の脱ぎたての下着とか、ヤバすぎるだろ」

「洗濯カゴじゃなくて、洗濯機に入れとけってんだ…」

「可愛いの履いてるんだなぁ…」

「変な歌、歌ってたな」

「幼、セガールが好きなのか。初めて知ったこの事実」

「ま、俺も大好きなんだけど」

17 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:16:56 BI3oos0c 15/50

「ふいー。先にお風呂頂きましたー」

「はいよ、麦茶」

「あ、ありがとう、気がきくねぇ、男」

「褒めてもアイスくらいしか出ねぇよ」

「え?アイス出るの?やったー!」

「冷凍庫に入ってるから、好きなの一つ食べてろよ」

「次、俺、風呂入ってくっから」

「はいはーい」

18 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:17:28 BI3oos0c 16/50

「…さっきまでここに、全裸の幼が…」

「これは意識せざるを得ない!」

「いつものウチの風呂なのに…」

「心無しか、いい匂いがするような気がする不思議!」

「それにこのお湯…」

「信じられるか?さっきまで幼が入ってたんだぜ?」

「やっべー。俺のテンション超やべー!」

19 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:18:13 BI3oos0c 17/50




「…ふぅ。良い湯だった」

「あ、男。待ってたんだよー」

「ん?どうした?何を待ってたんだ?」

「アイス、一緒に食べようと思ってね」ニコ

「…俺のライフポイントはゼロだ!」

「もう止めたげてー」

「かわいそうやわー」

20 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:18:51 BI3oos0c 18/50

「どうしたの、男。何をぶつぶつ言ってるの?」

「…何でもない。アイス食べるか!」

「おー!私、オレンジシャーベットね!」

「幼、それ好きだもんな」

「男は、レモンシャーベット…でしょ?」

「な、なぜバレた!まさか超能力?」

「ふふっ。付き合い長いですからねー」

「さ、食べよう!」

21 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:19:39 BI3oos0c 19/50




「ゴミ箱に捨ててきたー」

「ありがと、幼」

「さて。ご飯も済んだし、お風呂も入ったし、アイスも食べた」

「うん」

「…あとは…?」

「テレビテレビっと」

22 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:20:17 BI3oos0c 20/50

「えー。何かお話しとかしようよー」

「いや、台風情報見ようかと思ってさ」

「なるほど!地デジバンザイだよね!」

「データボタン、ポチっとな」

「…」

「…ねぇ、これって」

「あぁ、これって直撃コースだなぁ」

「しかも、この台風、おっそいな!」

25 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:21:33 BI3oos0c 21/50

「ね、これ、明日学校休みかな?」

「まぁそうなるだろうなー」

「電車も止まるだろうし」

「何か、テンションが変な方向に!!」

「おいおい。もうそろそろ寝る時間だぞ?」

「えー。もうちょっと起きてようよー」

「…ま、たまには良いか」

26 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:22:15 BI3oos0c 22/50

「やった!何する?何する?」

「DVDでも見る?」

「えー?DVD?何の?」

「沈黙の聖戦」

「!」

27 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:22:47 BI3oos0c 23/50

「はぁ…セガール、超カッコよかった!」

「超カッコイイよな。男の中の男だぜ!」

「無敵って言葉はセガールの為にある言葉だよねっ」

「完全に同意する!セガールこそ、無敵の男だ!」

「ふふっ」

「ははっ」

28 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:23:23 BI3oos0c 24/50

「あー、もう本当にそろそろ寝ないとな」

「明日…っていうか、もう日付的には今日だけど」

「もし学校だったら、完全アウトだな」

「その時はその時だよ!一緒に遅刻しよう!」

「そうだな、ははは」

「…それじゃ、そろそろ、ね、寝る?」

「ん。寝るか!」

29 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:23:55 BI3oos0c 25/50

「客間に布団敷くから…」

「えっ?」

「えっ?」

「…」

「…幼さん?」

「やだ!」

「え?」

30 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:24:43 BI3oos0c 26/50

「停電怖いし!一人で寝るのやだ!」

「えー。そこはちょっと我慢してもらわないとー」

「男の部屋で布団敷いて寝る!」

「えー。それはちょっとー」

「何よ、何か問題あるの?」

「そりゃ、あるだろ」

31 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:25:45 BI3oos0c 27/50

「何?私の事、そういう目で見るって言うの?」

「このダイナマイトボディを目の前に、ケダモノになっちゃう?」

「アホか。小学生みたいな体型のくせに。何がダイナマイトだ」

「その事実、今は聞きたくなかった!」

「…でもまぁ、停電したら不便だし」

「俺の部屋で寝るか」

「…うんっ」

32 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:26:17 BI3oos0c 28/50





(我慢っ!我慢っ!)

(男、来るかな?来るかな?)

33 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:26:52 BI3oos0c 29/50

「さぁ、布団敷いたぞ」

「ありがと、男」

「それじゃ、寝るか!」

「う、うん。あ、豆球だけは付けておいてね」

「あいよー。それじゃお休み、幼」

「おやすみ、男」

34 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:28:17 BI3oos0c 30/50




「…」

「…男、起きてる?」

「…」

「…せが~る、アクションっ!」

「ぷっ」

「やっぱり起きてたんだね、男」

35 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:29:59 BI3oos0c 31/50

「急に変な事言うなよ、幼」

「ちょっとお話ししようよー」

「全然眠れないー」

「まぁ、俺も風の音がうるさくて眠れないから、良いけど」

「何の話しするー?」

「んー。そういえば、私、来月誕生日だよー?」

「そだね。ちゃんと覚えてるよ」

36 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:30:36 BI3oos0c 32/50

「何か欲しい物とかある?」

「えー。そこは察してよー」

「誕生日当日にサプライズでしょ?」

「そうは言ってもなぁ」

「幼、欲しいものは大体自分で買うじゃん」

「まぁねぇ」

37 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:31:33 BI3oos0c 33/50

「俺からセンス悪いカバンとかもらっても、扱いに困るだろ?」

「それもそうね」

「去年は…手帳をプレゼントしたんだよな」

「良い手帳をありがとうございました」

「あれも、幼が手帳買おうかなーって言ってたから、先に買えたんだ」

「今年はどうする?」

38 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:32:28 BI3oos0c 34/50

「うーん。正直、欲しいもの、一つあるんだけどなー」

「お?何?俺が買えそうな物?」

「さすがに船一隻とか言われたら困るけどな」

「うーん、値段はつけられないものだよー」

「ズバリ!プライスレス!」

「むー?なぞなぞ?」

「なぞなぞじゃないけどね」

39 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:33:13 BI3oos0c 35/50

「なんだよ、もったいぶらずに、言えよ」

「その…私、18歳になるんだよ?」

「あぁ、18歳だなぁ」

「…」

「…」

「…」

40 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:34:09 BI3oos0c 36/50

「…何?永遠の17歳が欲しいとか、そう言うの?」

「違うよバカっ!」

「なんだよ、怒鳴るなよ」

「わからない?」

「…まぁ一つだけ、心当たりがあるっちゃあ、あるな」

「マジで!?」

41 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:34:48 BI3oos0c 37/50

「正解かどうかは、半々くらいだけどな」

「…さてどうでしょう」

「答え合わせは、来月の幼の誕生日で良いかな?」

「…今日、でも良いよ?」

「幼…」

「男…」


バツンっ

42 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:35:39 BI3oos0c 38/50

「きゃあああああああああ!停電だぁぁぁぁぁ!」

「暗い!怖い!きゃあああああああ!」

「お、落ち着け、幼!暴れるな!」

「男!どこ!?どこっ!?」

「携帯のライトで…」

「うわぁぁぁぁん」
ゴトッ

43 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:36:27 BI3oos0c 39/50

「あ、携帯床に落ちたか…」

「男ぉ…どこー…うわぁぁぁぁん」

「幼、落ち着け!俺はこっちだ!」

「男っ」
ゴンッ!

「」バタッ

「いたっ!」

「頭打った…痛い…クラクラする…」バタッ

44 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:37:09 BI3oos0c 40/50

「…朝か」

「いや、周囲が暗いだけで、もう昼前だ」

「むにゃむにゃ…」

「…まさか、頭突き食らって気絶とはな」

「昭和のラブコメか!」

「…男、うるさいぃ」

「おい、起きろ、幼。もう昼だぞ?」

45 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:38:07 BI3oos0c 41/50

「んんー?なにがー?」

「いい加減、俺のベットから出ろよ、幼」

「あとちょっと良いじゃんかぁ…」

「たんじょうびだしぃ…」

「お前の18の誕生日は来月だ、バカモノ!」
ビシッ!

46 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:38:44 BI3oos0c 42/50

「あいたっ!」

「…おはよう、幼」

「…おはよう、男」

「…」

「!!!!!」

「な、な、なんで男が私の部屋に居るのよっ!」

「落ち着け、周りをよく見ろ」

47 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:39:41 BI3oos0c 43/50

「あれ?ここ、男の部屋?」

「そうだ。その通り!」

「あっ!そうか、昨日泊まったんだ…」

「良かった、記憶喪失とかじゃなくて」

「ねぇ」

「ん?」

48 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:40:17 BI3oos0c 44/50

「…答え合わせ、してないわよね?」

「してないなぁ」

「来月、楽しみにしてるからね?」

「俺もだよ、幼」

49 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:40:42 BI3oos0c 45/50

「さて、電気は復旧してるかな?」

「…」

「停電、復旧してないな」

「あ!やばい!」

「な、何が?」

50 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:41:18 BI3oos0c 46/50

「冷蔵庫の中身が!」

「!」

「急げ、幼!食べ物を…食べ物を救うんだ!」

「了解っ!」
バタバタ

「少なくともアイスだけは…溶ける前に食べるんだ!」
バタバタ

51 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:41:58 BI3oos0c 47/50

1ヶ月後
「台風だなぁ」

「そ、そうだね」

「今年は台風の当たり年だなぁ」

「本当にね」

「しかもオヤジ達がそろって出張中になぁ」

52 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:42:35 BI3oos0c 48/50

「あの4人、何か持ってるよねー」

「ははは、嵐を呼ぶ力とか?」

「ふふっ。そんな感じっ」

「風、強くなってきたなぁ」

「せっかくの幼の誕生日なのになぁ」

「そ、そうだねぇ」

53 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:43:34 BI3oos0c 49/50

「こんな強風の中、幼を外に放り出す訳には…いかないよなぁ」

「そ、そうね。わかってるじゃない、男」

「夜中に停電したら、怖いしなぁ」

「て、停電は怖いし、困るわよね」

54 : 以下、名無しが深夜にお送りします... - 2012/06/20 22:44:14 BI3oos0c 50/50

「そんな訳で、幼、今日ウチに泊まっていってよ」

「し、仕方ないわねぇ、男は」

「ヘタレですみませんねぇ」




男・幼(こ、今夜こそは…)



おわり

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