―ニビシティ―
ポケモンセンターに辿り着いたころには、日はすっかり傾いていた。
道中で使い切ってしまった薬などは明日買うことにして、二人は今日は思いっきり布団で眠ることにしていた。
していたのだが……
ほむら「!」
さやか「あれ?」
まどか「ほむらちゃん…?」
ポケモンセンターから出てきたほむらとアブソルにばったり再会してしまった。
さやか「なんでこんなとこにいんの?学校は?」
ほむら「……別に。学校が終わってからすぐにこっちに来ただけよ」
まどか「電車で?」
ほむら「まさか。ぐる…ウォーグルに乗ってきたのよ」ファサ
さやか「いいなぁ、あたしらも空飛べるポケモン欲しいよねぇ。そしたらこんな山越えなくても済んだのにさ」
まどか「ほむらちゃんはどうしてニビシティに?何か急ぎの用事でもあったの?」
ほむら「……用ってわけでもないわ、ジムバッジを取りに来ただけよ」
さやか「え!?あんたもリーグ目指すの!?」
※管理人注記
このスレは未完結スレです。作者さんがBW2プレイ中みたいです。
完結したら続きをまとめたいと思います。
元スレ
QB「僕と契約してポケモン図鑑所有者になってよ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1331539059/
ほむら「えぇ、悪いかしら?」
さやか「いや、そういうわけじゃないけど……まあ、あんだけ強かったら結構いいとこまでいくかもしれないしね」
ほむら「ちなみにもう取ったわ」パカッ
まどか「もう!?だって、学校が終わってまだ二時間も経ってないのに……」
ほむら「……飛んでくれば来るのに一時間もかからないし、ジムリーダーもすぐに倒すことができたもの」
さやか「だからって早すぎでしょ…まーた、嫌味な感じになっちゃってまぁ……」
ほむら「それよりどう?ここで一勝負やってみない?」スッ
まどさや「!」
ほむら「もう少しめが……チコリータのレベルを上げておきたいの。お互い一匹ずつなら文句もないでしょう?」
さやか「……いいよ、その勝負乗った!」
まどか「私も!」
ほむら「え?」
さやか「当然!あたしら三人、図鑑所有者初心者同士、やらないわけにはいかないよね!」
まどか「売られた喧嘩は買うしかない、ってね!あ、でもその前に、回復しないとね」
ほむら「……いいわよ、幸いポケモンセンターもここにあることだし、どちらからでも掛かってきなさい」
ポケモン達を回復したあと、三人はポケモン達を引き連れオツキミ山方面の街外れまでやって来た。
ほむら「それで、どっちからやるのかしら」
さやか「三人いっぺんってのはどう?」
まどか「いっぺん?」
ほむら「どういう意味よ」
さやか「所謂ほら、バトルロワイヤル的な感じでさ。ちょうどタイプ的には三つ巴状態なんだし、おもしろそうじゃない?」
まどか「へぇー、なんか楽しそうかも!」
ほむら「ちょっと、そんなルールないでしょ」
さやか「おやーん?転校生さんは自分が戦ったことないルールじゃ嫌嫌~、って言っちゃうのかな~?
トレーナーたるもの、いかなる状況においても戦えるようにしておくべきではなかろうか!」
ほむら「……そんな挑発に乗るのは癪だけど、分かったわ。時間もないからなんでもいいわよ」
さやか「じゃあ決まりだね!」
転校生の ほむらが 勝負をしかけてきた!
http://www.youtube.com/watch?v=edwwBzWEKSI&feature=related
さやか「行って来いミジュか!」 ミジュマル「ミジュジュ」
まどか「チャモっち頑張って!」 アチャモ「チャッチャー!」
ほむら「……」
まどか「……ほむらちゃん?」
ほむら「めがめが」ボソッ チコリータ「チコッ!」
まどか「あれ?ほむらちゃん、今のって――」
ほむら「"はっぱカッター"」
開幕一番、放たれた葉っぱカッターがいきなり二匹を襲う。
ミジュマルは見切り、アチャモは燃やしてうまく防御に成功した。
さやか「おいこらー!いきなり何すんだー!!」
ほむら「油断している方が悪いのよ。ミジュマルに"つるのムチ"」
さやか「断ち切れ"れんぞくぎり"だー!」
伸びたつるを一太刀一太刀切り刻み、チコリータに向かって前進していく。
切りつけるたびに威力の上がる連続切りは、距離を詰めたころにはすでに威力は最大限にまで高まっていた。
さやか「ラストの"れんぞくぎり"だー!」
ほむら「"まもる"」
最後の一撃は、あっさりと防御されてしまった。
さやか「ありゃ!?なんの――」
まどか「"ほのおのうず"だよ!」
さやほむ「!?」
混戦中の二匹に炎の渦が炸裂し、二匹とも渦の中に閉じ込められてしまった。
さやか「おのれー漁夫の利を狙うとは卑怯なり!ミジュか火を消すんだ!!」
水がミジュマルから溢れだし、なんとか火が消えた。
その渦が消えた瞬間を狙い、アチャモは飛び上がって攻撃の姿勢に入っていた。
まどか「そのまま"つつく"!」
ほむら「"まもる"!そのまま距離をとって!」
攻撃が届く寸前にアチャモを弾き返し、チコリータはさっと後ろに下がった。
ミジュマルはアチャモが攻撃できずに怯んだ所を、すかさずシェルブレードで追撃!
アチャモは吹き飛ばされ、三匹は再び均衡状態に戻った。
まどか「惜しかったのに…チャモっち、まだまだこれからだよ!」
さやか「危ない危ない…サンキュー、助かったよ転校生!」
ほむら「偶然に決まってるじゃない。勘違いしないでほしいんだけど、あなたも敵なのよ」
さやか「分かってるっての!」
まどほむ「それにしても……」
まどか(ほむらちゃんのチコリータ…めがめがちゃん?は相性で有利。でも、さやかちゃんのミジュかは前に戦った時よりもずっと強くなってるし、
弱点を突かれちゃうから一筋縄じゃいかない……だったらミジュかを――)
ほむら(ミジュマルはどうにかできる…先に倒すべきはまどかのアチャモね。まずはアチャモを――)
まどほむ(先に倒さなきゃ…!!)
さやか「よーし!あたしはめがめがを先に倒す!!覚悟しろい!」ビッ
ほむら「なっ!?」
まどか(ほむらちゃんが怯んだ…!?だったら、いきなり作戦変更!)
まどか「チャモっち、めがめがに"つつく"!」
ほむら「まどかまで!?」
さやか「"つばめがえし"だー!!」
アチャモとミジュマルが左右から、つまり、挟み撃ちの形で同時にチコリータに襲いかかった。
チコリータは逃れられないことを悟り、覚悟を決めた。
ほむら「くっ…!」
二匹の攻撃が炸裂する。
まどか「……」
さやか「……」ゴクリ
ほむら「……」
倒れたのは、アチャモとチコリータだった。
まどか「"カウンター"かぁ…まさかチャモっちを狙われるなんて……」
ほむら「しくじったわね、思ったよりアチャモからのダメージが蓄積されてたみたいだわ」
さやか「と、いうことは……あたしの勝ち!?」
ほむら「少し屈辱ね」
まどか「さやかちゃんとはこれで一勝一敗かぁ」
さやか「~~っしゃーー!!!勝ったぞミジュかー!いえーい!!!」
さやかの歓喜の声が響き渡った時、三匹のポケモンは突如光を帯び始めた。
さやか「りゃ?」
まどか「こ、これって……」
ほむら「いいタイミングだわ」
拮抗した力を持つ物同士、互いに全力で戦いあった三匹は、同じタイミングで進化を始めたのだった。
ワカシャモ「シャッシャ!」 フタチマル「フム……」 ベイリーフ「ベイ~」
まどか「チャモっちが進化した!」
さやか「おぉ、ミジュかもより一層逞しくなったね!」
まどか「えぇっと……ワカシャモっていうんだ…カッコよくなったねチャモっち!とっても男の子らしいよ!」
さやか「フタチマルかぁ。今まで通りミジュかって呼んでいいよね?」
ほむら「……お疲れ様」シュゥゥン
さやか「あれ、何処行くの?」
ほむら「ポケモンセンターに帰るだけよ」
さやか「なんだよー、せっかく進化したんだからもうちょっと嬉しそうにすればいいのに」
ほむら「ポケモンの進化は何度も目にしてきたもの、別に驚きはしないわ」ファサァ
さやか「ホントは嬉しいくせに……」
ほむら「……」フイッ
まどか「暗くなってきたね……そういえばほむらちゃん、家に帰らなくていいの?お家の人心配してるんじゃない?」
ほむら「言ってなかったかしら?私は今一人暮らしよ。親はカントー地方のヤマブキシティで働いてるわ」
さやか「そうだっけ?じゃあ今日はそっちに泊まりに行ったりするの?」
ほむら「いえ、まだ帰らないわ。ここでやることも残っているし……ミタキハラに帰るのは明日の朝ね」
さやか「忙しい奴だなぁ」
ほむら「そういう訳だから、私は先に行かせて貰うわよ」クルッ
まどか「あ、ねえほむらちゃん……って、もう行っちゃった…良かったら一緒に晩御飯食べようって誘おうと思ったのに」
さやか「足速いな~……そういや、こないだの誘拐事件のことはちゃんと言ったの?」
まどか「うん、ちゃんとメールで教えたよ」
さやか「あいつも強いから狙われたりしたら危ないもんね」
まどか「……そう、だね」
二人がポケモンセンターに戻ってみると、そこにほむらはいなかった。
ジョーイさんに聞いたところ、少し前に出掛けてしまったらしい。
ほむらと一緒に食事を摂ることは諦め、仕方なくセンター内のレストランを利用することにした。
ジョーイ「あ、待って!あなた達はニビシティは初めてなのよね?だったらとってもラッキーよ!」 ラッキー「ラキラッキー」
さやか「はぁ…ラッキーが何か…?」
ジョーイ「今日は満月なのよ!オツキミ山でピッピ達の舞が見られるわ!」
まどか「ピッピ達の舞、ですか?」
話によると、オツキミ山では満月の夜にだけ、ピッピ達が集まり舞を見せてくれることがあるそうだ。
もっとも、最近は人が増え始め、徐々にその姿を見かけることが無くなって来たようなのだが。
ジョーイ「こっそり探してみたら、踊ってるところが見られるかもしれないわよ」
―ポケセン内レストラン―
まどか「ピッピ達の舞かあ……ピピっちって、オツキミ山が故郷なんだっけ?」
ピッピ「ピィ?」
まどか「違うのかな……でも、せっかくだから見てみたいよねぇ」
さやか「せっかく珍しいもの見れるってのは嬉しいけど、あたしはパスするわ」
まどか「えぇ!?なんで?一緒に見に行こうよ!」
さやか「ごめん、今日は山登ったり下ったりフラすけの面倒見たり街を歩いたりバトルしたり……もうクタクタだよ」
まどか「フラすけって、もしかしてあのナックラー?」
さやか「ん、そうそう。乙女に噛みつく不埒な奴だからフラすけ。あと少し見た目がフラスコっぽいからフラすけ
それから意外とフラフラしてるからフラすけ。さらにフランダースの――」
まどか「も、もう分かったよ……」
夕食後二人は部屋へと戻り、さやかは入浴などを終えると真っ先にベッドに入ってしまった。
結局まどかは悩んだものの、旅の思い出ということで一人でオツキミ山を目指したのだった。
幸いにも、観光客などがちらほらと見受けられたため、道中は思いの外賑やかである。
まどか(でも、こんなに人が一杯いたらピッピ達出てきてくれないんじゃないかな……)
入口付近で係員らしき人間が注意を呼び掛けていた。
洞窟の中では静かにすること、必要以上の明かりを付けないこと、舞を見ている最中もとにかく静かにすること。
入る前から既に、まどかはもう、今日は見られないのではないかと不安になっていた。
―オツキミ山―
中は案内用の電球が並んでいる以外、明りは一切なかった。
人の声に混じり、遠くからはズバットやイシツブテの鳴き声が微かに聞こえてくる。
初めて訪れた人間にとっては、不気味な印象しか残らないだろう。
まどか(こ、怖い……でも、明りは点けじゃ駄目だっていうからチャモっちに頼めないし……)
ピッピ「ピッピピー!」ピョンピョン
\見てーピッピだよ/ \ここのピッピかな?/ \あの子のポケモンじゃない?/
まどか「もう、ピピっちったらはしゃいじゃって……」ティヒヒ
ほむら「まど――」ポンッ
まどか「ひぃやぁ!?!?」ビクッ
\どうしたのあの子/ \大声出すなって言ってるのに……/ \なんだってんだよー/
まどか「す、すいません……」ペコペコ
ほむら「ごめんなさい、まさかそんなに驚かれるとは思わなかったから」
まどか「だ、だって、いきなり後ろから肩叩かれたら誰だってびっくりするよ……って、ほむらちゃんどうしてここに?
あ、ほむらちゃんもピッピ達の踊りを見に来たの?」
ほむら「そうとも言えるわね。別に踊りが目的ではないけれど」
まどか「?」
まどか「でも、ほむらちゃんが来てくれてよかったー。私一人だったら心細かったもん」
ほむら「……?」
まどか「あの、つまりね……一緒にいてくれると嬉しいんだけど……」
ほむら「それくらい構わないけれど…ひょっとして怖いの?」
まどか「こんなに暗いとは思わなくって……」
ほむら「……ふふ」
まどか「笑わないでよぉ~」
ほむら「ごめんなさい、つい……」
まどか「うぅー……」
ほむら「いいわ、一緒に行きましょう」
まどか「ありがとうほむらちゃん!」
案内に従い、二人とポケモン達はピッピ達の舞が見られるという広場までやってきた。
そこは洞窟でありながら上部に大きな穴が開いており、空から月光が差し込んでいるおかげでとても明るい。
広場入口の反対側の高いところには大きな岩が突出しており、中央には小さな泉が湧いている。
周りのちょっとした高台の様な場所には既に何人かの観光客が座っており、じっと黙ってその時を待っていた。
まどか達も場所を見つけ、静かに座った。
まどか「ピピっち、嬉しいのは分かるけど静かにしてなきゃ駄目だよ?」
ピッピ「ピィ……」シュン
ほむら「始まったら一緒に踊らせてあげたら?その方が喜ぶんじゃない?」
まどか「そんなことしても大丈夫かな…?」
ほむら「平気よ。そういうことをしてる人もいるみたいだもの」
まどか「へぇー、ほむらちゃん詳しいんだね」
ほむら「っ!……が、ガイドブックに書いてあったの……」
まどか「そうなんだ!いつの間にそんな――」
ほむら「しっ!来たわよ」
まどか「……わぁ…!!!」
泉に映った月を囲み、ピッピ達の舞が始まった。
ふわふわと浮かび、くるくると回り、飛ぶようなスキップで泉を回る。
柔らかな光に包まれたピッピ達が心地よく歌い踊っている。
時に激しく、時にゆったり、規則正しく、思い思いに。
見ている人を虜にしながら不思議な踊りは続いていく。
どれくらいの時間が経ったのか、ピッピ達はピタリと動きを止めていた。
まどか「……終わり…?」
ピッピ達はその翼に月光を集め、ふわふわと空中に浮かび上空を目指す。
一匹、また一匹と、大きな岩に触れていく。
触れた瞬間、ピッピ達は光に包まれた。
まどか「あの光って、もしかして……」
ほむら「ピッピは月の石で進化するポケモン…あれは巨大な月の石のようね」
ピッピはピクシーへと姿を変え、みんな揃って山の奥へと消えていった。
まどか「ほぁ~……凄かったねチャモっち、ピピっち……ピピっち?」
一匹を除いて。
ピクシー「ピクッピー!」
まどか「……も、もしかして、ピピっち…?」
ピクシー「ピッ!」グッ
ほむら「さっき踊りの最中に混ざってたわよ。そのまま岩に触れてたけど、気付いてなかった?」
まどか「見惚れてたからつい……いつの間にか進化しちゃったんだね、ピピっち」
客達はうっとりとした表情でその場を次々に離れていった。
やがて、まどかとほむらを残して広場は再び静寂に包まれた。
まどか「ほむらちゃん帰らないの?」
ほむら「ここからが私の用事なのよ」
さっと高台から広場に飛び降りると、ほむらはギギアルをボールから出し、影になっている岩壁をガツガツ掘り始めた。
ほむら「静かにね。そのまま"いわくだき"を続けて」
まどか「ほ、ほむらちゃーん!何してるのー!?」
少し遠くからまどかが呼びかける。
ほむらは黙ってアブソルを行かせた。
アブソル「……」スッ
まどか「えっと、乗っていいのかな?」
アブソル「……」コクリ
まどか「じゃあ、お邪魔しまーす」ソッ
まどかに加え、進化して重くなったワカシャモとピクシーを乗せても、アブソルは軽々と跳んでほむらの元へと運んだ。
そこでそっとまどか達を降ろし、再びほむらにすり寄っていった。
まどか「ありがと、そるそる」
ほむら「っ!?……まどか、どこでそれを…?」
まどか「どこって、こないだほむらちゃんが呼んでたよね?チコリータ…じゃなくって、ベイリーフのこともめがめがって」
ほむら「……」カァァ
まどか(ちょっと暗くてよく見えないけど、ひょっとして照れてるのかな?)
ほむら「……へ」
まどか「へ?」
ほむら「変じゃ、ないよね…?」
まどか「ニックネームのこと?全然そんなことないよ、可愛くっていいと思う!」
ほむら「そ、そうかな……」
まどか「うん!他の子にもニックネーム付けてるんだよね?えっと、ギギアルとウォーグルと、ランプラーだっけ?」
ほむら「えっと……」
ふと音が止み、ギギアルが黙ってほむらを見つめていた。
どうやら目的のものが見つかったらしい。
ほむら「あら、もう出たのね?流石、『ニビははいいろ いしのまち』とはよく言ったものだわ。お疲れ様……」
まどか「……」ジー
ほむら「ぎ、ぎあぎあ、ありがとう」ナデナデ
その表情は変わらないが、少し嬉しそうに上下に揺れた。
まどか「喜んでるみたいだね」ティヒヒ
ほむら「そうね」
まどか「ニックネームを呼ぶのってそんなに恥ずかしいかな?みんな普通に呼んでるのに」
ほむら「そうかもしれないけど、私はポケモンと出会ってまだ半年ほどしか経ってないから……」
まどか「そっかー、この子達とはまだそれだけの付き合いなんだね……それならちょっと分かるかも。私も最初は全然慣れなかったもん」
ほむら「……えぇ、そういうことなの」
まどか「ところで、それ何?」
ほむら「闇の石よ。暗い洞窟の奥なんかで見つかるらしいちょっと珍しいものなの
ここはあの岩の影なことに加えて、岩からのエネルギーの影響を受ける場所でもあるから、こういう物が獲れやすいの」
まどか「聞いたことあるかも…それを取りにわざわざニビシティに?」
ほむら「えぇ。グンマー地方には見当たらなかった……らしいから」
まどか「そうなんだ、あのグンマーにもないものがあるんだね」
ギギアル「ギギギ」ツンツン
ほむら「…?どうしたのぎあぎあ?」
ギギアルは掘り出した場所を見つめ直している。
どうやらまだ何かあるらしい。
ほむら(これは……思わぬ副産物といったところね。ちょっと珍しいけど私には必要ないし……売ろうかしら)
まどか「何かあったの?」
ほむら「いえ、何でもないわ……さ、もう夜も更けてきたことだしそろそろ帰りましょう」
まどか「そうだね」
二人とポケモン達は、ゆっくり並んで歩きながら山を後にした。
初めて会った時とは違い、今は二人ともすんなりと話すことができた。
しかし、ほむらが時々何か引っかかるように言葉に詰まることに、まどかは気付いていた。
まどかは意を決して口を開いた。
まどか「ねえほむらちゃん、聞いてもいいかな?」
ほむら「何?」
まどか「どうして、私にポケモンバトルに関わっちゃ駄目だって言ったり、図鑑所有者は過酷だって言ったの?」
ほむら「他の地方ではね、図鑑所有者になった人たちは須らく皆、何かしらの大きな事件に関わっていたことがあるらしいの
あなたにもそんな風に事件に巻き込まれて欲しくなかったからよ」
まどか「なら、どうして私なの?他のみんなでもなく、こんな私に言ってくれたの?」
ほむら「別に意味なんてないわ」ファサァ
まどか「嘘、だよね…?なんとなく分かるよ、ほむらちゃんが嘘吐いてるんじゃないかって」
ほむら「……」
まどか「図鑑とモンスターボールをQBから盗んだことと、関係あるの?」
ほむら「……どうして盗んだなんて思うの?」
まどか「……ごめん、証拠も何もないけど、あの時そるそるちゃんが一緒にいたから"どろぼう"したんじゃないかなって思って
ほむらちゃんと会ったら、ひょっとして共鳴音が鳴るんじゃないかなって思ったんだけど、そんなこともなかったし……」
ほむら「当然よ、私は持ってないもの」
まどか「それって、他の誰かが持ってるってこと?」
ほむら「どうでしょうね。私が盗んだわけじゃないもの」
まどか「……そう、だよね。ごめんね、私ほむらちゃんのこと信じてあげられなくて……」
ほむら「気にしないでまどか。疑われるようなことをしてしまった私が悪かったのよ」
ほむら「それに、こういうことには慣れてるから」ボソッ
何かが聞こえた気がして、まどかはほむらを見つめた。
影のせいか、どこか寂しげに見える。
まどか「……うん、分かった。ほむらちゃんが話したくなるまで待ってるね……その代り、絶対に教えてね?」ニコッ
ほむら「……ありがとう……あなたはいつでも優しいわね」
まどか「ほむらちゃん…?」
そっと抱き寄せられた。
体を震わせ、声は抑えられ、少し優しく暖かく。
その目に涙を浮かべながら。
ほむら「ごめん……ごめんねまどか……」
まどか「ど、どうかしたの?私が泥棒扱いしちゃったからかな!?」
ほむら「うぅん、なんでもない……なんでもないの……ごめんね……」
どうしてこうなったのかまどかは分からないまま、背中をさすったり頭を撫でたりしながらほむらが落ち着くのを待った。
ポケモン達もどうしていいのか分からず、そっと寄り添ったままだった。
どのくらい時間が経っただろうか……
しばらくして、ほむらは体を離した。
ほむら「ご、ごめんなさい……」ゴシゴシ
まどか「私こそごめんね…?私が変なこと言っちゃったから……」
ほむら「違うの、ただの……ただのホームシックだから……」
まどか「本当に大丈夫?」
ほむら「えぇ、もう大丈夫よ…あなたに元気を貰ったから、もう平気」
まどか「あはは、良かったぁ」クスッ
二人がポケモンセンターに帰ってきたのは、零時になる少し前だった。
まどかはほむらと別れ、さやかの待つ部屋へと帰った。
さやかは疲れが出たらしく既に眠っていたので、静かにシャワーを浴びてから、起こさないように布団に潜った。
ちょうど日付が変わったところだった。
~四日目~
さやか「んぎゃぁぁ~~~~!!!!!」
まどか「ひゃっ!?な、何!?」
目を覚まして、いきなり目に飛び込んできたのは今までの目覚めと全く違う景色だった。
頭をナックラーに齧られたさやかがバタバタと転げ回り、フタチマルとリオルがどうにか宥めようとしている。
そしてもう一つ、知らないポケモン達がまどかの横にいた。
まどか「……そっか、二人共進化したんだっけ……ちょっと違和感だね」
さやか「まどかぁ!フラすけどうにかして!!」
まどか「だ、大丈夫?」
ワカシャモとピクシーと初めて朝を迎えた記念すべき日は、実に騒がしい始まりだった。
どうにかナックラーを外して落ち着かせ、レストランで朝食を食べた二人は、いよいよジムに挑戦することにした。
ほむらはどうしたのかとジョーイさんに聞いてみたものの、朝早く出て行ったらしく、挨拶することはできなかった。
さやか「にしても、まさか転校生と一緒に見に行ってたなんてね~。しかもピピっちちゃんはピクシーに進化してるし」
まどか「私もびっくりしちゃった」
さやか「ま、これでジム戦は楽勝でしょ!進化したこの子らの力を見せつけてやろうじゃん!」
まどか「うん!頑張ろうね!!」
二人はジムの扉を開いた。
案内人「おっす未来のチャンピオン!」
さやか「あ、やっぱり分かっちゃいますか!?いやぁ、さやかちゃんの素質に気付くとは流石ですね!」
案内人「ニビジムのジムリーダーは『強くて硬い石の男』!強靭な岩タイプには半端な攻撃は通用しないぜ!」
さやか「なんのなんの!打ち破ってみせますよ!さあ、行くよまどか!」
まどか「うん!」
案内人「ところで嬢ちゃんら、出身はどこなんだい?」
さやか「あたしら?グンマー地方のミタキハラですけど」
案内人「……へぇ」
まどか「あの、どうかしましたか?」
案内人「いやね、最近グンマーからの挑戦者ばっかりでね、ちょっと辟易とね……しかしそんなことは関係ない!!頑張ってくれー!応援してるぜ!!」グッ
さやか「辟易してるって言ったのに!?すごく嘘臭いわ!」
案内人「あ、そうそう。ここからが大事なことなんだがね」
まどさや「?」
ニビジムは週に何日か、トーナメント方式の予選を行っており、各ブロックで勝ち上がった者のみジムリーダーに挑戦できるとのことだった。
ブロックはAとBの二つ。
つまり、一日に挑戦できるのは二人までということだった。
さやか「何それ!?そんなのあり!?」
案内人「予選の対戦ルールは一対一、ジムリーダーとは勝ち抜き戦オンリーさ。ちなみにエントリーは十時半までだぞ」
まどか「あと五分もないよ!急ごう!」
ギリギリでエントリーし終えた二人は、どちらのブロックで戦うか決まるのを待つだけだった。
さやか「違うブロック違うブロック違うブロック……」ブツブツ
まどか「別のブロック別のブロック別のブロック……」ブツブツ
そして抽選の結果……
さやか:Aブロック まどか:Bブロック
に決まった。
まどさや「やった~~!!」
まどか「被らなくて良かったー!!」
さやか「これで二人一気に勝てる可能性が出てきたね!!」
案内人「フフン、果たしてそんなにうまくいくかな?」
そして予選トーナメントが始まった。
参加しているトレーナーは一般トレーナーに加えジムトレーナーもいるため、一筋縄ではいかなかった。
それでも二人は怯むことなく勝ちを続け、
トシカズ「待ちなー!子供が何の用だ!タケシさんに挑戦なんて10000光年早いんだよ!!」
さやか「あんたの方が子供だろうが!!」
次々と突破していき、
トシカズ「しまった!……10000光年は時間じゃない……距離だ!!」
さやか「……そうなの?」
まどか「だよ」
二人揃って決勝ブロックを勝ち抜き、遂にジムリーダーへの挑戦権を得たのだった。
タケシ「よく来たな。グンマーからの挑戦とは珍しい…俺はニビジムのタケシ!岩タイプのエキスパートさ
ちょっとやそっとの攻撃じゃ俺のポケモン達は平気、痛くも痒くもないぜ!Aブロックの君、名は何と言う?」
さやか「ミタキハラ出身、美樹さやか!行かせて頂きます!」
タケシ「いい面構えだ……最近は挑戦者が増えてきて俺も無様なところを見せるわけにはいかないからな。使用ポケモンは三体でいいな?」
さやか「どうぞ!」
まどか「さ、さやかちゃん大丈夫なの!?だって、三匹目ってフラすけなんじゃ……」
さやか「平気平気!ミジュかもリオすけも岩タイプの弱点つけるんだもん、なんとかなるよ!」
タケシ「さあ、かかって来い!」
ジムリーダーの タケシが 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=mlRVNT6KGY0&feature=related
タケシ「いけイワーク!!」ボンッ イワーク「ゴァァ」
さやか「一気に決めるよ!ミジュか!」ボンッ フタチマル「マルッ」
タケシ「ほう、やはり水タイプで来たか…だが、こちらが水タイプ対策をしていないとでも思っているのかな?"すなあらし"!!」
イワークから砂嵐が巻き起こり、フィールドを包んでいく。
視界は閉ざされ、半端な攻撃は届きそうになかった。
タケシ「さあ、どう出る?」
さやか「フン、そんなの、嵐を打ち破る威力の攻撃をするだけだよ!"みずのはどう"!!」
宣言通り、強烈な水の攻撃がイワークに襲いかかった!
素早いイワークも咄嗟のことに対処できず、もろにダメージを受けてしまった。
さやか「どうだ!」
タケシ「俺のイワークの"すなあらし"を打ち破るとは中々の威力だ…だが、俺のイワークは『がんじょう』だからな。そう簡単にはやられないぞ!」
体力を僅かに残し、イワークは起き上がったのだ。
その目にはまだ闘志を燃やしている。
タケシ「"じたばた"だ!」
さやか「なっ…反撃だミジュか!」
フタチマルのシェルブレードとイワークのじたばた攻撃が激しくぶつかり合う。
しばしの沈黙の後、倒れたのはイワークだった。
タケシ「イワーク、よく頑張った」シュパン
さやか「ふぅ、危ない危ない…それにしても、最後までしぶとかったなぁ……」
タケシ「俺の相棒をいきなり倒すとはなかなかだ…だが、こいつはどうかな!」ボンッ カブト「カブッ!」
さやか「な、何あのポケモン!?」ピッ
タケシ(!あれはポケモン図鑑か?……フッ、俺としたことが懐かしい奴を思い出してしまったな)
さやか「科学の力でよみがえった化石ポケモン!?科学の力ってすげー!」
タケシ「カブト、"あやしいひかり"!」
キラリと目の前が光に包まれ、フタチマルは混乱状態に陥ってしまった。
足取りもおぼつかず、カブトの位置を全く認識できていなかった。
さやか「ミジュかどうしたの!?頑張れ"シェルブレード"だ!」
タケシ「無駄だ、その状態で無理に突っ込ませようとすると……」
フタチマルは訳も分からず自分を攻撃してしまった。
タケシ「そして止め!"メガドレイン"!!」
たっぷりとエネルギーを吸い取られ、フタチマルは戦闘不能になった。
さやか「そんな……お疲れミジュか」シュパン
タケシ「さあ、次のポケモンはどいつだ?」
さやか「流石に一筋縄じゃいかないよね…いっけぇリオすけ!」ボンッ リオル「リオ!」
出てきてすぐさま、軽いフットワークでカブトを翻弄する。
一晩中走り続けられるリオルには、この程度朝飯前だった。
タケシ「中々のスピードだ。カブト、"アクアジェット"で追い付け!」
さやか「スピードなら負けないよ!」
追いつき追い越され、互いに一歩も譲らないスピード対決が繰り広げられた。
最初に疲れが見え始めたのは、技を仕様し続けているカブトだった。
さやか「チャンス!"いやなおと"だ!」
大音量でジム中に響き渡り、タケシとカブトが一瞬怯んだところに素早くはっけい攻撃が決まり、カブトはあえなくダウンした。
タケシ「よくやったカブト」シュゥゥン
タケシ「なかなかやるようだな。さあ行け、俺の最後のポケモン!」ボンッ ウソッキー「ウッソッソー」
さやか「なっ!?草タイプのポケモンを入れるとは卑怯なり!」
タケシ「勘違いするな。見た目は木でも、この固い身体は岩でできているのさ!"ものまね"だウソッキー!」
ウソッキーはリオルのはっけいを真似して、強力な一撃を撃ち込んできた。
リオルも負けじと応戦し、打ち合いが続く。
さやか「負けるなリオすけ!」
隙を突いた会心の一撃がウソッキーにヒットした。
思わずのけぞったウソッキーは、そのまま動かなくなってしまった。
さやか「……や、やったの…?」
タケシ「……」
さやか「……やったぁ!勝った――」
タケシ「"ふいうち"だ!」
さやか「へ?」
じっとしていたウソッキーが突然動きだし、リオルに攻撃してきた。
咄嗟のことに対応できず、リオルは急所への攻撃を許してしまい、そのままダウンとなってしまった。
さやか「リオすけ!」シュパン
タケシ「悪いな、騙しはウソッキーの得意分野なんでね。これでお互いに残り一体……さあ、何を出す?」
さやか(ま、まずいなあ、フラすけは全然言うこと聞いてくれないのに……でも、やるしかない)
タケシ「どうした?降参するのか?」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「こうなったら一か八か…いっけーフラすけ!」ボンッ ナックラー「グルル……」
さやか「フラすけ、やってくれる?」
ナックラー「……」フイッ
ナックラーはそっぽを向いている。
タケシ「……なんだそのナックラーは、やる気がないのか?俺も舐められたものだな……ウソッキー"がんせきふうじ"だ!」
ナックラーは全く動けずに降りかかる岩石の雨を喰らい、そのまま岩の中に閉じ込められてしまった。
さやか「フラすけ!」
呼び声に応じるように岩がウソッキーに向かって放り投げられた。
ウソッキーはどうにか受け止めるが、さらに二発三発と飛んできたため、慌てて投げ返す。
岩石の応酬合戦となった。
さやか「フラすけ大丈夫!?なにやってんの!?」
タケシ「フン、トレーナーの言うことを聞かず好き勝手暴れ回るか。こんなバトル、いつまで続けるつもりだ?
君もトレーナーなら、もっとポケモンと息を合わせられるようにしてからバトルしてほしいものだな」
さやか(そうだ、タケシさんの言う通り……フラすけはまだ全然人に慣れてないのに、あたしの都合で勝手にバトルに出して……
うぅん、それだけじゃない。ニコさんに貰った道具の実験に勝手に付き合わせて…こんなことばっかりやってたら、フラすけだって嫌になるに決まってるよね)
タケシ「ウソッキー、"いちゃもん"をつけるんだ。そうすれば奴も出てくるだろう」
ウソッキーにいちゃもんを付けられ、ナックラーは岩の中から飛び出してきた。
かなりいきり立っているようだった。
タケシ「止めだウソッキー!"がんせき――」
さやか「待って下さい!!!」
さやか「あたし棄権します!フラすけに、これ以上戦いはさせられません!」
まどか「さやかちゃん……」
タケシ「それもいいだろう。だが、君のナックラーはまだやる気みたいだぞ?」
さやか「!ちょっとフラすけ、もういいんだよ!」タッタッタ
さやかはフィールドまで駆けだし、ウソッキーに向かおうとするナックラーの前に立ち塞がった。
それでもナックラーは歩みを止めようとしない。
さやか「もういいんだよ、ごめんフラすけ……こんな帽子つけられて重かったよね?あたしの都合で連れ回して怖かったよね?
よく考えたら、あんたが戦う義理なんてないもんね?」スッ
ガブリとさやかの手に噛みついた。
しかし悲鳴はあげず、そっとナックラーの頭を撫でてやる。
さやか「っ!……気が済んだ?後で野生に返してあげるからほら、ボールに戻ろ?」
ナックラー「……」スッ
タケシ「和解は済んだかい?戦うのか、棄権するのか決まったか?」
さやか「はい、棄権――」
ナックラー「クナァー!!!」ダッ
さやか「ちょ、フラすけ!?」
タケシ「それが答えか…ウソッキー"ものまね"で覚えた"はっけい"だ!」
突撃してきたナックラーに、正面からはっけいが叩きこまれた。
ナックラーは地に伏し、ピクリとも動かない。
さやか「フラすけ、なんで……――!」
タケシ「どちらにしろ勝負あったようだな……」
さやか「……すいません。さっきあたし、棄権するって言ったんですけど無しにして貰えませんか?」
タケシ「おかしなことを言う。どちらにしろ、君のナックラーはすでに戦闘不能では――」
さやか「"だましうち"だぁ!!」
勝利を確信し油断していたウソッキーに見事な騙し打ちがヒットした。
ニビに来るまでの山道でさやかにぶつけたような、一際強烈な奴だ。
ウソッキーはそのまま倒れこんでしまった。
今度こそ間違いなく戦闘不能である。
さやか「すいません、得意の騙しをこちらもやらせいただきました!」
タケシ「最後の最後に息の合った攻撃、そして守りを上回る強烈な攻撃……俺の予想以上だ…!このグレーバッジを持っていくがいい!」
さやかはグレーバッジを手に入れた!
タケシ「しかし、喧嘩していたようだったが、最後は息ぴったりだったな。どうしてだい?」
さやか「いやぁ、それも騙しだったってことで一つ……」
タケシ「フッ、まあいいさ。そのポケモンとの絆、少し昔のことをまた思い出してしまった」
さやか「昔の?」
タケシ「いや、何でもない」
さやかはナックラーを引き連れ、フィールドから降りていった。
まどかも慌てて駆け寄る。
まどか「おめでとうさやかちゃん!びっくりしたよ、いきなり棄権するなんて言うんだもん」
さやか「あはは、面目ない……フラすけは戦いたくないのかなって思って棄権するって言ったんだけど、最後倒れた時あったでしょ?
あの時フラすけと目が合って、絶対に負けたくないって感じの意志を感じたからね……ま、あたしらの思いが一つになったってとこかな」ニッ
まどか「じゃあもう仲直りだね」
さやか「サンキューフラすけ、助かったよ」スッ
ナックラー「……」ガブリ
さやか「……」
ナックラー「……」ギリギリ
さやか「にぃぃぃやぁぁああぁあああああぁぁあああ!!!!」
まどか「さやかちゃーん!」
仲直りできるのは、まだまだ先になりそうである。
しばらくの休憩の後、まどかとジムリーダーとのバトルが始まった。
ただし、手持ちが二匹しかいないことを伝えると、予選と同じく一対一でも構わないとのことなので、甘えさせて貰うことにした。
まどかは岩タイプに有利な格闘タイプを見につけたワカシャモを繰り出し、タケシは相棒の一匹であるイワークを繰り出した。
ワカシャモの素早い蹴り技も、固いイワークにはなかなか効かなかった。
それでも攻撃を続け、互いに一歩も譲らないまま舞台は最終局面へ――
タケシ「イワーク、"りゅうのいぶき"!」
まどか「チャモっち、"ほのおのうず"!」
二つがぶつかり合い、激しい衝撃波が生まれる。
その隙を突いて攻撃してきたのはイワークだった。
残り少ない体力を利用し、じたばた攻撃を決めるつもりだ。
まどか「チャモっち"カウンター"だよ!」
それをうまくいなされ返しの一撃を叩きこまれたイワークは、ついにダウンしてしまった。
タケシ「うむ、炎ポケモンらしい熱い戦い、実に見事!君にもこのグレーバッジを授けよう」
まどかはグレーバッジを手に入れた!
バッジケースに、また一つ新しい輝きが灯った。
さやか「おめでとまどか!」
まどか「ありがとうさやかちゃん!」
タケシ「グンマーにはいいトレーナーが育っているようだね。昨日もグンマーからの挑戦者の相手をしていたんだが、なかなか手強かったよ」
まどか「ほむらちゃんのことだね」
タケシ「弱点対策だけでなく、それを打ち破ってくる相手への対処も考えなきゃ駄目だなあ」ブツブツ
グゥー
さやか「あはは、いいバトルしたからお腹空いちゃった」
まどか「私も~、お腹ペコペコだよ」
タケシ「昼食かい?ニビにはいいレストランが多いからね、色々探してみるといいさ」
さやか「へ?いや、あの、何かご馳走してくれるんじゃ……」
タケシ「……君は何を言ってるんだ?」
まどか「さやかちゃん、それグンマー地方の伝統だってば」
タケシ「?」
まどか「えっと、実はですね――」
まどかは簡単に、グンマーではジム戦後に食事が振る舞われるということを説明した。
タケシ「ははぁ、それでうちにも期待されてたわけか」
さやか「いえ、ここがグンマーじゃないって忘れてたあたしが悪いんで」グゥーキュルゥ
まどか「じゃ、じゃあ私達そろそろ行きますんで……」
さやか「ありがとうございました……」グゥー
タケシ「あ、あぁ……代わりと言っちゃなんだが、俺のオススメはトキワの森方面にある『はいいろ食堂』だ」
まどか「ありがとうございます、是非行ってみますね!」
ずるずるとまどかに引きずられながら、さやかもジムを後にしたのだった。
タケシ「……なんだろう、負けたのとは別のもやもやが」
もやもやは気にしないことにして、タケシは明日からの修行メニューを考えることにした。
その後ポケモンセンターに寄った後、タケシに教えて貰った食堂で昼食にした。
ジムリーダー行きつけだけあって、とても美味しかったらしい。
午後からはニコお勧めのニビ科学博物館に向かった。
博物館は平日の昼間ということもあって客は少なく、二人はのんびりと見学をした。
途中リオルが騒ぎ過ぎて注意されるというハプニングもあったのだが、それもまた一興。
たっぷりと見学した二人はポケモンセンターに戻って、今後の進路を決めることにした。
まどか「とりあえず今日は休んで、明日からだけど……トキサダメシティを目指す?」
さやか「だね。これも返さなきゃならないし」
さやかは手に持った学習装置を見つめる。
結局効果があったのかどうかは分からないが、もう使うのはやめようと思っていた。
さやか「アスナロシティも気になるけど、ここは最後のお楽しみってことにしとこっか」
まどか「じゃあ、明日は」
まどさや「絶対に電車で!」
まどか「トキサダメシティを目指すっと……あぁ、でも、その前にミタキハラに寄ってもいいかな?」
さやか「ん?なんで?」
まどか「ちょっとした挨拶っていうか、せっかく路線の途中にあるんだし、ママ達に無事だよっていう報告とかしておきたいかなって
それに、マミさんなら多分、ミタキハラからトキサダメまでの道中のポケモンも捕まえなさいって言うと思うし……」
さやか「あぁ、確かに言いそう……じゃ、明日はミタキハラに一時帰宅だね!」
まどか「うん!」
その日はゆっくり休み、翌日、二人とポケモン達はミタキハラシティへと向かった。
こうしてまどか達のカントー地方への遠征は無事終わりを告げたのだった。
~四日目・朝~―ミタキハラシティ―
早朝、静かな住宅街に羽ばたく音が響いた。
ほむら「お疲れ様ぐるぐる」シュパン
ほむらは自分の家へと帰ってきていた。
そっと鍵を開けて中に入る。
ほむら「あら、もう起きてたの?早いわね」
ほむら「そうよ、これが闇の石。色々あって苦労したわ……さあ、らんらん」ボンッ
ランプラー「フラ~」
ランプラーに石を近づけると、ぶるぶると体を震わせ姿を変えていき、進化を始めた。
シャンデラ「シャラ~ン」
ほむら「……うん、似合ってるわ!可愛いわよ、らんらん」
ほむら「え?……さやかにも同じことを言われたけど、これでも結構喜んでるのに」
ほむら「そうだ、図鑑図鑑」ピッ
ほむら「シャンデラの炎に包まれると魂が吸い取られ燃やされる。抜け殻の体だけが残る……」
ほむら「ふふっ、あなた結構怖いのね?でも、心配しなくても私があなたに魂を吸われることはないわ」
ほむら「だってこの体はもう――」
284 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/03/30(金) 12:32:56.13 T4u4Go1H0 250/548さあ、タケシなんて奴は放っておいてサクサク倒して次に行こうか
色々と詰め込み過ぎた感はあるけど気にしない
暁美ほむら…イッタイナニモノナンダ
そしておまけ
まどか
ワカシャモ(カウンター、にどげり、炎の渦、高速移動)
さやか
フタチマル(水の波動、シェルブレード、見切り、連続斬り)
リオル(はっけい、バレットパンチ、嫌な音、カウンター)
ナックラー(噛みつく、騙し打ち、怪力、砂地獄)
タケシ
イワーク(じたばた、岩落とし、龍の息吹、砂嵐)
ウソッキー(岩石封じ、不意打ち、まねっこ、いちゃもん)
カブト(原子の力、メガドレイン、怪しい光、アクアジェット)
296 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/05(木) 10:36:05.56 MQM3cjgY0 251/548こんな感じでどうでしょう
まどか:がんばりやな性格、ちょっぴり強情。
さやか:やんちゃな性格、少しお調子者。
ほむら:さみしがりな性格、考え事が多い。
マミ:おっとりな性格、ちょっぴり見栄っ張り。
杏子:いじっぱりな性格、食べるのが大好き。
異論は概ね認める
~五日目~―ミタキハラシティ―
二人がニビシティを出発してミタキハラシティに到着したのは、ちょうど正午を過ぎた頃だった。
初めての電車で騒ぎまくったリオルのせいで色々な人に怒られたのも、一興ということにしておく。
数日ぶりに二人はミタキハラに帰ってきた。
さやか「ん~~!懐かしいねぇ、この感じ」
まどか「ほんのちょっとしか離れてないのに、すごく久しぶりな感じするもんね」
さやか「仁美やマミさんはまだ学校だろうし、とりあえず、愛しの我が家にでも帰りますか!」
まどか「だね。ピピっちとチャモっちが進化したことも報告しとかなきゃだし……放課後は学校に、だよね?」
さやか「おう!成長したあたしらっぷりを見せつけてやろうじゃないか!
まどか「で、明日は朝早く集合ね。じゃないとずるずると家でだらけちゃいそうだし」
さやか「あはは、まったくもってその通り……じゃ、一旦解散ね!」
まどか「ばいばーい」
駅で解散した後、まどかは五日ぶりのミタキハラを眺めながら家路に就いた。
特に何も変わっていないはずなのに、どこか小さく、狭くなった気もしてくる。
まどか(あれだけ歩いたら駅から家までの道なんてすぐだよね~)
<まてまてー
<マネマネ~
まどか(よかった、タッくんもマネネも元気そうだね)
相変わらず賑やかな、五日のぶりの我が家だった。
抜き足差し足忍び足……
まどかとピクシーでこっそりと、庭で遊ぶタツヤとマネネに近づいていく。
幸い全く気付かれていないようだ。
まどか「だーっれだ?」ガバッ
ピクシー「ピックピー?」バッ
タツヤ「あえー?だれー?」
マネネ「マネー?」
まどか「正解は~……私でしたー!」
ピクシー「ピシシシ」クスクス
タツヤ「あー!ねーちゃおかえりー!パパーねーちゃかえってきた―!!」
マネネ「マーネマネマネー!」
知久「どうしたタツヤー?」
家の中から知久の声が聞こえてくる。
チャーレムと一緒に部屋から出た知久は、まどかを見るや否やすぐに駆け寄ってきた。
知久「まどか、帰ってたのか!電話くらいしてくれればいいのに」
まどか「えへへ、ごめんね。ちょっと驚かせたかったから」
知久「そりゃ驚いたさ……おっ、君はピピっちだよね?いつの間にかピクシーになってるじゃないか!それにあれはワカシャモ……もう進化したのかい?」
まどか「頑張ったんだよ!」
家に入り、深呼吸をしてみる。
懐かしい、何も変わっていない。
荷物を置きリビングで知久に飲み物を用意してもらい、まどかはほっと一息つく。
知久「それで、急にどうしたんだい?まさか、何か辛いことでもあった?」
まどか「全然!今のところ旅はすっごく楽しいよ!実はね――」
まどかはこの五日間のことを報告していった。
まずはカザミノシティに向かう途中でノウハウを教えてもらったこと、初めてさやかとトレーナーバトルをしたこと、初めてジムバッジを手に入れたこと、
長い山を越えてカント―地方に初めて自分の足で踏み出したこと、ニコという人に学習装置を貸してもらったこと、ほむらとオツキミ山でピッぴ達の舞を見たこと、
二つ目のバッジを手に入れたこと、博物館見学をしたこと、トキサダメシティに向かうためにミタキハラシティに戻ってきたということ。
たった五日の出来事だが、とても充実していて初めてのことばかりで、楽しくて、まどかはずっと喋り続けていた。
ただ、余計な心配を掛けたくなかったのか、杏子達を襲った少女のことや『W』の組織のことは話せなかった。
気が付けば、あっという間にさやかとの待ち合わせの時間が迫っていた。
まどか「わっ、もうこんな時間……ごめんパパ、今からさやかちゃんと待ち合わせてマミさんの家に行かなくちゃならないの」
知久「そうなのかい?今日は泊まっていくんだよね?」
まどか「うん、私の部屋まだあるよね?」
知久「あはは、そんなに簡単に片づけたりしないよ。そうだ、晩御飯は何がいい?」
まどか「クリームシチュー!」
知久「了解!たくさん作って待ってるからね」
まどか「ありがと!チャモっち、ピピっち、行こう!」
慌てて家から飛び出し、待ち合わせ場所へと走っていった。
知久「やれやれ、忙しい子だな」
タツヤ「ねーちゃどこいったのー?」
知久「ん?お友達の家に行ったんだってさ。よしタツヤ、一緒にクリームシチューの材料買いに行こうか!」
タツヤ「やったー!おかいものー!」
マネネ「マーネネー!」
―校門前―
まどか「ふぅ……待ち合わせより遅れちゃった……さやかちゃんはどこかな」キョロキョロ
既に学校は終わっており、帰宅を始めたり部活動を始めたりポケモンバトルをしている生徒達で校庭は徐々に賑わってきている。
さやか「ごめんまどか、待った?」スタスタ
まどか「ううん、私も今来たところだよ」
さやか「おっ、デートで一度は言ってみたい台詞ナンバー1をさりげなく言うとは……流石私のライバルだ!」
まどか「もう、さやかちゃんってば……私はついパパやタツヤ達と話しこんじゃって」
さやか「いいなー、あたしもこの溢れる思いを誰かに話したくて仕方ないのに、うちの親はまだ仕事中だったからね~……仁美とマミさんを見つけて聞いてもらおう!」
まどか「ほむらちゃんもね」
さやか「そうそう、忘れるとこだった。でも転校生には一昨日会ってるしな~……」
仁美「あら、まどかさんにさやかさん?」
まどか「あ、仁美ちゃん!久しぶり!」
さやか「やっほー!ちょっと帰ってきたよー!」
仁美「びっくりしましたわ、旅に出られたと思ってましたのに」 エルレイド「レイレイ?」
さやか「まだ旅の途中なんだけどね。レイド君も元気だったかい?」
まどか「明日また出発するから、その前に挨拶しとこうかなって」
さやか「仁美にはあたしらの土産話を聞いてもらおうと思ってね!」
仁美「まあ、それはぜひ聞きたいですわ!せっかくだから、ほむらさんも誘いましょうか」ポチポチ
まどか「ほむらちゃんはまだ教室?」
仁美「いえ、なにやら委員の仕事を頼まれたとかで少々保健室に……ほむらさん、まどかさんの保健委員を継いでますのよ」
まどか「そうなの?あはは、なんだか悪いことしちゃったかな」
仁美「それが元々病弱だったらしくて、本人はちょうどよかったと言ってましたわ」
さやか「あいつが?あたしの記憶にはピンピン動く姿しかないんだけど……」
仁美「時々体調が優れないようですわ。この間も早退してしまいましたし」
まどか「ニビシティで会った時は元気そうだったのにね」
さやか「全くですなぁ」
仁美「ニビシティ?そんなところまで行ってましたの?」
さやか「おう!ま、その辺は後でたっぷり語っちゃってあげますからね!」
仁美「ふふっ、楽しみですね」
マミ「楽しそうねあなた達」
さやか「マミさーん!ご無沙汰です!」
まどか「こんにちは」
マミ「久しぶりね、どうしたの二人とも?ニビの後はてっきりアスナロシティに向かったのかと思ってたのに」
さやか「まあ、色々ありまして」アハハ
仁美「今からその辺のお話をお聞かせもらえるというので楽しみにしてるんですの」
まどか「そういえば仁美ちゃん、今日は習い事ないの?」
仁美「ふふっ、お休みを頂いてるんですの。なぜなら……」スッ
さやか「6個目のジムバッジ!やるじゃん仁美、いつの間に取ったの?」
仁美「先週の土曜日にヒメナシティまで行って参りましたの。そのご褒美のようなものですわ」
まどか「流石仁美ちゃん!見て、私達もバッジ手に入れたんだよ」パカッ
仁美「まあ、もう二つも?お早いですわね」
さやか「そうでしょそうでしょ!もっと褒めるがいいさ」フフン
マミ「やるじゃない二人とも…進化もしてるみたいだし、たった数日で随分成長したみたいね。私も一緒にお話聞いてもいいかしら?」
さやか「もっちろんですよ!」
ピロリーン
仁美「あら、ほむらさんから……」ポチポチ
さやか「なんだって?」
仁美「……どうやら委員会が思ったより長引きそうですので先に帰って下さい、と」
まどか「そうなの?残念だね……」
結局ほむらには会えず、仕方なく四人とポケモン達は、いきつけの近所の喫茶店へと向かった。
仁美「そんなわけで、あれ以来ほむらさんとはお友達になりましたの」
さやか「ほうほう。昨日の敵は今日の友、ってやつだね」
マミ「私とも時々お話しをね。さ、次はあなた達の番よ」
まどか「はい。マミさんにはニビの話だけですけどね」
まどかとさやかは、まずは仁美に旅に出てからのことを話した。
二人にとっては何もかも初めてだった出来事も、仁美には馴染みであることも多かった。
それでも、ポケモンセンターに宿泊することや歩いて隣町に行くという些細なことが、お嬢様の仁美にとってはとても興味深いものだったようだ。
次のニビでの話を、マミは真剣に聞いていた。
自分が訪れるかもしれないジムのことだから、尚更だ。
ジムリーダーとは本気のバトルをすることになるであろう。
弱点の対策もかなり本腰を入れているようなので、マミはまた鍛え直そうと思っていた。
ついでに、新しくナックラーが仲間に加わったことを、マミはとても喜んでいた。
マミ「こういう出会いがあるのがポケモントレーナーの面白いところよね」
とのこと。
まどかもまた、いつか増えるであろう自分の仲間にワクワクを隠しきれなかった。
すっかり話し込んでしまい、辺りはとっぷり闇に浸かっていた。
さやか「おっと、だいぶ暗くなってきたね。うちの親も帰ってる頃かな」
まどか「ほんとだ。私も帰らないと心配かけちゃうかも」
仁美「ではそろそろお開きにしましょうか」
マミ「そうね。それにしても、二人ともいいトレーナーに成長してるみたいで安心したわ。これからも頑張ってね!」
さやか「いつか追いついてみせますよ!」
まどか「仁美ちゃんにも負けないからね!」
仁美「こちらこそ負けませんわ!このままのペースだと本当に追いつかれそうですし、私も本腰を入れないと……」
マミ「次に会うときはもっと成長した姿を見せてくれることを期待してるわよ」
まどさや「はい!」
会計を済ませ喫茶店を出たところで、外が騒がしいことに皆気が付いた。
道行く人々はざわつき、一つの方向を目指している。
いや、その表現は間違いで、ある方向から遠ざかっていると言った方が正しいだろう。
さやか「騒がしいね、なんかあるのかな?」
\公園でポケモンが暴れてるぞー/ \逃げろー/ \誰か何とかしてくれ/
仁美「ポケモンが?」
通行人「おい、あんたらも逃げた方がいいぞ。あいつらめちゃくちゃに暴れまわってやがる!」
まどか「ど、どんなポケモンなんですか?」
通行人「さあ……俺はこの辺で見たことねえが、黒と青のふさふさしたちっこいのと頭が二つある奴がたくさんだ
とにかくそこら中に"たいあたり"ぶちかましたり"かみつい"たりしてやがる!じゃあな!」タッタッタ
さやか「行っちゃった……ど、どうします…?」
マミ「あなた達は逃げてもいいわよ。私は様子を見てくるから」
まどか「マミさんが行くんなら、私も行きます!」
さやか「あたしも!一人で行くなんて危険ですよ!」
マミ「二人とも……オッケー、状況にもよるけど、気を付けていくわよ!」
まどさや「はい!」
仁美「あ、待って下さい!私も行きますわ!」
マミを先頭に、まどか、さやか、仁美の順番で人々の流れに逆らって進んでいく。
人が少なくなってきた頃合いを見計らって、四人はボールからポケモン達を繰り出し戦闘に備える。
―ミタキハラ公園―
近付くにつれ、辺りに地響きが鳴り空気が震え始めた。
遊具などが置かれている公園の一角、そこにポケモン達が大量に発生して暴れまわっていた。
マミ「あのポケモンは……やっぱりモノズとジヘッドね」ピッ
まどか「目が見えなくて体当たりしたり噛みついてまわりを探る……うわっ、ほんとに荒ぶってる…!」
さやか「っていうかどんな数だよ!?多すぎない!?」
仁美「ひぃ、ふぅ、みぃ……数えられませんわ」
マミ「このままじゃ公園が大変なことに……なら、大人しくさせるまでよ!」
モノズ「ギャァァス!」 ジヘッド「ジァァァ!!」
さやか「き、来たよみんな!」
まどか「チャモっち、ピピっち!」
全員が攻撃に備えようとした時、モノズ達のものとは別の地響きが聞こえてきた。
まどか(揺れてる?それに、明り…?なんだろ――)
まどか達が振り向いたのと同時に影が三つ飛び出した。
???「キャハハ!まずはとくとご覧あれ!ドンファンによる岩と氷の華麗なるコラボレーション!!!」
影の一つはドンファン。
鋭利な岩は空中が浮かび上がりくるくると回り始めると、向かってくるモノズ達に次々と突き刺さっていく。
そうして一瞬怯んだところに、上空から輝く氷塊が大量に降り注ぐ。
???「お次はルクシオとエレブーの超絶妙技!エレキループダンス!!!」
影の二つはルクシオとエレブー。
エレブーが電気のボールを三つ作り出しそれらを電磁波で繋ぐと、バチバチと火花を散らして大きな電気の輪が出来上る。
同じ要領でその輪を一つ二つと数を増やしていくつもの輪が出来上る。
ルクシオは放り投げられた電気の輪を次々と潜りながら、着地地点にいるモノズ達を爪で切りつけ群れの中を突き進む。
まるでダンスでも踊るように。
一瞬にしてモノズ達は気絶して大人しくなってしまった。
三匹の華麗な撃退ぶりに、まどかは口を開けて見ていることしかできなかった。
背後に目を向けると、まどかはまたその華麗さに見惚れてしまうことになる
煌びやかに、そして華やかに輝きを放っている巨大な舞台。
カラフルな彩色の三角旗は舞台への道を示すように右へ左へ伸びており、その向こうには巨大なテントが僅かに見えた。
僅かというのは、たくさんの影によってその全貌がほとんど見えなかったからだ。
影とはすなわち、大量のポケモン達。
綺麗に列を成し、あるいは重なり合ってタワーを作り、彼らは主の指示を待っていた。
???「アハハ!本日ラストはみんなで大合唱といきましょう!!!ご一緒にご熱唱下さいませ!!」
ポケモン達の声が、一斉に鳴り響いた。
声の衝撃はまどか達には当たらず、まだ意識を保っているモノズ達を的確に狙い撃ち完全に気絶させてしまった。
四人はただただその迫力に圧倒されるばかりだった。
舞台の中央に立つ人が一人。
青と白のツートンカラーのドレスを纏い、角のような三角帽を被った女性。
???「これにて舞台は閉幕!もう大人しくなったよね、アハハハ!君達怪我はないー?」
まどか「あ……ありがとう、ございまし、た……」
???「んー?どうかした?」
さやか「い、いや、なんつーか……凄いっすね、後ろ……」
???「面白かった?アハハ、なら良かった!そう言ってくれなきゃ私も面白くないもんねー」
仁美「……ほ」
マミ「本物、よね…?」
まどか「マミさん?」
マミ「お会いできて光栄です!!」
仁美「ほ、本日はお日柄もよく…あ、いえ、そうでなくて、えと……とにかく初めまして!」
さやか「ちょ、どうしたの二人とも!?」
まどか「そういえば、どこかで見たことあるような……」
マミ「何言ってるの二人とも!トレーナーなら知らない人はいないくらいの有名人じゃない!」
仁美「ポケモンサーカス『ウィッチ団』の団長にして、グンマー地方ポケモンリーグ・チャンピオンの座におられる方…!」
さやか「チャ……」
まどさや「チャンピオン!?!?」
???「お初にお目にかかります。ワタクシご紹介に預かりました通り、ポケモンサーカス『ウィッチ団』団長にしてチャンピオンを務めさせていただいております、ナハト――」
ナハト「ナハト・ワルプルギスと申します。以後お見知りおきをば」ペコリ
ナハト「マリアー、ポケモンたちよろしくー」
マリア「了解しました」
マリアと呼ばれた女性の合図で、サーカスのポケモン達は一糸乱れぬ動きでテントの中へと帰っていく。
後に残ったのはまどか達とナハト、そして倒れたモノズとジヘッドだけだ。
ナハト「君達ポケモントレーナーだよね?ポケモンを見れば中々の使い手のようだね」
マミ「あ、ありがとうございます!お褒めに預かり光栄です!」
ナハト「アハハハ、そんなにかしこまらなくてもいいのに」
マミ「とんでもないです!さっきの攻撃凄かったです!ドンファンの"ステルスロック"と"こおりのつぶて"の迎撃、
一発で触れた相手を気絶させるほどの電流を爪から流せるルクシオの素早い猛攻…
そして、サーカスのポケモン達の"りんしょう"による一斉攻撃!全てが見事でした!」
ナハト「ノンノン…エレブーの"エレキボール"と"でんじは"を組み合わせた電気の輪≪エレキループ≫を忘れて貰っては困りますな~
あれがないと派手さが足りないんだよね」
まどか「チャンピオンってことは、すっごく強いんだよね?」ヒソヒソ
さやか「なんでそんな人がこんなところに?」ヒソヒソ
???「知りたい?」
まどさや「うわっ!?」
まどか「こ、子供…?」
シャル「初めまして!あたしはシャルロッテだよ!みんなはシャルって呼ぶんだけどね……ま、以後お見知りおきをば」
ブカブカのローブに赤いマントを羽織り、黒字にピンクのドット模様のマフラーとリボンが可愛らしい、10歳くらいの少女がいつの間にかちょこんと立っていた。
シャル「ま、簡単な理由なんだけどね」ペラッ
さやか「これってチラシ……あっ、講演でグンマー巡回中なんだ!」
シャル「そ!今日から一週間はここミタキハラで講演やらせてもらうからよろしくね!!」
ナハト「そういうことなのでーす!是非とも我が『ウィッチ団』の素晴らしいステージを見ていってほしいのですよ!」
マミ「絶対見に行きます!あ、でももうチケットが…!?いえ、当日券があれば…?」
ナハト「アハハ!どうしてもっていうんならチケットいる?」
シャル「いいの団長?まーたマリアに怒られるよー」
ナハト「気にしない気にしない!前途有望なトレーナーに施しをするのはチャンピオンの務めでしょ!!それになにより――」
マリア「面白い、ですか?」ザッ
ナハト「キャハハ!そういうことだよマリア!はいこれチケットね」スッ
仁美「あの、お気になさらなくても私達は自分たちで買えますので……」
さやか「仁美……それは一庶民に対するあたしに対する嫌味と取っていいのかな?あたしの小遣い舐めないでよ?」
仁美「い、いえ、そういうつもりでは……」
まどか「さやかちゃん、どっちにしても私達明日からまた旅に出るんだから意味ないんじゃない?」
さやか「……一日伸ば」
まどか「駄目。だらけちゃう」
さやか「……フッ、そこで反対しなければ旅に連れていくのは許されなかったであろう」キリッ
まどか「もう……あ、そういうことなんで私達は別に……」
ナハト「へぇー、君達は旅の途中なの?」
まどか「一応は。一旦ここに帰ってきたってだけなんですけど」
ナハト「なら気にせず受け取りなよ!これは何処の講演でも使える奴だからさ!!
旅の途中によった街で運良く再会したら、その時は是非見に来てくれたまえ!」
さやか「そういうことなら遠慮なく頂きます!」バッ
マミ「すいません、ありがとうございます!」
仁美「それではお言葉に甘えて」
まどか「わざわざありがとうございます」
マリア「はぁ……まあ、いいですけどね。あなた達、もう遅いのだから家に帰った方がいいのではないですか?」
ナハト「いいじゃん細かいことは!マリアは相変わらず固いんだから面白くないんだよー」
シャル「そうそう。みんなお友達いーっぱい連れて来てね!」
仁美「ご一緒にいかがですか、マミさん?ほむらさんもお誘いして」
マミ「あら、いいわね」
ナハト「ほむらって?知り合いなの?」
仁美「はい、私達のお友達ですわ」
ナハト「……へぇ、それはいい。是非一緒に見に来てよ」
マミ「あ、あの……」
ナハト「ん?」
マミ「か、必ずリーグで勝ち抜いて、挑戦させて頂きます!いつか!絶対に!!」
さやか「ずるいマミさん!あたしだってそうですからね!!」
仁美「え、えぇっと、私もですわ!」
まどか「私もです」
ナハト「……アハハ、いいねそういう目、好きだよ。強い感情≪きもち≫を感じる…‥実に面白いね!!アハハハ!キャハハハ!」
シャル「さ、そろそろあのモノズとジヘッドどうにかしなきゃならないんじゃない?」
ナハト「えぇー、マエバシの時みたいに警察がどうにかしてくれるでしょー」
マリア「既に連絡はしてあります。彼らは野生に返されることでしょう」
まどか「あっ、そっか!この間マエバシシティでポケモンが大量発生した事件を解決したのも、確かチャンピオンって言ってた」
マミ「そう言えばそうね、あの時もこんな風になされたんですか?」
ナハト「キャハハ、勿論!困るよね~、行く先々で暴れられちゃね~」
マリア「全くです」
ナハト「じゃあねみんな!次に会うときは是非ワタクシ達のステージで……お待ちしております」
三人は並んでテントの中へと帰っていった。
まどかはその背中をずっと見つめたまま動けなかった。
マミ「カッコいい……こんなところでチャンピオンに会えるなんて思わなかったわ」
さやか「流石にオーラってもんが違いますね……ノリで言っちゃったけど、正直全然勝てるイメージが湧かないわ」
まどか「全然どんなポケモン使うのかも分からなかったけど、確かにそうだね」
そう、あくまでドンファンもルクシオもエレブーも、サーカスで芸をするポケモンにすぎない。
チャンピオンのポケモンを、彼女達はまだ知らない。
仁美「お二人と一緒に見られないのが残念ですわ」
まどか「だね。いつかまた、みんなで一緒に見られるときが来ればいいね」
マミ「すっかり遅くなっちゃったわね。三人とも、お家の人は大丈夫なの?」
仁美「あっ!私そろそろ帰らないと……すいませんまどかさん、さやかさん、また会える日を楽しみにしています」ボンッ
仁美はオドシシに座ってすぐに飛び出していった。
碌にお別れの挨拶もできなかったが、すぐにまた会えるだろうとまどかは思った。
さやか「行っちゃった……次会ったときは、バトルできるといいね」
まどか「そうだね」
マミ「あら、私ともお手合わせしてくれるのかしら?」
まどか「ま、マミさんとですか!?」
さやか「そん時はチャンピオンへの挑戦権を賭ける時までお預け、ってことにしときましょうか……」アハハ
マミ「じゃあ私も帰るけど、図鑑のこと忘れないようにね?次はトキサダメを目指すんだったわね?」
まどか「はい。だから、先に隣町のイツサトタウンに寄らなきゃ駄目なんですよね」
さやか「そっからがまた遠いんだけどね~」
マミ「遠くてもいいじゃない。いい?図鑑を集める基本は歩きなのよ」
まどか「分かってますってば~」
さやか「一度山道を経験してから行って下さいよ!」
マミ「残念だけど、私は砂漠も雪道も経験してますからね?」
さやか「……スンマセンシタ」
マミ「ふふっ、とにかく頑張ってね。また会いましょう!」
マミもフワライドに乗りゆらゆらと風に揺れながら帰っていった。
さやか「……じゃ、また明日ね」
まどか「……うん、また明日ね」
二人もそこで解散し、自分たちの家路に就く。
まどかにとってマミや仁美と話すのはとても楽しかった。
気兼ねなく話せる友人や頼れる先輩、気を張る必要のない相手とのまったりとした時間。
しかしその楽しいという思い以上に、まどかの中では、早く次の街に行ってみたいという気持ちが強くなっていた。
もっともっと旅がしたい。
まどか(ナハトさんに……チャンピオンに会っちゃったからかな?それとも、私って元々こんな性格だったかなぁ)
―ウィッチ団・テント内―
ナハト「それにしてもこんなところまで移動してくるなんて思わなかったね、アハハハハ!」
マリア「全く、いちいち騒ぎになるから困ったものです……ねえシャル?」
シャル「むー……だって山の中に逃がしたらそれでいいと思うじゃん」
マリア「まあ、今回はシズルと違って街の近くではありませんでしたから、想定の範囲外と言えばそうなりますが……」
ナハト「いいじゃんいいじゃん、細かいことは気にしない!キャハハ!」
マリア「あなたは気にしなさすぎです、ナハト様。我々の目標をお忘れなく」
ナハト「分かってるって!それにしても、まさか暁美ほむらと知り合いだったなんてね!クフフ、これは面白くなりそうな予感!」
シャル「今のうちに始末しちゃうの?」
マリア「まあ、焦る必要もないでしょう。こちらも準備しなければならないこともありますし」
ジヘッド「ブギャァァ!」ザッ
マリア「あら、まだ一匹残っていたのですね。何処に隠れていたのかしら」
シャル「怖~、あたしら襲う気満々だよ!」
マリア「ヤミラミ」ボンッ シャル「ゴンベ!」ボンッ
突進してきたジヘッドは、しかし瞬く間に二匹に倒されてしまった。
勿論ヤミラミもゴンベも本気など出していない。
シャル「全然駄目だね~、弱いポケモンは進化しても弱いんだね」
マリア「我々の厳選されたポケモンに適うはずがありませんよ」
ナハト「アハハ!やっぱり強いポケモンがいっぱいいた方が世の中面白いよね!アハ、アハハアハハハハハアアハハハハハハハ!!!!」
シャル「ありゃ、またいつもの高笑いタイムだよ……」
マリア「まあ、まずは我々も本業に勤しみましょうか。当分のことはシズルとルートに任せておきましょう」
ナハト「アハッアハハハハ!キャハハハハッハハハハ!!」
やがてつられるようにサーカスのポケモン達も笑いだし、夜のテントはいつまでも賑やかに笑い声が鳴り響いていた。
316 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/05(木) 11:28:12.54 MQM3cjgY0 271/548とりあえずここまで
あんま進んでないけど勘弁
なんでナハトだのマリアだのルートだの省略してるのかというのは、「だってポケモンの世界だから」ってことで
五文字制限…
319 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/05(木) 17:21:15.96 MQM3cjgY0 272/548シューティーとかすっかり忘れてた…なら無理に五文字以下にしなくてもよか(ry
しかし擬人化って難しいわ
もうちょいじっくりキャラを書いていくよう努める
次はイツサトタウンであの子達を出す予定だから、厳選でもしながら舞っててくれると嬉しい
毎度更新のたびに登場人物が増えてるけど大丈夫なのかしらん
―帰り道―
まどか(あ~あ、すっかり遅くなっちゃった……ママもう帰ってるかな)
そんなことを考えながら丁度家の前まで来た時、
まどか「あっ」
詢子「ん?まどか?」
帰宅してきた詢子と再会。
詢子「なんだい、もう弱音を吐きに帰って来たのかい?」
まどか「違うよぉ!訳あってミタキハラに寄っただけだもん!」
詢子「ふーん……しかしま、グッドタイミングって奴だな!良く帰って来たぞ我が娘よ!
そういやピピっちちゃんもチャモっちも逞しくなっちゃって…積もる話は家の中でたっぷり聞こうかな」
まどか「えへへ、任せてよ!」
まど詢「ただいまー!」
知久「おかえり…おや、二人揃って帰宅かい?珍しいね」
タツヤ「ママー!まろかー!」
詢子「そこで会っただけだよーん!今日はまどかの無事を祝ってパーっとやろう!」
まどか「もうママ、明日も仕事なんでしょ?あんまり飲んじゃ駄目だよ」
知久「ハハッ、久々に一家全員集合なんだ、ちょっとだけね…今日はお祝いだ!」
タツヤ「おいわいだー!」
マネネ「マーネマネー!」
知久特製のクリームシチューで食卓を囲み、旅の話に花を咲かせる。
今度は昼に話したことに加えて、つい先程チャンピオンに会ったこともいい土産話だった。
ふと、詢子は意外な一言を口にした。
詢子「へぇ、あのナハトさんに会ったのか」
まどか「あの…?」
詢子「フッ…なぁに、懐かしい思い出さ」
知久「ママはね、負けちゃったんだよ」
詢子「パパ!言わなくていいってば!」
まどか「そうなの!?聞きたい聞きたい!」
タツヤ「ききたーい!」
詢子「タツヤまで……別に面白い話でもないよ、リーグの準決勝でナハトさんに負けちゃったってだけさ
あれが最後の試合だったんだけどなー……」
グラスを傾け表情を曇らせる。
悔しさも悲しさも押し殺して、夢だったポケモントレーナーをやめて、今は普通の仕事をしている。
まどかには詢子がどんな思いで仕事をしているのか、今はよく分からなかった。
詢子「まあとにかく!あれだろ?サーカスってこれのことだろ?」スッ
まどか「チラシ?貰ってきたの?」
詢子「同僚に貰ったのさ。今度タツヤを連れていこうかなと思ってさ」
まどか「へぇー…私も運が良かったら見れるんだけどなぁ……あれ?」
ふと、サーカスのマークが目にとまった。
外で見せられた時は暗かったことも気が付かなかったが、ウィッチ団も『W』のマークだったのだ。
まどか(ウィッチ団も『W』なんだ……ってまさかね。チャンピオンがいる、しかもサーカス団が悪いことするはずないもんね)
詢子「どうかしたか?」
まどか「!うぅん、なんでもないよ!!そういえば、何がグッドタイミングだったの?」
詢子「お、そうそう忘れてた!待ってろ、今母さんに連絡すっから」ピッピッ
まどか「おばあちゃんに?」
詢子「いいもんあげるよまどか~、楽しみにしてなよ~」ムフフ
まどか「?」
電話が繋がったらしく、何やら話をしている。
時折リリーやマリーといった詢子の元ポケモン達の名前が聞こえてくる。
話は終わったらしく、詢子は電話を置いてまどかに向き直った。
詢子「聞いて喜べ~……なんと!まどかにはポケモンのタマゴをプレゼントだ!」
まどか「……た、タマゴ?」
知久「へぇー、どの子のタマゴなんだい?」
詢子「シャリーとドリーのタマゴみたいだよ。昔から仲悪かったのになぁ、不思議なもんだ」
まどか「シャリーが女の子だったから、じゃあ生まれてくるのは……この子かな」ピッ
図鑑で確かめてみる。
まだ受け取ってもいないのに、今から楽しみになってくる。
詢子「明日ポケセンで受け取りなよ?しっかし、なんでタマゴってのは産んだ瞬間が見られないんだろうな~……不思議だ」
まどか「ほんとだね……あぁもう、待ちきれないなぁ」ティヒヒ
知久「じゃ、僕からはこれを」スッ
まどか「え、これって……ヒールボールとゴージャスボール?」
知久「ちょっとしたものなんだけどね。まだ仲間は増えてないみたいだし、せっかくだから」
まどか「……ありがとう、パパ。なんだか私だけ施しして貰ってばっかりで悪いなぁ……」エヘヘ
詢子「いいんだよ、今は……まどかが無事に楽しく旅に出ててくれればそれで」
知久「そういうこと!」
タツヤ「ねーちゃがんばれー!」
マネネ「マーネネ!」 チャーレム「レムッ!」 バリヤード「バーリバリー!」
まどか「みんな……うん、私頑張るね!チャモっち、ピピっち、これからもよろしくね!」
ワカシャモ「モッ!」 ピクシー「ピッ!」
まどかはその日早く布団に入った。
それでも明日からの冒険に胸を躍らせ、しばらく眠れなかった。
~六日目~
まどか「行ってきます!」
知久「行ってらっしゃい!」
タツヤ「ばいばーい」
詢子「じゃ、一緒にポケセンに行ってくる!」
まどか「うん!」
さやかとはポケモンセンターで落ち合うことにし、二人で一緒に歩いて行く。
まどか(二人っきりで歩くなんて、そういえば初めてかも)
他愛ないことを話していると、すぐにポケモンセンターに着いた。
そこで久しぶりに祖母と祖父と話しつつ、まどかはポケモンのタマゴを受け取った。
初めて見る、ポケモンのタマゴだ。
まどか「凄い、これがポケモンのタマゴ……暖かいね」
詢子「頼んだよまどか!タマゴは元気のいいポケモンの傍にいる方が孵りやすいっていうしね
っと、もうそろそろ行かなきゃな……じゃあなまどか、元気でやれよ」
まどか「ありがとうママ!行ってらっしゃい!」
詢子「そりゃこっちの台詞だっての!行ってらっしゃい!」
詢子は急いで駆けだしてポケモンセンターを後にした。
それと入れ替わりに、さやかがギョッとしながら中に入ってきた。
さやか「何今の?まどかのママさんがすんごい勢いで走ってったけど」
まどか「ちょっとね……それよりこれ見てさやかちゃん!」
さやか「何それタマゴ!?いいなぁ、誰に貰ったの!?」
まどか「えへへ、おばあちゃん家にいるママのポケモン達がいつの間にか持ってたのを送って貰ったの」
さやか「へぇ、何が産まれるの?」
まどか「んー……それは内緒!産まれるまでのお楽しみってことで」ティヒヒ
さやか「えぇー、何それズルイ……ま、楽しみにしてるよ」
まどか「じゃ、いこっか!」
さやか「おうとも!目指すはイツサトタウンとトキサダメシティ!!」
二人は再び、ミタキハラを旅立った。
―イツサトタウン―
イツサトタウン。
街の中央に大きめの駅がある他、ジムもなく特筆すべきものもない至って普通の町であるが、グンマーのほぼ中央に位置しており訪れる人は少なくない。
さやか「やっと着いた~!ミタキハラからだと遠すぎるんだよねえ」
まどか「結構時間かかっちゃったね。まずはポケモンセンターで回復しなきゃね」
さやか「それが終わったらさっそくトキサダメ目指す?あ、でもイツ砂漠越えなきゃならないんだよねぇ
電車もあるけど……まあ、マミさんにも言われたし、歩かなきゃ駄目か」
まどか「準備しなきゃ大変みたいだし、出発は明日にしよっか?」
さやか「だね!そうと決まればさっさとポケセンに行って、午後は買い物にしよう!ここの名物は砂漠のサボテンクレープらしいからね~」
まどか「さやかちゃん食べる気満々だね」アハハ
通行人1「凄かったよねぇあの子!ホントに未来見えてるのかな?」
通行人2「うんうん!まさかあんたに恋人ができるだなんてねぇ」シミジミ
通行人1「ひっどいなぁ、それどういう意味よぉ!」
ワイワイギャーギャー
さやか「……何だ今の、占いでもしてもらったのかな?」
二人は気にしないことにしてポケモンセンターを目指した。
しかし、どうにも町行く人々の会話に耳を傾けると、先程の通行人と同じような会話が聞こえてくる。
未来が見える、よく当る、エスパー少女、『みくにおりこ』という名前――
どうやら町中の噂になっているようだった。
ポケモンセンターで回復を終わらせ、二人で話し合いながら砂漠を渡るための道具を探した。
幸い砂漠を渡るという人は多いらしく、レンタルショップが存在していた。
借りた道具一式はトキサダメシティの姉妹店に返せばいいとのことだ。
二人は明日借りることを伝え店を出てポケモンセンターを目指す、そんな帰り道。
???「ない……ないなぁー、どこいっちゃったんだろう……」ガサゴソ
二つ三つ遊具が置いてある程度の小さな公園、黒い服飾の少女とポケモン達が、何やら四つん這いで草の茂みや遊具の影などを必死に覗きこんでいる。
さやか「……何やってるんだろ?」
まどか「探し物、かな?」
???「……はぁ……」ゴソゴソ
さやか「大丈夫でしょ、ポチエナもいるみたいだしすぐに匂いで見つけられるんじゃない?」
まどか「でも……あれ?これって」ソッ
足元にきらりと光るものを見つけた。
小さなチラーミィ人形のストラップだった。
見た目と違って少し重い。
まどか「あのー!お探し物ってこれじゃありませんかー?」
まどかの呼びかけに、ゆっくりと少女が振り返った。
随分と気だるそうに、冷めた目で見つめ、そっと歩んできた。
???「君、ありがとう……正直諦めそうだったんだ」
まどか「いえいえ、見つかってよかったですね」
さやか「まあ、公園の外ならポチエナでも見つけらんなかったかもね……」
まどか「じゃあ、私達はこれで――」
ガシッ
まどか「……あの、何か?」
???「君のおかげで愛は死なずに済んだよ。私は呉キリカ、是非恩人に礼がしたいんだ」
さやか「愛…?恩人?」
キリカ「どうかな?恩くらい返させて欲しいんだけど……」
さやか「どうするまどか?」
まどか「でも、そんな大したことしてないし……」
キリカ「……いや、ごめん。迷惑だったね、さようなら」スタスタ
さやか「ちょちょちょ、ちょいと待って!せっかくですから、じゃあ、こういうのはどうでしょう?」
キリカ「…?」
さやか「んー、うまい!」
まどか「ホントだ。これすっごく美味しいね」
キリカの案内で、この街一番のクレープ屋を紹介してもらった。
案内だけでいいと言ったのだが、キリカは聞き入れず、二人の分もクレープ代を出してくれたのだった。
キリカ「むぅ…恩人達は本当にそれでいいのかい?」
まどか「とんでもないですよ、奢って貰っちゃってありがとうございます」
さやか「なはは、決めちゃったのは私だけどね」
キリカ「そうか、ならよかった…本当に困ってたんだよ」
さやか「しまった!ミジュかたちの分忘れてた!!」
まどか「あっ……ちょっと舞い上がっちゃってたね」
キリカ「……ひょっとしたらひょっとして、ミジュかというのは君達のポケモンかい?」
さやか「そうっすよー。あ、でもでも、流石にそこまで奢って貰おうなんて思ってませんからね!」
キリカ「ああ、あ、うん……そう、そうだよね…へぇー、君達、ポケモントレーナーなんだ」
まどか「はい!でもまだまだ駆け出しですけどね」ティヒヒ
さやか「しかしだいぶ強くなってきたつもりですよー!」
キリカ「……バトルは」ギリッ
まどか「え?」
キリカ「バトルはそんな軽々しいものじゃない!バトルは全てだ…強いだの弱いだので表わすような奴はバトルの本質を知らない!
いい!?恩人、君達はバトルの本質を知っているの!?」
突然、キリカが豹変した。
先程までの少し暗い表情もどこへやら、目を見張り声を荒げ仕草は大きく、完全に人が変わっているようだった。
さやか「な、何?キリカ、さん?」
キリカは黙って残りのポケモン達を再びボールから繰り出した。
どのポケモンも呼応するようにいきり立っている。
まどか「何なんですか一体!?」
キリカ「バトル……バトルをしようじゃないか、うん、これ決定」
まどか「ポケモンバトル、ですか?」
キリカ「さあ、贄を差し出しなよ……恩人のポケモンを戦闘不能にするのも、無限の中の有限にすぎないよ」
さやか「なんだかよく分かんないけど、やるしかないか…?」
???「ちょっと待ちなさいキリカ」
キリカの後ろから、サーナイトとチラチーノを引き連れた白い服飾の少女が現れた。
落ち着いた雰囲気で、仁美やマミの様なお上品な空気を醸し出している。
キリカ「ッ!織莉子…?」
さやか「おりこ!?おりこって、この街で噂の占い師さん?」
織莉子「嫌な予感がして来てみれば……ごめんなさいね、少し待ってて貰える?」
キリカ「違うんだよ織莉子!私はただ――」
織莉子「いいのよキリカ、何も言わなくても……戦いのよね?」
キリカ「うっ……あぁぁぁ、そうやってまた私を子供みたいだって思うんだね!?酷いよっ!織莉子なんか、織莉子なんか……」
織莉子「嫌い?」
キリカ「だいっ好き!」
思いっきり織莉子に飛びつきその身を抱きしめた。
その姿は普通の少女の様、まるで甘えるエネコやニャースのようである。
さやか「あの、一体何事なんでございますでしょうか?」
織莉子「貴女達ポケモントレーナーなのよね?少しキリカと私に付き合ってあげてくれないかしら
キリカってばちょっとした二重人格というか……その、ポケモンバトルのこととなると人が変わっちゃうのよ…勝負しないとなかなか収まってくれなくって」
まどか「私達がポケモントレーナーだって分かったから、バトルをしたい…と」
織莉子「えぇ、簡単にいえばそういうことね」
キリカ「くっくく、逃げるのかい?恩人達は意外とセコイんだね」
さやか「……別に、逃げませんよ。ちょっと豹変っぷりにびっくりしてただけですから」
まどか「売られたケンカは買わせて頂きますよ」
キリカ「ふぅーん、くくっ、やる気だね。よし、刻もう」
さやか「じゃあまどか、先にあたしからやるよ」
キリカ「……ふはっ、あはははっ、くだらな変なのっ!やるならダブルバトルと洒落込もうじゃないかっ!!
二人まとめて好きにかかってきたまえよ!」
まどさや「ダブルバトル!?」
織莉子「あら、初めてなの?せっかく二対二なんだもの、ダブルバトルをやらない理由はないと思わない?使用ポケモンは一人二体」
さやか「いいよ!ダブルだろうがトリプルだろうがかかってこいってんだ!」
織莉子「そういえば自己紹介がまだでしたわね。美国織莉子と申します」ペコリ
まどか「鹿目まどか!」
さやか「美樹さやか!二人合わせて!!……」
まどか「……え、私!?」
さやか「あはは、冗談冗談……さあ、気を取り直していこう!」
キリカ「くくくっ、いいねぇいいねぇ!そうこなくっちゃ恩返しにならないさっ!」
トレーナーの 呉キリカと 占い師の 美国織莉子が 勝負をしかけてきた!▽
http://www.youtube.com/watch?v=cWfP71MQusI&feature=related
キリカ「まにゅ~ん、刻んでくるんだよっ!」 マニューラ「マニュッ!」
織莉子「ダイアナ、行ってらっしゃい」 サーナイト「サーナー」
さやか「なるほどね、あたしらは一体ずつ出せばいいのか…ミジュかゴー!」 フタチマル「フルッ」
まどか「よーし、チャモっち!」 ワカシャモ「シャモッ!」
さやか(図鑑によると……エスパーのサーナイト、悪・氷のマニューラ……チャモっちならマニューラを攻められるけど、サーナイトにやられちゃうし……
だったら、あたしがサーナイトを足止めできれば…!)
さやか「ミジュか、サーナイトに"みずの――」
キリカ「"ねこだまし"っ!!」
技を繰り出そうとする前に、素早いマニューラの攻撃がヒットする。
突然のことにフタチマルは怯んでしまい技を出せなかった。
さやか「ミジュか!?」
まどか「大丈夫さやかちゃん!」
織莉子「よそ見をしている暇はありませんよ、"サイコキネシス"」
一瞬の隙を突かれワカシャモは念動力によって浮かび上がり、凄まじい強さで地面に叩きつけられる。
反撃をしようにも、動きは止められ得意の蹴り技は届かない。
まどか「チャモっち頑張って!」
最後の悪あがきで口から炎弾が発射され、マニューラに向かう。
しかし被弾する直前、突然方向転換をして上空に向かった。
ワカシャモの最後の抵抗も虚しく、ここで戦闘不能になってしまった。
織莉子「危ない危ない…なんとかダイアナがフォローに回れてよかったわ」
まどか「そんな、一撃だなんて……チャモっちお疲れ様」シュゥゥン
キリカ「なんだい、張り合いがないとはまさにこのことかい……もっと私を楽しませてよっ!」
まどか「ピピっち、お願い!」ボンッ ピクシー「ピクッピー」
さやか「ごめんまどか、あたしが抑えとこうと思ったんだけど……」
まどか「気にしないで…それよりも、この人たち凄く戦い慣れてるよ」
さやか「流石に自信あり、って感じだね……次はこっちに任せて!ミジュか、マニューラに"シェルブレード"だ!!」
キリカ「"こごえるかぜ"だよ」
二匹に向かって冷気の風が流れ込み、油断するとすぐに転びそうなほどに足元が凍った。
だがフタチマルは、逆に滑った勢いを利用して猛然と突っ込んでいく。
さやか「いいぞ…そのまま決めちゃえ!」
織莉子「"ねんりき"」
クイッとサーナイトが指先を動かすと、僅かな力でフタチマルは転んでしまった。
まどか「ピピっち!?」
それだけはない。
少し離れていたはずのピクシーも凍った足場で転ばされ、つるつると滑っていく。
向かう先は一つ――
フタチマル「フミュッ」ガツン ピクシー「クシュッ」ゴツン
二匹は顔面から衝突した。
さやか「ミジュか大丈夫!?」
キリカ「"きりさけ"まにゅ~ん」
凍った床もなんのその、鋭い足の爪で滑ることなく素早く距離を詰め、フタチマルをに襲いかかる。
負けじと立ち上がり、フタチマルはなんとかその一撃をホタチで防ぐ。
キリカ「あはっ、凄いねっ!止めたねっ!でも!次もあるよ次々つっギ次ぃ!!!」
矢継ぎ早に繰り出されるカギ爪からの猛攻に、フタチマルは必死で応戦するが既に体力は限界に近かった。
まどか「ピピっち、ミジュかを助けてあげて!」
織莉子「させないわ」
遅れて立ち上がったピクシーが援護に回ろうとすると、テレポートしてきたサーナイトが立ちはだかった。
織莉子「!考えたわね……キリカ!ダイアナ!」
まどか「"マジカルリーフ"!」
不可避の攻撃が一直線にサーナイトを狙う。
まどか(あれ!?避けない!?)
サーナイトは落ち着いて指示を待っている。
むしろ慌てたのはまどかの方だ。
なぜならば、その攻撃はサーナイトではなく後ろにいるマニューラを狙っていたのだから。
マジカルリーフは軌道を大きく変えサーナイトを回り込むようにしてマニューラへと向かう。
キリカ「ギリセフだねっ!!」
キリカの叫び声と同時に、マニューラの攻撃がフタチマルの急所を捉え戦闘不能にし、横からのマジカルリーフはマニューラを吹き飛ばした。
まどか(遅かった……でも、それなりのダメージは……!!)
大きなダメージを負ったはずのマニューラは、なぜかピンピンしていた。
サーナイトはもはやピクシーなど気にしておらず、マニューラの方を向いている。
さやか「くっ…お疲れミジュか」シュゥゥン
さやか「ダブルバトルがこんなに難しいだなんて、ちょっと侮ってたかも」
まどか「そんな、着弾と同時に"いやしのはどう"で回復だなんて……どうして分かったの…?」
織莉子「それは……あら、キリカ気を付けて…降ってくるわよ」
さやか「降ってくる…?」
サッと二匹が身構えた瞬間、上空から細かい炎弾の雨が降り注いできた。
それらも難なくかわしていき、結局無傷のままだ。
まどか「チャモっちの"はじけるほのお"……今になって落ちてきたんだ……」
さやか「なんなのよ……なんで分かっちゃうわけ!?」
織莉子「あら、最初に貴女が聞いてきたではありませんか」ニコッ
まどか「!占い師……まさか、本当に未来が分かってるんですか?」
織莉子「クスッ、さあ、どうかしらね」
さやか「マジっすかい……こんなの、勝てるわけないじゃん……」
キリカ「……ふぁ~……飽きた。次で終わらせよう…そうだ織莉子、後で一緒にクレープを食べようよ」
さやか「なっ…舐めるんじゃないわよ!」
まどか「そうですよ!まだ勝負は終わってないです!!」
キリカ「ふっふふ、そう思うんならかかってきなよ!もっと足掻いて足掻いて足っ掻いてみなよっ!!」
さやか「リオすけゴー!何としてでもあいつらをギャフンと言わせてやるんだ!!」ボンッ リオル「リオッ!」
織莉子「……キリカ、心配しなくてもこの子たちなら貴女を楽しませてくれるわよ」
キリカ「ふぅーん、くくっ、あっはははは!!いいねっ!そうこなくっちゃ楽しくないよ!
バトルはかくあるべきなんだ!!まにゅ~ん、奴に"きりさく"だっ!!」
さやか「"バレットパンチ"!」
強靭な脚力による踏み込みで、凍りの足場などものともしない弾丸のような凄まじい速度でパンチが放たれる。
マニューラの腹部に直撃し、思わず身を蹲らせる。
キリカ「構うな!攻撃だよ!!」
織莉子「こちらは"サイコキネシス"」
二匹の攻撃が小さなリオルに向かう――
オリキリ「!?」
かと思いきや、リオルは操られることもなく、マニューラは一心にピクシーを目指している。
織莉子「いつの間に…!」
まどか「"このゆびとまれ"……さやかちゃん今だよ!」
さやか「"はっけい"だぁー!」
リオルの掌底がマニューラの顔面にヒットし、マニューラは一撃でダウンしてしまった。
キリカ「やるねっ、面白っ!」シュパン
織莉子「ならばピクシーを先に仕留めてあげるわ、"サイコキネシス"!」
まどか「"マジカルリーフ"!」
織莉子(まずいわ、かわせない…!)
さやか「そこだリオすけ、"スカイアッパー"!!!」
マジカルリーフがヒットした瞬間を狙い、真下から強力なアッパーカットがヒットした。
的確に急所を狙い撃ち、サーナイトもこれでダウンとなった。
織莉子「……ふふっ、やるわね」シュパン
まどか「はぁ…はぁ……やったね」
さやか「おうとも!これで二対二で追い付いた…勝つよまどか!」
キリカ「やれっ、やってみてくれよッ!!あぼ~ん!!!」ボンッ アーボック「シャボー」
織莉子「プリンセス」 チラチーノ「キュルーン」
まどさや「いっけぇぇーーー!!!」
―織莉子の家―
キリカ「いや、本当に申し訳ない……トレーナーを見るとつい血が騒いでしまって……」
織莉子「普段はこの通り大人しいのにね」クスッ
キリカ「むぅ…あんまり笑わないでほしいな」
バトルが終わった後、キリカはすっかり大人しくなり非礼を詫びたいと言って、まどかとさやかは織莉子の家に招待された。
美国邸を初めて見た時は、思わず二人は息をのんでしまった。
白を基調とした屋敷は、二人がかつて訪れた仁美の家に勝るとも劣らない豪邸だった。
庭師とメイドに挨拶をしながら案内されたのは、様々な種類のバラが咲き乱れる庭の中にあるティータイム用のテーブルだった。
まどか「でも楽しかったですよ、ポケモンバトル」
さやか「いやぁ、あんなに清々しく負けたけど、むしろいろんな発見ができて面白かったね…ダブルは初めてだったけど奥が深いっスね」
キリカ「……まあ、楽しんでくれたのならそれでいい」
織莉子「昔はこんな子じゃなかったのにね」
キリカ「ちょっ…昔の話は置いといてよ……ほら、お茶持ってきてくれたよ!一息つこうじゃないか」
織莉子「もう……」
メイド「織莉子様とキリカ様はいつも通りでよろしいですね」
キリカ「うん、砂糖三個にジャム三杯でよろしく」
まどさや(シロップでも飲むつもりなのかな……)
メイド「あなた方は如何なさいますか?」
まどか「じゃあ私は――」
それからお茶と菓子が準備され、緊張もほぐれてきたところで、まどかはずっと気になっていたことを聞いてみた。
まどか「織莉子さんって、占い師さんなんですよね?未来が見えるとか……」
織莉子「大したものじゃないわ。エスパー少女だなんていう人もいるけれど、昔から少し先のことが見えるくらいなの
お父様の知り合いの方に未来を見てほしいと言われて。それが当たったらしくて何やら噂が広まってしまって、あっという間にこうなっていたわ……
確実に見えるわけでもないし、人によっては未来が変わることもあるけれど、それでもいろんな人が訪ねてきて大変なの」
さやか「もしかして、この豪邸はお一人で稼がれたとか…?」
まどか「さやかちゃん、失礼だよぉ」
織莉子「ふふっ、残念だけどこれはお父様のおかげで私は関係ないわ」
キリカ「織莉子のお父様はグンマー地方ポケモン協会の副理事なんだよ」
さやか「ほぇ~、そりゃまた凄いですね」
織莉子「最近なかなか会えないのだけどね、お父様もお忙しい方だから……」
まどか「あの、せっかくですから私達のことも占ってもらえたりできませんか?これからの旅のこととかちょっと気になってて」
さやか「いいねぇ…安全に旅ができるかくらいなら私も占って欲しいかも」
織莉子「えぇ、お安い御用だわ。迷惑かけちゃったお詫びに二人とも占ってあげるわね」
キリカ「それは悪かったって言ってるじゃないかぁ……」ムスッ
織莉子「冗談よ」クスクス
占いは実に簡単な物で、織莉子がそっとまどかの手を握って瞳を閉じる。
織莉子の前に浮かび上がってきた映像を織莉子が口頭で説明するというものだ。
複雑な物はサーナイトとネイティオがサポートし、バネブーの真珠を水晶玉代わりにして映像を映し出す。
まどかの場合――
織莉子「……砂漠にいるわね……あら、貴女タマゴを持っているのね?でも、何か悪いことが……そう、タマゴが盗まれちゃうみたい」
まどか「そんなぁ!だ、誰にですか!?」
織莉子「……帽子を被ったような人みたいな姿も見えるけど……背が低いから子供かしら?これ以上は詳しくは分からないわね」
まどか「そうですか……大事に持っとかないとだね」
織莉子「次は貴女ね」
さやか「お願いしまーっす!」
さやかの場合――
織莉子「……街が見えるわね……これはどこかしら、大きめの川があるわね……男の子かしら?親しげに話しているのが見えるわ」
さやか「親しげに話す男の子……ま、まさか……」
織莉子「……あら、彼は何か持ってるわね……これは……バイオリ――」
さやか「うわぁぁわぁぁーーもういいですもういいです!!これ以上は勘弁してください!!!」バッ
まどか「良かったねさやかちゃん、旅の途中で上条君に逢えるんだって」
さやか「言うなぁ!!」
その時、突然織莉子のネイティオが騒ぎ始めた。
先程まで、他のポケモン達が賑やかにお菓子を食べている中、一匹だけ少し啄ばんだ後はじっと動かなかったネイティオが、バタバタと飛びまわっている。
まるで織莉子に何か伝えたいことがあるかのように。
織莉子「ドロレス?どうしたのドロレス、落ち着きなさい!」
織莉子の言葉にも耳を貸さず、飛び跳ねていたバネブーから真珠を掻っ攫い織莉子に放り投げた。
織莉子「きゃっ……カップの真珠を無理矢理……何か見てほしい未来があるの?」
ネイティオ「トゥートゥー!!」
さやか「ネイティオ……一日中じっとしているのは未来予知で分かった恐ろしい出来事に怯えているからだという……の割には、随分騒いでますね」
まどか「過去と未来を見ていると言われてるんだね」ピッ
織莉子「分かったわ…ダイアナ、あなたも力を貸して」
サーナイト「ナー」
織莉子の肩にネイティオが降り立ち、手に持った真珠にサーナイトがそっと手を添える。
すると桃色の真珠にぼやけた黒い渦が浮かび上がり、やがてそれは形を成していく。
詳しくは分からないが、巨大ポケモンらしき影の前にまどかが立っている姿が確認できた。
そして対峙するように反対側に立っているのは、同じく巨大なポケモンらしき影と長い髪の人影。
まどか「これ、私だよね?後ろにいるのは、ポケモン…?」
さやか「なんだこいつ、見たことないね?しかしでかいなぁ、何メートルあるんだ……」
まどか「反対側のポケモンも知らないなぁ……」
キリカ「こんな大きいポケモンなんて、伝説のポケモンぐらいじゃないのかい」
さやか「って言ったって、グンマーに伝説のポケモンがいるわけもないですけどね」
織莉子「まどかさんが来たからこの映像を見せたのかしら……でも、これが一体何を表わしているのか私にはさっぱり分からないわ」
まどか「……」
さやか「……どうかした?」
まどか「うん……なんだろう、私、前にもこんな感じの映像見たことある気がするんだ……」
さやか「マジ?それっていつどこで!?」
まどか「分からない…全然思い出せないんだけど、でも見覚えがある気がする」
織莉子「ドロレスがこんなに騒ぐことなんて滅多にないわ……まどかさん、何か思い出したら私に連絡してくれないかしら?
私も何か別のものが見えたら連絡するわ。まだ分からないけれど、嫌な予感がするの」
まどか「は、はい……なんか大事になっちゃったなぁ」
さやか「あたしをからかった天罰ですよ」フフン
>さやか「あたしをからかった天罰ですよ」フフン
さやか「きっとあたしをからかった天罰ですよ」フフン
結局ネイティオは伝えることは伝えたのか、また大人しくなってしまった。
織莉子とポケ―タイで電話番号を交換した後、ちょうどお茶菓子も切れていたので、暗くなる前にポケモンセンターに帰ることにした。
まどか「色々とありがとうございました。また何かあったら電話しますね」
さやか「キリカさーん、今日はご馳走してもらってありがとうございまーす。次のバトルでは負けませんからね!」
キリカ「あぁ、楽しみにしているよ……ところで二人とも、一ついいかな?」
まどか「なんですか?」
キリカ「君達にとって、ポケモンバトルってのはどういうものだと思う?」
まどさや「楽しいもの!」
キリカ「!……即答だね。理由も聞いていいかな?」
さやか「そりゃまあ、今日も感じたことですし……ね?」
まどか「そうだね、ジムとかでバトルを挑まれた時も、友達とバトルした時も、どんなバトルも同じ物はなくって、毎回違う発見があって……
負けたら悔しいけど、人やポケモンとこんなにも触れ合えるのは今まで経験したことなかったから……知らないことに満ち溢れているから
だからバトルは楽しいと思えます」
キリカ「……いいね、私も君達が気に入ったよ。次は全力の私を倒してみせてほしい」
まどさや「はいっ!!」
キリカ「……それで、それが終わったら君達のこ、ここ…恋話とか聞いてみたいなぁなんて……」ゴニョゴニョ
まどか「え?今何て――」
キリカ「別にっ!!じゃあね織莉子、私ももう帰るよ!君達もバイバイだッ!!!」ダッ
織莉子「あらあら、足が速いんだから……ではお二人も御機嫌よう…あなた達の未来が平和でありますように」ニコッ
織莉子「行ってしまったわね……ドロレス、もう何も見えないの?」
ネイティオはあれからあまり動こうとしない。
傍目には分からないが、やはり何かに怯えているのだろうかと織莉子は少し心配になってくる。
織莉子「昔から臆病だった貴女が勇気を出して教えてくれたのよね……」
メイド「織莉子様、ご友人は帰られたのですか?」
織莉子「えぇ、ついさっき……ねえローザ」
ローザ「なんでございましょう」
織莉子「お父様と連絡は付くかしら?」
ローザ「可能ですが、急ぎのご用事ですか?」
織莉子「そういう訳でもないのだけれど、次にお父様が帰られるのは五日後だったはずよね?あまり待っていられないの」
ローザ「かしこまりました、すぐにお繋ぎしてまいります」
織莉子「ありがとうローザ」
庭師「お嬢様、もう庭を片付けても宜しいのですか?」
織莉子「あらルート、お願いしてもいいのかしら?」
ルート「今日はあまり手入れができませんでしたから…これくらいお安いものですよ」
織莉子「ありがとうルート」
ローザ「織莉子様、お繋ぎしました」
織莉子「えぇ、今行くわ」
―織莉子の家・メイド室―
ローザ「ぶはぁぁぁ……マジかったるいんスけど」
ルート「あなたねぇ……さっきまでの方がお上品で私は好きなんだけど…普段からああいう感じにしなさいよ」
ローザ「ちょっ、勘弁して下さいよ姐さん……キャラ作るのこれでも必死なんスから」
ルート「それにしても、毎日毎日薔薇の手入れじゃあ肩が凝って仕方ないわね。私もメイドになりたかったわ」
ローザ「ホントそう思うっスよ……どう考えてもルートさんの方がお似合いっス」
ルート「全く、ナハト様が余計なことを言わなければ……」
~~~~~~~~~~
ナハト「潜入調査?アハハハ、それ面白そうだね!え、ルートがメイドでローザが庭師?そうだ!せっかくの機会だから逆にしちゃおうよ!!
その方が面白そうだし!!キャハッ、これけって~~い!!!」
~~~~~~~~~~
ルート「どうしてこんなことに……」ハァ
ローザ「言ってくれればあたしはいつでも交代できるんスよ?あたしはルートさんの部下っスから」
ルート「いいえ、ナハト様の言ったことに逆らうつもりはないわ。頑張りましょう」
ローザ「いつまでやりゃいいんスかねぇ、未来予知少女の監視なんて」
ルート「私達の邪魔をさせなければそれでいいのよ……それまでの辛抱ね」
ローザ「うっす、あたしも頑張るっスよ!」
メイドと庭師、二人の怪しい会話は、まだ誰も知らない。
~七日目~
朝早く目が覚めた二人は、朝からたっぷり胃に流し込み、この後の苛酷な環境に耐えうる体力を少しでも蓄える。
昨日予約しておいたレンタルショップで砂漠越えの道具一式を借り、早速着替える。
気温はそこまで高くはないが、砂嵐が発生することもあるため目に砂が入らないようにゴーグルを装備し、髪を傷めないよう帽子も被る。
その他諸々の服装に着替え、準備は完了。
じゃんけんの結果、まずはさやかが大きめの鞄を背負い、ゆっくりと歩き出す。
さやか「これは……予想以上に重いかも……」
店主「なぁに、すぐに慣れるさ。道は大丈夫だな?」
まどか「はい!まずは南に下ってポケモンセンターを目指して、それから西に向かっていけばトキサダメシティですよね」
店主「あぁ。早い奴は一日で行けるけど、無理せず途中のポケセンで休憩するのがいいぞ。特に初めての連中には厳しいからな」
さやか「ご忠告感謝です……よしまどか、行くよ!」
まどか「よーし、目指すは砂漠のポケモンセンターだね!行くよチャモっち、ピピっち!!」
さやか「ミジュか、リオすけ、フラすけ……あたしがヤバくなったら頼んだ……」
ナックラー「ふぁ~……」ヨタヨタ
さやか「……うん、少し不安だけど任せたよ」
二人は砂の地へと足を踏み入れたのだった。
―イツ砂漠―
グンマー地方に存在する唯一の砂漠エリア。
砂漠といっても線路が敷かれており、歩いて通ることのできる道路も整備されているため、それほど過酷な環境ではない。
海に繋がっている巨大な川が横断しているのが特徴でもある。
物珍しさや砂漠に埋もれる遺跡を目的に、たまに観光客が訪れるが、特に何も見つからないためがっかりする人も多い。
さて、まどか達はというと――
さやか「ポケモンじゃんけん……じゃんけんポン!!」サッ
まどか「私が炎でさやかちゃんが草だからまた私の勝ちだね!」
さやか「ば、馬鹿な……いい加減重いんだけど」
まどか「でもじゃんけんで負けた方が荷物持ちって言い出したのはさやかちゃんだよ?言い出したからには最後まで責任を持ってほしいなぁ」
さやか「ぐぬぬぬ…過去のあたしって、ほんとバカ……」
まどか「見てさやかちゃん、スコルピだよ!まだ捕まえてなかったよね!?」
さやか「多分ね……」ゼェゼェ
まどか「捕まえてくるねー」タッタッタ
さやか「うぅっ、待ってよー……」ヨタヨタ
それなりに楽しそうに旅をしていた。
???「……」ジッ
背後からの陰には気付かずに……
―ポケモンセンター―
さやか「や…やっと着きましたわ……」グテッ
まどか「お疲れ様さやかちゃん。お昼前に着いてよかったね」
さやか「もう空腹と水不足と疲労で干からびそうアンド倒れそうだよ……」
まどか「ティヒヒ、ごめんね?明日からは荷物は私が持つからね」
さやか「おぉぉ、ま、まどか…いや、まどかさんが輝いておられる……か、神…!?」プルプル
まどか「……ど、どうしたのさやかちゃん!?私がじゃんけんで勝ってばっかりだから変な幻覚でも見えちゃってるの!?」ユサユサ
さやか「さて、まずはシャワー浴びたいね」
まどか「急に素に戻らないでよ」
~1時間後~
さやか「サボテンステーキうまいねぇ!さすが看板商品、こりゃハマるわ」バクバクガツガツ
まどか「もう、ちょっとびっくりしたよ」
さやか「まさかこんなところで茶番を繰り広げることになるとわね」モグモグ
まどか「しかも自分で言っちゃった……」
さやか「しかしここ広いね、まるでショッピングモールみたい」モグモグ
まどか「お土産とか砂漠越えの道具とかいろいろ売ってあるもんね」
さやか「あたしらもなんか買ってく?郵送もできるみたいだし、実家にでもさ」モグモグ
まどか「うーん、今日もうここに泊まるんだよね?ならせっかくだし見ていこっか?」
さやか「だね…しかしホントこれ美味いな……」モグモグ
ここはさやかの言うようにショッピングモールでありながら、宿泊施設も兼ね備えている、いわばホテルでもある。
八階建ての建物には、一階の質素なポケモンセンターのものから、上階のゴージャスなホテルのものまで様々なランクの部屋が用意されている。
当然ながら二人は節約のために、ポケモンセンターに泊まらざるを得ない。
食事を終えた二人はショッピングへと繰り出した。
まどか「見て見てさやかちゃん、このマラカッチのぬいぐるみ可愛いいよ!」
さやか「うっ…なぜサボテンを今見せるのか……さっきがあんなに食べちゃったのに、なんかちょっと罪悪感出てくるじゃん」
まどか「もう、別にこの子たち食べたわけじゃないのに……」
さやか「そうだ、サボテンで思い出したけど張り紙見た?」
まどか「張り紙って?」
さやか「よく旅行者の荷物が盗まれる事件が起こってるんだって。しかも犯人は野生のノクタスらしいよ
通称、砂漠の盗賊団……まあ、盗むって言ってもせいぜい食料くらいらしいんだけどね」
まどか「砂漠の盗賊……もしかして、私のタマゴを盗むのってノクタスかな?」
さやか「え、でも帽子被った子供みたいって織莉子さん言ってなかった?」
まどか「ほら、ノクタスって帽子被ってるように見えるし、身長も大体子供とおんなじくらいじゃない?」
さやか「言われてみればそうかも……」
まどか「絶対そうだよ!気を付けないと――っ!?」バッ
慌ててまどかは振り返った。
刺すような視線をその背中に感じたからだ。
人混みの中に特に怪しい影は見当たらなかった。
さやか「どうしたの?」
まどか「今誰かに見られてた気がする……ま、まさか本当に狙われてるのかな…?」
さやか「ふーむ、言われてみればあたしもちょくちょく視線を感じてたんだよね。てっきりこの美貌に見とれてるのかと思ってたけど……」
まどか「う、うーん……」
さやか「いや、突っ込んで欲しいな……でも多分違うんだよね、ここトレーナーばっかりだからさ」
まどか「っていうか、みんなバトルしてるよね?」
デパート内では、あちこちで技を叫ぶトレーナーやポケモン達の鳴き声が響いている。
特に面白いものもない砂漠の観光で、飽き飽きしている客ばかりなのだ。
バックパッカー「ねえ、君たちも観光?良かったら私とバトルしない?」
いせきマニア「ではそっちのあなたは私とどうですかな?」
さやか「やっぱりこういうことか……どうする?」
まどか「買い物なら後でも出来るもんね…買いますよ、その勝負!」
さやか「よくぞ言ったまどか!」
バックパッカー「よし来た!行けメグロコ!」ボンッ
いせきマニア「行きなさいコドラ!」ボンッ
まどか「チャモっちお願い!」
さやか「フラすけゴー!!!」
ナックラー「……」
さやか「……いや、お前ならできる!あたしは信じてるぞー!!!」
結局二人もあちこちで勝負を挑まれることとなり、気が付けばあっという間に日は沈んでいた。
まどか「疲れたね~……結構勝ててびっくりしちゃった」
さやか「うーん、勝った数はまどかのが上か~……やるなぁこやつめ」
まどか「えへへ……そういえば聞いた?このホテル今ジムリーダーが来てるんだって」
さやか「なーんかそんなこと言ってたねー…いや、まさか今から挑戦しにいくわけ?」
まどか「流石にジムリーダーさんも忙しいだろうから無理だろうけど、顔くらい見ときたかったなぁって」
さやか「ま、いつか戦う訳だから挨拶くらいできればよかったかもね」
まどか「だねぇ……あっ、そういえば」
さやか「どした~?」
まどか「全然買い物できてないなぁって」
さやか「……しまったぁ忘れてた!今から買い物は!?」
まどか「お店は開いてるけど、郵送を頼むなら明日にしなきゃ駄目みたいだね」
さやか「くっ……しょうがない、明日にしよっか」ハァ
まどか「その代わりほら、後で食べるおやつでも買っていこうよ!」
さやか「おっ、賛成賛成!」
さやかの意見で、二人はサボテン饅頭にサボテンケーキ、サボテンチョコレートなど、サボテン尽くしのお菓子を購入したのだった。
その後食事や入浴を終わらせた二人は、慣れない砂漠道を歩いたこともあり部屋でのんびりしていたが、
やがて催眠術でもかけられたかのように、どちらからともなく泥のように眠りについた。
~深夜~
<ドドゴオォォォォォォォォォン
さやか「キュウコンの尻尾モフモフ!?」ガバッ
まどか「ん……さやかちゃんどうしたの…?」モゾモゾ
突然の爆音で二人は目を覚ました。
軽く建物が揺れたらしくさやかの頭もくらくらしている。
さやか「……んにゃ…何かでっかい音がしたような気がしたんだけど」ポリポリ
まどか「音?」
<何事だー
<うわぁなんだこいつら!
さやか「外でなんかあったのかな?」
まどか「なんだろう…行ってみよう」ガバッ
さやか「う、うん」
まどかが扉を開けた瞬間、それを待っていたかのように何者かが侵入してまどかを押し倒してきた。
さらに雪崩のように次々と入りこんで来てゴソゴソと何かを始めた。
僅かにワカシャモ達の短い鳴き声が聞こえたが、それ以外は物音だけだ。
さやか「な、なんなんだあんたら!?」
さやかは咄嗟に部屋明るくすると、文明の利器がその強盗の正体を明らかにした。
ノクタス「フォッフォー」 ノクタス「ノックターン」
さやか「ノクタス!?ってことは、まさかあんたらが噂の砂漠の盗賊団!?」
まどか「お、重いよ~……なんでノクタスがここにいるの…?」
ノクタス「クックク」スッ ノクタス「ノーノー」ゴソッ
さやか「あー!それ明日の為に取っといたサボテン饅頭!!ま、まさか同族の仇を討ちに来たとでもいうのかぁ!?」
まどか「さやかちゃん!それより私のタマゴが!!」
さやか「タマゴ?」
押し入ってきたノクタス達の手にはそれぞれお菓子、モンスターボール、ポケモン図鑑、ポケモンのタマゴがあった。
さやか「ってタマゴどころじゃないよ!いつの間にかミジュか達のボールまで!返せこのっ!!」ガバッ
素早くかわしたノクタス達はそそくさと部屋を離れ、散り散りに逃げていった。
まどか「そ、そんな……タマゴもチャモっち達も奪われちゃった……」
さやか「おまけにお菓子まで…!あ、後図鑑……と、とにかく、追いかけないと…!」
まどか「でも、チャモっち達がいないんじゃ追いかけたって取り返せないよぉ」グスッ
さやか「だからってここにいたってしょうがないよ!まずは追いかけてから考えよう!なんならあいつらゲットしちゃえ!」
まどか「……うん、そうだね…行こうさやかちゃん!」
さやか「そうこなくちゃ!さすが私の嫁ふみゃう!?」ズテーン
まどか「さ、さやかちゃん大丈――あっ!フラすけ!!」
さやか「なぬ!?フラすけ、あんたなんでこんなとこにいんの!?」
さやかが躓いたのは、睡眠を妨害されて露骨に嫌悪感を示しているナックラーだった。
まどか「そういえば、いっつも寝る時は一人でベッドの下で眠ってたっけ?」
さやか「ぐっ……そうだった、初日に一人で勝手に眠ったこいつをあたしの隣に連れてきたらものっそい噛みつかれたんだった……
まあ、おかげでノクタスに見つからずに済んだみたいだけど」
まどか「でも、これでなんとかなりそうだね!」
さやか「おう!フラすけ、せっかく気持ちよく寝てたのにごめんね?でもね、こんな騒ぎを起こしたのはノクタスなんだよ
一緒に行って、あいつらにきっついお灸を据えてやろうじゃん!」
黙って頷き走り出したナックラーに続き、二人も部屋を出た。
廊下には同じように被害を受けたらしき人達がしどろもどろしている。
しかし騒がしいのはそれだけが原因ではないようだ。
まどか「見て!騒いでるのはノクタスだけじゃないみたいだよ!」
何処から現れたのか、やたらめったら噛みつくフカマルや、とにかく転がり回るタマザラシ、五月蠅く飛びまわるヤミカラスなど、辺りは騒然としていた。
さやか「一体何が起こってんのよ……でもとりあえず、あたしらはミジュか達をとり返すのが先決だよね」
???「ゼブライカ、"スパーク"だ!」ピシッ
痛そうな鞭の音と共に、さやかに後ろから襲いかかろうとしていたスリープに、横からゼブライカの攻撃が炸裂した。
階段の手前、ベレー帽から覗く白髪のショートヘアと眼鏡の似合う少女が凛として立っていた。
手には乗馬鞭らしきものが握られている。
???「お前ら、危ないから自分の部屋に帰ってな」
さやか「なっ…誰ですかあなた!あたしらあのノクタスに用があるんですよ!!じっとなんかしてられませんからっ!」
???「黙れ、怪我したいのか」キッ
まどか「でも……私達のポケモンが……」
???「それくらい私が取り返してやるからいいから大人しくしてろ。私は浅海サキ…こう見えてもジムリーダーをやらせて貰っている
こいつらの始末ならすぐに終わる」
さやか「っ!?あんたが噂のジムリーダー…?」
サキ「どんな噂か知らんが既に上階のポケモン達は私のシママとゼブライカが制圧に向かっている
こっちが終わったらすぐに君らのポケモン達も取り返しに向かうからそれまで待ってろ」
まどか「そんなの……待ってられませんっ!」ダッ
さやか「同じく!」ダッ
サキ「お、おい!……チッ、話の通じない……ゼブライカ、このフロアのポケモン達を大人しくさせたら私達もあの二人の元へ行こう
しかし、ここのノクタス達は食料くらいしか盗まないと聞いていたが……なんにしても、まずはこいつらを沈めなきゃならんが、流石にここは数が多いな……」
しなる鞭の音に合わせてゼブライカが駆けだした。
騒がしい建物から抜け出すと、どうやら上階でも騒ぎになっているらしく偶にガラスが割れて降り注いできた。
人やポケモンの悲鳴が重なり合い、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。
さやか「こりゃ思ったより大事だ…あの人に任せてマジで大丈夫なのかな!?」
まどか「きっと大丈夫だよ、なんたってジムリーダーなんだし……それよりノクタスは何処行ったんだろ?」キョロキョロ
さやか「足跡は……暗くてようわからんし」ジーッ
ナックラー「クニャァ!」
さやか「ややっ、サボテンっぽい影発見!!行って来いフラすけ、"かみつく"だっ!」
颯爽と飛びかかったナックラーを、振り返ったその影が刺々しい腕をふるって叩き落とした。
驚いた影がくねくねと体を動かすと、シャカシャカと軽快な音が辺りに響く。
さやか「チチィ、"ニードルアーム"で反撃とはやりますなぁ」
まどか「待ってさやかちゃん……あのポケモン、ノクタスじゃないみたい」
さやか「え?だって、どう見てもサボテンじゃん!」
まどか「そうだけど、ほらよく見て、花が咲いてるもん」
暗闇に慣れてきた二人は、改めてそのサボテンの影を凝視する。
それはノクタスではなく、どうして攻撃されたのか分からずおどおどしているマラカッチだった。
さやか「紛らわしいなぁもう……そんなことよりノクタスは何処行った」キョロキョロ
まどか「ごめんね、驚かせちゃったね」
さやか「ややっ、今度こそノクタス発見!!」
ノクタスの集団が近くの岩場に向かって走っていくのを見つけた。
その中に、まどか達のタマゴや図鑑を持っているノクタスも微かに確認できた。
さやか「追うぞまどか、フラすけ!!!」ダッ
まどか「ま、待ってよぉ……あれ、なんだか急に空が暗く――っ!危ないっ!」バッ
咄嗟にまどかが飛び出し、マラカッチを抱きかかえて倒れこむ。
その僅かな差で鋭い爪が空を切った。
遥か上空からマラカッチを狙って急降下してきたのは、目一杯翼を広げたバルジーナだった。
さやか「な、何事だまどか!今の何!?」
まどか「痛た……さやかちゃーん、何でもないよー!こっちは大丈夫だから、それよりノクタス達をよろしくー!」ブンブン
さやか「!分かったー!!こっちは任せとけー!」タッタッタ
まどか「すぐ追いつくからねー!」
さやか「当たり前だっつうのー!」
一瞬迷ったが、まどかの言葉を信じてすぐに振り返りさやかは走り出した。
親友が大丈夫と言ったのだ、大丈夫に決まっている。
そう信じて……
372 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/18(水) 22:48:42.40 xu4QL4tY0 313/548再現パーティ作りたいので性格と特性くらいまでは書いてくれると嬉しいなって
マミさん好きだから絶対再現パ作ろうとしてたのに、マリルリの色違い……ちくしょう……
373 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/18(水) 23:23:06.13 zjEbJ/g+o 314/548>>372
つポケトレ
374 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/19(木) 16:27:14.01 q9hCoije0 315/548そういうことなら……
リオすけ(リオル)
青いから……ってのがまず
剣の舞とか神速とかさやかの戦闘スタイルにぴったりだと思ったので
性格はやんちゃ、さやかと似た者同士
博物館や電車で騒いだり、マミさんの家で勝手にうろちょろする辺りイタズラが好きなのかもしれない
マラカッチ「マカッマカッ!」ブンブン
まどか「あっ、ごめんね、重かった――ひゃぅ!?」ブワッ
一陣の風が吹いたと思うと、まどかは自分の体がさっきよりも軽くなったことに気が付いた。
心なしか吹くが引っ張られているような気もする。
まどか「きゃっ…わ、私、空飛んでる!?な、なんで……」
バルジーナ「……」ニヤリ
まどか「……あ、ああははははは……」
まどか(どうしよう、これ……)
いつの間にやらバルジーナに連れ去られ、まどかは暗闇に浮かんでいた。
まどか(うわぁ……真っ暗だ…こ、怖すぎる……)
がっちりと服に爪が引っ掛かり、到底抜け出せそうにない。
もっとも、抜け出したところですでに無事では済まない高さまで上昇してしまっているのだが。
まどか(服を脱げば……流石にそれは恥ずかしいし……) シャカッ
まどか(一体何処に連れていかれるんだろう) シャカシャカッ
まどか(っていうか、何の音――っ!!)
マラカッチ「マ~~……」シャカシャカシャカシャカ
音の正体は、バルジーナのすぐ後ろにまで迫っている飛べないはずのマラカッチだった!
腕をぐるぐると回転させる毎に、マラカスのような乾いた軽快な音が静かな空に響き渡る。
マラカッチ「カッチャー!!」
その腕をバルジーナに向けた瞬間、無数の種が射出された。
一瞬の出来事だった。
いないはずのマラカッチが現れ、しかも突然攻撃されたとあっては、流石のバルジーナも獲物を離さざるを得なかった。
まどか「へっ?」
そうしてまどかは、
まどか(あぁ、これ、死んじゃったかも)
闇の底へと沈んでいった。
まどか(もうちょっと旅、続けたかったんだけどな……ごめんねみんな……私、こんなところで――)
――諦めないで
まどか(……?今、声が――)ガシッ
まどか「きゃぁっ!」ボフッ
死を覚悟したまどかは、予想に反してふわふわの地面との衝突に思わず叫び声を挙げた。
まどかが落ちた辺り一面、砂漠に気候外れの雪でも降ったかのような、分厚い真っ白な綿に覆われていた。
マラカッチ「マッカララ~!!」
まどか「これ、あなたがやってくれたの?」
マラカッチ「カッチャ!!」
まどか「ありがとう、助かったよ……これ"コットンガード"の綿かな?下が砂地だったのも運が良かったのかな」
まどか(でもそれだけじゃない……あの時一瞬、誰かに受け止められたような気がしたんだけど……)
マラカッチ「カッチッチ~」クスクス
まどか「えへへ、でも、とりあえず君には二回も助けて貰っちゃったね……あれ?ちょっと足見せて」
マラカッチ「!」ビクッ
まどか「やっぱり、ちょっと怪我してる……あんなに高く"とびはねる"使ったら自分だって傷付いちゃうのに、それでも私を助けてくれたの?」
マラカッチ「カチッ!」
まどか「……本当にいい子だね。傷薬持ってきてないけど、ノクタス達を捕まえようと思って持ってきたボールの中に……」ゴソゴソ
ポケットから取り出したのは、知久に貰った、まどかと同じ綺麗な桃色のヒールボールだった。
まどか「これに一回入ってくれる?そうしたらちゃんとこの傷も治るからね」
マラカッチはこくりと頷いて自らボールに入っていった。
まどかがボールから出すと、先程までの傷跡は全く残っていなかった。
まどか「これでオッケーだね…バイバイマラカッチ、色々とありがとね。私も早くさやかちゃんに合流しないと……」
マラカッチ「…?」キョトン
まどか「…?どうかしたの?」
クイクイっとまどかの裾を引っ張っている。
どうして自分が置いて行かれるのか分かっていない様子だ。
まどか「もしかして……私についてきてくれるの?」
シャカシャカと軽快な音を鳴らして、やはりこくりと頷いた。
まどか「~~~ッ!!!ありがとうマラカッチ!!旅が始まってから初めて増えた私の仲間だよいったぁぁ~~!?」
抱きついてしまい体の棘に思わず仰け反ってしまったが、涙交じりの笑顔を浮かべている。
まどか「……じゃあさっそくだけど、ノクタス達から色々取り返すの手伝ってくれないかな?」
マラカッチ「カチッチ~」コクリ
まどか「えへへ、ありがと――っ!」バッ
ふと、背後に視線を感じてまどかは振り返った。
月が雲に隠れているため、その顔は見えない。
???「……」
まどか「だ、誰…?」
お、お前は…!
ミジュか(ミジュマル→フタチマル)
主役五人には各世代の御三家を振り分けてある
青くて刀を使うポケモンなんてこれまたぴったりすぎると思ったので
冷静な性格でさやかとは真逆
実は意外と体が丈夫
うわああああまたまた抜けてるレスを発見してしまった
しかも相当前のやつとか……
今更すぎて言うべきか迷ったけどせっかくだから>>160の前に↓を
佐倉父「やあ、娘達から話は聞いているよ。なんでも、ポケモントレーナーになったばかりだというのに、とても筋がいいみたいだとね」
まどか「そんなことないですよぉ」テレテレ
佐倉父「私もジムリーダーとして戦うからには、全力を持ってお相手しようと思う。使用ポケモンは二体、入れ替え戦で構わないね?」
さやか「問題ないですよ」
佐倉父「さて、初めに私の相手をしてくれるのはどちらのお嬢さんかな?」
まどか「私から戦わせて貰います」
佐倉父「了解した。私に勝つことができれば、このチエーロバッジを授けよう
そうそう、自己紹介がまだだったね。私の名前は佐倉「へくち!」だよ……君、具合でも悪いのかい?」
さやか「あ、お気になさらず」ズズッ
佐倉父「それはいけないね。ポケモンバトルはポケモンだけでなくトレーナーの体調も優れていなければならないのだが……
しかし、相手になるからには油断せず戦うとしよう」
モモ「おとーさんがんばれー!」
ゆま「師匠!やっちゃってくださーい!」
杏子「こら!お前ら静かにしてろ!」
まどか「愛されてますね」ティヒヒ
佐倉父「ハハッ、少々恥ずかしいね……さて」コホン
しまった結局特性言ってなかったwwww
ピピっち『メロメロボディ』
チャモっち『もうか』
リオすけ『せいしんりょく』
ミジュか『げきりゅう』
だよ
他のポケ達もおいおい
一方その頃さやか達は――
さやか(こいつぁ一体どういうことだ……)
岩陰からこっそり覗き込むさやかの目の前には、ノクタス達の群れとその中に帽子を被った少女が一人退屈そうに岩の上に座っている光景が広がっていた。
独り言も微かに聞きとれる。
ノクタスの他にも、ドククラゲとドクロッグが少女の両隣りに居座っている。
さやかはこの組み合わせに、苦い思い出と共に見覚えがあった。
さやか(杏子達を襲ったあいつだ…!)
シズル「ほほぉ、流石砂漠の盗賊団と呼ばれるだけあるねぇ……ボクの期待以上だよ君達っ!……あり、でも肝心要のジムリーダーのポケモンがいないじゃないか
せっかくドクロッグの"ばくれつパンチ"で壁に穴を開けてあげたのに、これじゃあ何のために君らをお遣いに向けたのやら」フゥ
さやか(お遣い?ってことはこの事件の黒幕はあいつか!狙いは杏子の時と同じくジムリーダーのポケモンを奪うことか……)
シズル「おっ、それはポケモンのタマゴじゃないか!ラッキー儲けー♪どんな素晴らしいポケモンが産まれてくるかワクワクするねぇ
あ~でも、一般人の持ってるタマゴにゃなんも期待できないかなぁ」
さやか(まずいぞまずいぞ~……ノクタス達だけならなんとかなったかもしれないけど、あいつのポケモンまでいるんじゃフラすけだけじゃ勝てっこないっての)
シズル「何してんの?早くジムリーダーのポケモン奪ってきなよ……じゃなきゃ後が怖いよぉ♪」ギヒヒ
おずおずとノクタス達は走り出した。
横を抜けていくノクタス達の表情は、暗くても分かるほど曇っていた。
さやか(あいつら……ひょっとして脅されてやったのかな……)
ノクタス達がいなくなり、シズルはため息とともに心底退屈そうに愚痴を零す。
シズル「ふぁ~……しっかしバルジーナ遅いなぁ…どこうろついてんだろう……すぐに帰ってくるっていうから好きにさせてたのにさぁ」
そんなことは気にも留めず、さやかは隠れて頭の中で考える。
ずばり、これからどうするべきか。
さやか(近付いたらまたドククラゲの毒の包囲網に狙われるちゃうし……あぁもう!打つ手ないじゃん!!
……っていうかバルジーナがいないって、ひょっとしてさっきまどかを襲ってたのって――)
ふと、岩の影が大きなっていることに気が付いた。
シズル「だーれだ♪」ニコッ
さやか「……あ、ああはははははは……」
シズル「気付いてないとでも思った?ギヒヒ、そこは既にドククラゲの包囲網の中なんだよねぇ」
さやか「えっ……い、いやぁ奇遇ですねぇ!わたくし偶然ここを通りかかったんですけど何かあったんですかね!」
シズル「好きくないなぁ、そういうの……」
さやか「何のことでしょうかね……」
シズル「君の顔見覚えあるんだよねぇ、そう、あれは確か数日前のこと……そういえば盗んできたボールの中にリオルとフタチマルがいたっけ
あれはひょっとして君のだったのかな?」
さやか「――っ!」
シズル「あははっ、わっかりやすいなぁ!そんでもって、さっきから私に牙むき出しで威嚇してるのはどういう了見なのかな?」
ナックラー「グルルル……」
さやか「いや、あの、こいつってばまだあんまり人に慣れてなくってですね!山で出会って以来ずっとなんですよ!!
って、なんであたし年下に敬語なんだろうね!?あはははは、あはっ……」
シズル「山?……あはっ、そういうこと!だから怒ってるんだね!傑作!!!」
砂漠全体に響く様な大声で突然笑い出した。
さっきまでの退屈モードは何処へやら、目の前のナックラーをこれでもかと指差しながらひたすら腹を抱えて笑っている。
さやか「あぐっ……」ギリッ
シズル「うーん、このまま締め上げちゃってもいいんだけどどうしよっかなぁ」
サキ「おっと、そこまでにしてもらおうか」スッ
二人の前にゼブライカに乗ったサキが颯爽と現れた。
ホテルのポケモン達は全て撃退され、道中で会ったノクタス達も既に全員体が痺れて動けない状態にされており、ホテル側の事件はサキの活躍によってほぼ収束した。
あとは黒幕を捕まえるだけであり、その役目も買って出たのが、何を隠そうヒメナシティのジムリーダー浅海サキだった。
シズル「おやぁ、ジムリーダーさん自らご登場だね。やっぱ野生のポケモンに任せたのは失敗だったかなぁ」ニッ
サキ「その子を離せ…それと、盗んだ物も返して貰おうか」
シズル「盗んだ物は好きにしなよ、っていうかボクのじゃないしね…ノクタスが勝手に盗んできたやつだもん」
サキ「……卑怯者め」
シズル「ああ、ごめんごめんこの子ね、返してあげるよ。ボクも人質なんて趣味じゃないんだぁ」
シズルの合図で触手からさやかが乱雑に放り投げられた。
すかさずサキがキャッチするも、続け様に投げられたナックラーがぶつけられ、結局バランスを崩し揃って落馬した。
役目を終えた触手は引っ込み、ノソノソとドククラゲとドクロッグがシズルの横に立ち臨戦態勢を整える。
シズル「これで本気出せる?負けた時の言い訳はできないけど、別にいいんだよね?」
サキ「……お前、私を馬鹿にしているな」
シズル「負けたらポケモン頂いてくよぉ♪覚悟してねぇ」
さやか「あ…ありがとうございます…サキさんでしたっけ?あいつ、マジで強いですから気を付けて下さい……」
サキ「フン、君も私を舐めているのか?ジムリーダーとして負けるわけにはいかんからな……だがその前に聞きたいことがある」
シズル「なんだぁい?」
サキ「あの騒ぎはお前が引き起こしたのか?」
シズル「そうだよぉ」ニコッ
サキ「……随分あっさり認めるんだな」
シズル「ギヒヒ、隠したってしょうがないもんね」
サキ「あんなに大量のポケモン、しかも全部野生のようだが……一体どうやって準備したのか知らないが、
グンマーの平和を妨げる行為は、ジムリーダーとプレイアデスの名の下に許すわけにはいかんな」
さやか「プレイアデス…?」
シズル「プレイアデス星団……グンマー地方の平和を守る愛と正義の自警団♪たった7人の少女で構成されるなんともまあ寂しいチームだよ」
サキ「ふん、それがどうした?そのうち三人はジムリーダーだぞ、そこら辺の警察なんかとは一緒にしないで貰いたい」
シズル「とか言ってボクが起こした事件についてはノータッチじゃん、意味分かんないよねぇ」ギヒヒ
サキ「チッ、無駄口を」
さやか「あんた一体なんなの!なんでこんなことすんのさ!」
シズル「決まってんじゃん、ジムリーダーのそいつを誘き出すため…あ、あとついでになんか面白そうなもの盗んできてくれるかなぁ、ってね
あぁそうだ、タマゴはできれば置いていってほしいなぁ……ひょっとしたらいい感じのポケモンが生まれるかもしれないし」
サキ「つまらんことを……招待状でも送ってくれれば出向いてやったものを」
シズル「や~だよぉ、お仲間と一緒に来られたらボク勝ち目ないじゃ~ん!」
サキ「ハッ、お前など私一人で十分だ」
シズル「粋がってると足元掬われるんだよぉ?」
サキ「その言葉、そっくりそのまま返してやる」
シズル「ギヒヒヒ……さぁて、お喋りはこの辺にしとかないとあんまり時間ないしね……」
サキ「上等だ、かかって来い!」
シズル「ドクロッグ、ドククラゲ行ってらっしゃーい」
サキ「ゼブライカ!ライボルト!」ボンッ
サキとシズルのダブルバトルが始まった。
素早いゼブライカのスパークも、唸るライボルトの雷の牙も、がっつりドクロッグが受け止める。
その隙を突いて80もの触手が二匹に襲いかかる。
サキ「"ほうでん"だ!」
サキの命令でライボルトの鬣から一気に電気が放出され、全ての触手とドクロッグが吹き飛ばされていく。
サキ「どうだ、常に鬣から放電しているライボルトの攻撃は……おまけに普通なら味方もダメージを負うところだが、
『でんきエンジン』のゼブライカにはむしろご馳走さ」
シズル「わおっ、やるやるぅ!ドクロッグ"ばくれつパンチ"だ!」
ドクロッグ「グググ……」
シズル「あり…?」
サキ「ふふっ、どうやらライボルトに触れた時に『せいでんき』にやられたようだな…好機!二人とも"かみなり"だ!!」
ライボルトの頭上に発生した雷雲から重低音が響き渡り、二つの雷がドクロッグとドククラゲを撃った!
麻痺も合わさり、二匹ともダウン寸前である。
さやか「す…凄い……」ゴクリ
サキ「どうした、もう終わりか?」
シズル「ヒュー♪やるぅ~、流石ジムリーダーさん!このまんまじゃ負けちゃうよ」ニヤリ
387 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/20(金) 23:15:13.78 nNWJQB/00 328/548やったか!?
フラすけ(ナックラー)『かいりきばさみ』♂
割と理由はないけど、飛行要因として活躍してほしかったのが一つ
それと『W』の組織と因縁のあるポケモンをまどかかさやかの手持ちに入れたかったから
フライゴンの色違いが青なのは関係あるようでない
性格は生意気、いつもさやかに噛みついてばかりだったり人に対して威嚇したりと血の気が多い
タケシ戦といい性格といい、どことなくピカを思い出す気がしないでもない
ドスッ
サキ「なっ…に…?」
さやか「えっ…サキさん!?」
シズル「あれあれ、どうかしたのかなぁ?」
サキ「汚いぞ……後ろから襲ってくるなど……」ドサッ
さやか「あれはベロリンガ…!いつの間に……」
サキの後方、ベロリンガが不気味に舌を伸ばし笑っていた。
足元には、暗くて確認しづらいが、確かに大きな穴が開いている。
さやか「いつのまに"あなをほる"で後ろから……くっ、卑怯だぞ!3対2なんて!」
シズル「何と言われようと関係ないねぇ、ボクは悪役を演じてるんだもの。こないだはジムリーダーに邪魔されて出せなかった最後の一匹さ!
ベロリンガ、"ころがる"だっ!!」
さやか「ッ!サキさん避けて!!」
シズル「無駄だよ!ベロリンガに舐められるとピリピリ痺れてくるでしょ?ドクロッグ達の気持ちでも味わってなよ!!」
ベロリンガの転がる攻撃が無抵抗のサキに襲いかかり、車に撥ねられたように突き飛ばされた。
サキ「ぎゃああ!」
さやか「サキさん!!」
シズル「あはははは!気分良いなぁもう!!ベロリンガ、ドクロッグ達に"きつけ"してやってよ、麻痺が治ったらあいつら叩くよ」
司令塔であるサキはそのまま気絶してしまい、ゼブライカもライボルトもおろおろしている。
シズルが高レベルのこの二匹を相手にできるのは、サキがダウンしている今しかないのだ。
ならば、それを決して許すわけにはいかない。
さやか「こうなったら駄目元でやるしかない……フラすけ!まずは!……フラすけ…?」
シズル「あはは!自分のポケモンに逃げられてんじゃぁ世話ないねぇ!!やっぱり砂漠で暮らしたかったんだね~、穴掘って逃げてやんの!」
さやか「嘘でしょ……フラすけ…?フラすけー!」
シズル「さてさてと、チャチャっとあいつら叩きのめしてて奪わせて貰おうかな……だからさぁ、そこどいてくんない?」
さやか「くっ……こ、こうなったら……ゼブライカにライボルト!あんたらのご主人が起きるまではここ任せたよ。あたしは……っ!」
すかさずさやかは走り出した。
目指すはシズルが座っていた場所、ボールや図鑑が置いてある岩だ。
さやか(ミジュか達がいれば、なんとかなるとわぁっ!?)ベシャッ
絶賛稼働中の左足が緊急停止を余儀なくされ、顔面から倒れこんだ。
シズル「なになに?自分のポケモンでも取りに行くつもりだったの?別に君のポケモンが何匹いても関係ないとは思うけどねぇ
でも、邪魔されるのは嫌いだからボクも邪魔させてもらうよ」
さやか「うぅっ……――っ!」
シズル「今度こそドクロッグ、ドククラゲ、ベロリンガ、奴らを叩きのめしてこいっ!」
ベロリンガが転がってライボルトに突っ込んでいき、毒々コンビはゼブライカにターゲットを絞って襲いかかる。
しかし流石はジムリーダーのポケモン、主人を守るためにうろたえることなく応戦する。
加速しているゼブライカは降り注ぐ触手をかわしつつ距離を詰め、ライボルトは電撃を打ち続け、サキにベロリンガの攻撃が及ぶのを防ぐ。
ゼブライカ「ブルルル!」グッ ドクロッグ「ウヒヒヒ」ガッ
ドククラゲの前にドクロッグが加勢し、ゼブライカもまた応戦する。
その間ドククラゲはひたすらドクロッグに水を浴びせ続けている。
シズル「ドクロッグは『かんそうはだ』だからねぇ、もたもたしてたらさっき受けたダメージもどんどん回復してくよ~ん♪」
さやか「"シェルブレード"!"バレットパンチ"!」
シズル「へ?」
弾丸の様な拳と、鋭いホタチが回復役のドククラゲの懐を抉った。
隙を突いた完璧な奇襲だった。
シズル「な、はぁ!?誰だ!どこから狙ってるんだ!?」
さやか「リオすけ"スカイアッパー"!チャモっち"にどげり"!!」
ドククラゲの触手の根元からボールが一つ転げ落ち、中からワカシャモが現れた!
すかさずリオルとワカシャモの重いアッパーと蹴りが左右の赤い玉を撃つ。
鈍い音が響き、テレキネシスが解け頭から地面に落ちたドククラゲは完全にノックダウンしてしまった。
シズル「……そうか、まぁた君か、ピクシー」
小さくなったピクシーが、ドククラゲの笠の中からひょっこりと顔を出した。
さやか「まだまだ!卑怯だと何だと言われても、あんただけはここで成敗してくれるよっ!2対5ならチャンスはあるはず――」
バルジーナ「キョエェー!」
その時、さやかの頭上から盛大な叫び声と羽ばたきが響き渡った。
さやかにとっては最悪の、シズルにとってはまさにベストのタイミングで、まどかとマラカッチを襲っていたバルジーナが帰ってきたのだ。
シズル「おっ、ようやく帰ってきたね!」
さやか「そ、そんな……まだこいつが残ってたのか…!」
ライボルト「ボァッ!」 ベロリンガ「ベベーン」
そしてさらに悪いことに、ベロリンガと交戦していたライボルトが遂に戦闘不能になった。
背後にサキを守りながらでは、実力を発揮することもできなかったのだ。
普通に戦ったなら決して負けることはなかったであろう。
シズル「よーしよーし!ライボルトもこれで終わり、あとはふらふらのゼブライカを何とかすればボクの勝ち♪
おっと、下手に動いたらボクのベロリンガがジムリーダーさんを"ふみつけ"ちゃうよぉ~?」
さやか「ど、どこまでも卑怯な奴……」
シズル「だからさぁ、何度も言ってるけど人質とかって本当は嫌いなんだよね、趣がなくってさ」ギヒヒ
まどか「だったら、すぐに開放して貰うよ」ザッ
待ちに待った声がようやくさやかの耳に届いた。
バルジーナから遅れること僅か、マラカッチと共にまどかが遂に駆けつけたのだ!
さやか「まどか!来てくれたんだね!」
タウンマップはなかったことにしてくれないか、もしくは心の目で見てくれないか
マリーレ(ルリリ→マリル→マリルリ)『ちからもち』♀☆
マミるマミるりという不吉な言葉が真っ先に思いついてしまったので
あと色違いは黄色だしバブル光線とかハイドロポンプとかマミさんっぽいなあと思って
性格はおっとり、マミさんと二人で優雅にティータイムしてるのかもね
だけど二人揃ってちょっぴり見栄っ張りだったり
まどか「お待たせさやかちゃん、リオすけのおかげでここが分かったよ」
さやか「リオすけの……そっか、ピンチの時に仲間に伝える波導だねっ!またまたナイスだリオすけ!」
シズル「ふ~ん、そうかそうか、そういえば君もいたんだったね…嫌になるくらい久しぶりだなぁ」
さやか「でもまどか……来てもらったとこ悪いけど、今は手が出せないよ。サキさんがあんな状態じゃ……」
まどか「大丈夫だよ、私に任せて……いくよカチっち!」
マラカッチ「カチチ!」
さやか「あ、その子あん時のマラカッチ?いつの間にかゲットしたんだね」
まどか「私とカチっちだけで十分だよ、さやかちゃんはみんなをボールに戻して」
さやか「…………へっ?」
ポカーンという表現は今のさやかのためにあるような言葉であろう。
文字通りの顔をしていた。
シズル「ぷっ、何それ、面白いジョークだね」
さやか「何言ってんのまどか!あたしら全員でかかっても勝てるかどうか分かんないんだよ!?」
まどか「お願いさやかちゃん、信じて」
さやか「でも……」
まどか「……」
さやか「……分かった、あんたに任せるよ」シュゥゥン
シズル「なんだいなんだい、君達揃って頭悪いんじゃないのかい?」
まどか「ありがとう、じゃあ、ちょっと目を瞑っててね」
さやか「なんでそんなこと……いいよ、ちょっとだけ任せる」スッ
シズル「言っとくけど妙な真似したら――」
バーーン
バチチチバチバチカッ
シズル「眩しっ……今度は何…?」
突然、まどかの背後から花火の様な物が打ち上がった。
夜空に火花を散らし、最後の瞬間に煌めいた後、すぐに静寂と漆黒の世界に逆戻りした。
シズル「……うん?」
そして、シズルの目の前からさやかとまどかは姿を消していた。
シズル「……なんだかよく分からないけど、逃げた…?さっきの威勢の良さは逃げるためのカモフラージュか……
まあいいや、さっさとあいつらをボールに収めようか。バルジーナ、ドクロッグ、やっちゃえ」
ほとんど動かないゼブライカに向かって、爆裂パンチとボーンラッシュが炸裂した。
やがてゆっくりと倒れ込み、サキのポケモンはこれで二匹とも戦闘不能になった。
シズル「うん、完璧だよ。まだホテルにも何匹かいるみたいだけど、連れてきた主力はこの二匹だけみたいだし、向こうは放っておこうかな
ギヒヒ、なんにしてもようやくミッションコンプリートだね♪」
シズルはポケットからボールを取り出し、ゼブライカをボールに収める。
続けてライボルトにボールを投げたところで、
パシッ
シズル「……あり?」
届く直前で見えない何かに弾かれた。
シズル「おっかしいなぁ、もう一球――」
???「その必要はないよ」
シズル「んぁ?」
???「残念だけど、あんたの負けだよ」
シズル「どっかで聞いたことある声だけど、ボクのどこが負けだって言うのかな?」
???「全部だよ」パチン
シズル「……――ッ!?!?こ、これは一体どういうことだぁぁああぁぁぁ!!!!!」
指の音とともに、シズルは真実の光景を見ることになる。
倒れているライボルトは何処にもおらず、シズルがボールを投げていたのは何の変哲もないサボテンだった。
いつの間にか気絶していたはずのサキの姿もなくなっている。
辺りにはシズルとドクロッグ、バルジーナ、気絶しているドククラゲだけだった。
シズル「そんな……で、でも、ゼブライカは確かに――!」
ボールを覗くと、そこにいるのはゼブライカではない。
戦闘不能になったシズルのベロリンガだった。
???「状況が飲み込めたかよ?」
帽子の少女が話しかける。
その背後ではまどかがサキに肩を貸し、さやかがゼブライカにモモンの実を食べさせている。
シズル「なっ…!お前は……」
さやか「残念でした、あたしらの勝ちだよ」
まどか「おかえりチャモっち、ピピっち」
サキ「すまない……助けて貰ったようだな」
シズル「カザミノの……」
帽子を脱ぐと、暗闇でも分かるほど煌めく赤。
ポニーテールと黒いリボンがよく似合っている少女がそこにいた。
シズル「カザミノの、ジムリーダーの娘…!!」
杏子「佐倉杏子だ、覚えときなガキ」
ニヤリと八重歯をちらつかせて不敵に笑う。
杏子の隣にいるのは、不気味に目を光らせるキュウコンと火花のボンボンを作り出しているプラスルである。
杏子「あたしも運がいいな……あんただけは許すつもりはなかったんでね、こんなに早く再開できて嬉しいよ」
久々の登場!
カメーレ(ゼニガメ→カメール)『げきりゅう』♀
カメックスのキャノンがティロ・フィナーレに似合ってると思ったので
性格はマミが油断してるときでも常に慎重、とはいえ今後マミが油断することはあるのだろうか
これでもかけっこが好きで、杏子のザルと会う度にかけっこ勝負をしたいと思ってるとかなんとか
403 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/23(月) 20:55:59.14 ffyrixam0 337/548一日二匹ペースにしよう
ずれてませんように…
ミルーレ(ミルタンク)『きもったま』♀
_ ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
⊂彡
性格は肝っ玉母ちゃんっぽく勇敢、食べるのが大好きなのはミルクのため
力押しもできるし器用にも攻められる、そしてみんなの回復役、まさにカーチャン
杏子「ザル"フレアドライブ"!ユキ"ふぶき"!」
杏子の叫び声で、ゴウカザルとユキメノコが飛び出し、一瞬でドクロッグは干からびバルジーナは氷漬けになった。
間髪入れずにシュバルゴが槍をシズルに突きつける。
杏子「これで完全に形勢逆転、あんたはおしまいってわけだ」
シズル「うぅっ……」
ポケモン達は全て戦闘不能、逃げようにもシュバルゴに釘付けにされ、トレーナーが四人もいるこの状況に遂に諦めたのか、シズルは大人しく座り込んだ。
サキ「ありがとう、まさか佐倉神父の娘が来てくれるとわね……クラボの実、感謝する」
杏子「気にすんな、あたし木の実なら結構持ってるからさ」
サキ「すまない……名前を言ってなかったな。知ってるかもしれないが、私は浅海サキだ」
杏子「佐倉杏子だ。覚えとけよ、いつかあんたと同じジムリーダーになる人間だからな」
サキ「ははっ…待っているよ。さて、奴を縛り上げてくるとするかな」スタスタ
まどか「さやかちゃん大丈夫だった?怪我してない?」
さやか「平気平気……ちょっと顔擦り剥いたけど、なんてことないって!それより、なんで杏子がこんなとこにいるわけ?」
杏子「そうだな、ちょっくら話してやるか」
杏子「まずは、なんであたしがここにいるのか――」
~~~~~~~~~~
マミやお前らと別れた後、あたしはずっと考えてた。
ジムリーダーになりたい。
それがあたしの目標だった。
いつだって親父はカッコよかったし、街の為に一生懸命で、優しくて……
たまに家庭を顧みない駄目親父だなんて言われたりもしたけど、そういう奴らは軒並みあたしがバトルでぶっ飛ばしてきた。
親父みたいなジムリーダーになれると思ってた、なりたかった。
でもさ、あの日分かっちまったんだよね……自分が憧れてるものがどういうものか。
中途半端な力じゃあ何一つ守れやしない。
街も。
ポケモンも。
家族すらも。
だからやり直すことにしたんだ、初めから。
ようするに修行のやり直しってやつ。
そういうもんだろ?少年漫画とかだってさ、強い敵が現れたら修行して新しい技でぶっ飛ばす……そんな感じだよ。
でも、心の中では踏ん切りがつかなかった。
心配だったんだ、家が。
モモもゆまもまた酷い目に遭うかもしれない。
お袋にも心配かけるかもしれない。
親父だってまた狙われるかもしれない。
だから迷ってた。
本当はすぐに家を飛び出して鍛え直す旅に出たかったのにな……
で、結局それから二日後を迎えたわけだが、なんかおかしいんだよね。
モモが珍しく早起きだし、お袋はせっせと弁当作ってるし、親父は庭で急にトレーニングしだすし、ゆままでうちに来る始末さ。
杏子「おはよう……なんだよみんなして、今日は朝から慌ただしいじゃん」
佐倉母「あら、起きたのね杏子!はいこれ、お弁当!」
杏子「……ん~?あたし今日はずっと家にいるつもりだけど?」
モモ「お、おねーちゃんおはよ!」
杏子「おぉモモ、今日は随分早起きしてたんだな。よく眠れたか?」
モモ「あのね!モモね!おねーちゃんのぶんまでがんばるからねっ!」
杏子「はぁ?」
ピンポーン
ゆま「キョーコ!よかった~、まだいたんだね」ホッ
杏子「ゆま!?なんだよこんな朝早くから……ははーん、怪我が治ったから早速特訓でもして貰おうってか」
ゆま「なに言ってるの!キョーコが旅に出ちゃうっていうから、ゆまお見送りに来たんだよっ!」
杏子「え……えぇっ!?誰がそんなこと言ったんだよ!あたしは一言も言ってねーぞ!」
ゆま「だって師匠が…!」
杏子「父さんが!?」
佐倉母「そうよ杏子、お父さんが杏子が旅に出たがってるから準備してあげなさいって」
杏子「ど、どういうことだおい……」
佐倉父「おや、起きたのか杏子」
杏子「父さん!いつあたしが旅に出たいなんて言ったんだよ!」
佐倉父「ははっ……なんだ、違ったのかな?この間の事件から随分考え込んでいるようだったのに」
杏子「そりゃ、鍛え直さなきゃとは思ったけど……けど!あたしはここが――」
佐倉父「ここが心配か?」
杏子「だって、またあいつが攻めてきたらどうすんだよ……そりゃあたしは、前回は足手まといだったかもしれないけど、次は大丈夫だ!もう負けねえ!」
佐倉父「……本当にそう思うのかい?」
杏子「……当たり前でしょ」
佐倉父「私はそうは思わない」
杏子「っ!」
佐倉父「杏子は確かに強い、それは私が保証する……だが、今のそれは、とても脆いものだ」
杏子「あたしが、脆い…?」
佐倉父「お前は育てるのが早いね……昔からポケモンに話を聞かせることは人一倍上手だったから、お前のポケモンはすぐに成長していくしすぐに進化していく」
杏子「それがなんだっていうのさ…悪いことじゃないでしょ!」
佐倉父「分からないかい?成長が早いということは、それだけ少ない努力しかできていないのにレベルが高くなるということだ
他のトレーナー達とはその経験量で差ができているのだよ。レベルが高いことは確かに強いが、同じレベル同士になるとその経験の差が出てくる」
杏子「なっ……」
佐倉父「中身が空洞のまま積まれたタワーなど崩すのは容易だ……だが今からでも遅くはない。杏子、修業し直してきなさい」
杏子「……」
もうびっくりだよ。
旅に出たがってることばれちゃってんの。
いろんな感情が渦巻いて正直泣きたくなったよ……
でも、頭ん中ぐちゃぐちゃでどうしようもなかったあたしの背中を押してくれたんだ。
杏子「……な、何言ってんの……父さん一人で、この街の平和守れるのかよ……」
佐倉父「ははっ、そのために年甲斐もなくこうやって特訓を再開したんだよ。流石になかなか体が付いてこないけれどね
杏子が帰ってくるまでの辛抱さ」
ゆま「ゆまも頑張って街の役に立つよ!キョーコがいない間にゆまがジムリーダーになっといてあげるからねっ!」
杏子「ばーか、お前には絶対無理だよ……なんつったって、あたしがなるんだからな」
佐倉母「杏子、何かいる物はない?」
杏子「い、いいよぉそんなの……」
佐倉母「そうだわ!庭の木の実プランター持って行きなさい!どこでも木の実が育てられるわよ」
杏子「でも、あれって母さんが使ってる奴じゃ」
佐倉母「そんなこと気にしないの。私は庭があるけれど、杏子はそうはいかないでしょ?」
杏子「……っていうか、あたしまだ返事してないんだけどな」
モモ「おねーちゃん!」
杏子「ん……なんだ、モモ?」
モモ「いってらっしゃい!」
杏子「っ……何だよ、みんなして……そんなにあたしを追い出したいのかよ……」
モモ「えぇっ?ちがうよ、おとーさんは――」
ゆま「モモちゃん!キョーコは分かってるよ」
杏子「しょ…しょうがねえから、出て行ってやるよ……その代わり、次に会うときは父さんより強くなった時だからね!覚悟しててよ親父!」
佐倉父「楽しみにしているよ杏子……いってらっしゃい」
杏子「……ありがとね…………いってきます」
~~~~~~~~~~
杏子「――で、それからできるだけ環境の厳しいとこで修業しようと思って、このイツ砂漠に来たわけ」
さやか「なるほど、それでまどかを見つけた、と」
まどか「私がカチっちとさやかちゃんを探そうとした時に杏子ちゃんから話しかけてきたの。びっくりしちゃったよ」
杏子「こっちだって驚いたさ、人が寝てんのになんか騒がしいなと思ったら見慣れた顔だったもんでな
事情を聞いたらボールやら図鑑やらが盗まれたっていうし、ちょうどリオルのSOSにも気付いたし、協力してやろうと思ったわけ。そしたら憎たらしい奴がいてさらにびっくりだよ」
さやか「あたしもこんなところであいつに会うなんて思わなかったよ」
まどか「シズルちゃんって名前だったよね。なんでこんなところに……」
サキ「杏子、こいつの拘束が終わったぞ。ポケモン達もボールに入れてやったさ」
杏子「あぁ、今行く」スタスタ
さやか「そういえばまどか、なんでマラカッチゲットしたの?」
まどか「う~ん、なんかビビっと来ちゃったからかな?」ティヒヒ
さやか「なんじゃそりゃ、フィーリングみたいなもんなのか……で、名前はカチっちだっけ?」
まどか「うん!マラカッチだから最初はマラっちにしようかと思ったんだけど、杏子ちゃんがそれはやめた方がいいって……なんでだろう?」
さやか「……うん、やめて正解だよ何て名前付けようとしてんのあんた」カァァ
まどか「?」
さやか「っていうか、杏子もよく知ってたな……あたしもだけど」
410 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/23(月) 21:22:24.27 ffyrixam0 344/548ここまで
ツボーレ(マダツボミ)『ようりょくそ』♀
まどか「マミさんがマダツボミさんになって復活した」
というスレを読もう
性格は穏やかな方、だけど喧嘩をするのが好きな一面も
進化してないのはマミさんがマダツボミを気に入ってるからという説
414 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/24(火) 23:15:30.61 bupBm9tZ0 345/548ほむほむの出番はもう少し先!しばしお待ちを
フワーレ(フワライド)『かるわざ』♀
フワライドの手?の部分がキャンデロロさんの手?っぽいかなと思った、あとリボンっぽく
色違いも黄色だしね
性格は陽気なのに人を乗せてる時は考え事が多い
マミさんの飛行要因
座り込み俯いたままこちらを見ようとしないシズルを取り囲み、サキがさっそく尋問に取り掛かろうとする。
杏子「その前に一つ確認……」
サキ「確認?」
杏子「ていっ」ビシッ
シズル「あだぁっ!!何すんのよ!」
でこピン一発、シズルのおでこにクリティカルヒット。
杏子「オッケー、どうやら本物みたいだな」
いつぞやの様に機械の偽物ということはないらしい。
正真正銘、生身のシズルだ。
サキ「…?まあいい、まずは名前を聞いておこう」
シズル「……」プイッ
杏子「シズルっつったっけ?」
サキ「ほほぅ、シズルというのか。正直年下相手にこんなイジメみたいなことはしたくないんだが、キミらが平和を脅かす輩だというのなら話は別だ」
杏子「一つづつ聞いてやる…あんたらの組織、何て名前だ?」
シズル「……」
杏子「『Wがイニシャルの謎の組織』、じゃあ呼びにくいんだよ」
シズル「っ!」ビクッ
杏子「あれ?なんだ、ご丁寧に組織のマークが入ったロボット作ってて気付かれないとでも思ってたか?」
サキ「『W』のマーク……そういえば、一度佐倉神父から連絡が来たな。そうか、お前らのことだったのか」
シズル「……」
杏子「だんまりか」
サキ「まあ、組織名などはこの際どうでもいい。質問を変えよう……お前らのボスは誰だ?」
シズル「……ねぇ、今何時か教えてくれない?」
サキ「質問に答えろ!」
シズル「教えてくれたら丁寧に教えてあげるかもしれないからさぁ」
サキ「構わん、教えてやる必要などない」
まどか「で、でも、時間ぐらいなら」オズオズ
さやか「そうですよ、別に減るもんじゃないでしょーに」
サキ「……フン、まあいい。おおよそ午前2時40分だ」
シズル「へぇ~、どうもありがとう。どうりで眠いわけだね」ファァ
サキ「お前…大概にするんだな」ギロッ
シズル「……そうだねぇ、黙秘を決め込んでどっかに連れてかれるのもやだし、少し話してあげようかな」
サキ「ようやくその気になったか…なら、まずはボスの名前を――」
シズル「待ってよ待ってよ、そういうのはメインディッシュ、あとのお楽しみにとっておいた方が盛り上がると思わない?」
サキ「ッ……お前、いい加減にしろ!」バッ
シズル「好きに話させてくれないんなら言わないよ」
サキ「どうせくだらない話をするつもりだろう」
杏子「落ち着きなよ、時間はまだあるんだ」
シズル「そうそう……そういえば、杏子っていったっけ?あれ一体どうやったの?どうしてボクはありもしない映像を見せられてたのかな?」
杏子「……どうせ言わなきゃ何も話さねえつもりだろ?」
シズル「うん♪いいじゃん、減るもんでもないのに」
杏子「花火が上がっただろ?あれはあたしのプラが体をショートさせて作った火花のでっかい奴さ。その光に紛れて、コンが"あやしいひかり"を放った
それであんたらが混乱してる間にまどか達を隠しておいて、コンが"さいみんじゅつ"を上塗りしてやったのさ」
シズル「なぁるほどね、状況が飲み込めたよ」
杏子「そう、あんたが見てたのは幻……混乱した上に"さいみんじゅつ"で見せられてた夢さ。あんたがゼブライカだと思って攻撃してたのは自分のベロリンガだったって話
まどかを行かせたのはプラが特大花火を作るまでの言ってしまえば時間稼ぎだ」
シズル「へぇ、よく分かったよ…あ~あ、油断したなぁ……」
サキ「さて、すっきりしたところでキリキリ吐いて貰おうか」
シズル「はぁ……しょうがないなぁ、なんでジムリーダーからポケモンを奪おうとしたかについて話してあげようか」
ポツリポツリと、シズルはゆっくり語り始めた。
シズル「この世には、強いポケモンと弱いポケモンが存在している。これはどうしようもない覆りそうにもない紛う事なき事実だよねぇ
さて、じゃあどうしてこんな差が生まれてしまうんだと思う?」
まどか「なんでって……一杯特訓したポケモンが強くなれるんじゃないかな?」
さやか「それに、進化したポケモンの方が強いのは当たり前というかなんというか……」
シズル「ふむ、それは確かにその通り……じゃあこういうのはどう?同じポケモン、同じ努力をして同じレベルにまで成長した二匹
一体どっちが強いと思う?」
まどか「どっちって……」
サキ「いい加減にしろ!言いたいことははっきり言え!」
シズル「せっかちだなぁ……どっちが強いか、そんなのは簡単だ。才能のある方が勝つに決まってる」
杏子「才能だと…?」
シズル「そう、才能。ポケモンごとの個体の差……同じ種族のポケモンだろうと、力にも速さにも丈夫さにも絶対に違いは出るものだよね
それがすなわち才能の差。強いトレーナーほどそういう優秀なポケモンを持ってるんじゃないかと思ってね、だから戴こうとしたの」
サキ「ところがどうだ、まんまとこうして捕まったわけだな」
シズル「真っ先に気絶してたくせに」ボソッ
サキ「う、うるさい!早く続きを話せ!」
シズル「あっそうですかぁ……まあ、ジムリーダーを襲ったのはそれだけの話だよ」
さやか「じゃあ、あのたくさんのポケモンはどういうこと?どっから連れて来たわけ?」
サキ「むっ、確かにそうだな。一体どうやった?」
シズル「……ふ~ん、そこ、聞いちゃうんじゃうんだ?」
杏子「いいから話せ、怪我したくないだろ…?あたしもあんまり手荒なことはしたくないんだ」
シュバルゴがスピアを喉元に近付ける。
ゴクリと唾を飲み込み、シズルは杏子の眼を見つめた。
杏子の目は据わっている。
何も話さなければ本当にダブルニードルの命令が放たれるだろう。
シズル「……分かったよ、別に大した話でもないんだけどね。せっかくだから話してあげるとするよ
先に結論を話しておくと、あのポケモン達は野生のポケモンなりたてなんだよ」
まどか「……どういうこと?」
シズル「簡単な話……ボクが逃がしたんだ」ニヤリ
さやか「あんたが、逃がした…?」
サキ「あんなに大量のポケモンをか…?」
シズル「そんなの、ボールに入れてれば訳ないじゃん。えーっと、フカマルにヤミカラスにタマザラシ……あとなんだっけ」
サキ「スリープにメラルバだ。全部で200近くいたポケモン……一体どこで捕まえた?」
シズル「捕まえる?そんな面倒なことボク達はしないよ」
まどか「じゃあ、一体どうやって――」
シズル「産ませるんだよ、タマゴを」
まどか「…!」ゾクッ
シズル「ポケモンの♂と♀が一緒にいるとタマゴを産むよね?巷じゃあ、何処かから持ってくるのか、みたいなこと言われてるし、実際ボクも見たことはないんだけど
まあ、便宜上産んでると言わせて貰おうかな。とにかく特別な環境下におくとポケモン達はたくさんのタマゴを産むんだ」
四人とも口をつぐみ、押し黙ってしまった。
こんな小さな子供が語っていることが、彼女たちには理解の及ばないことだと感じ始めたのだ。
シズル「ここまで言えばもう分かるかな?さっき話した才能の話……ボク達はそうやって産まれたたくさんのポケモンの中から選び抜かれた、
最高のポケモンだけを育てて自分たちのポケモンにするんだよ。他のポケモン達は用済み、いらなくなったから野生に返してあげてるだけなんだよ」
まどか「嘘……そんなの、ポケモン達が可哀相だよ……」
シズル「可哀相?弱いポケモンとして産まれてきたことがもう既に可哀相なんだから、野生に返してあげるのはせめてもの優しさだと思うけどね」
さやか「そんなの屁理屈だ!自分たちの都合だけで産ませることが最低の行為じゃないの!」
シズル「最低?いいじゃないかぁ、君だっていいポケモンを捕まえられたんだしね」ギヒヒ
さやか「!……まさか、あんたが逃がしたっていうフラすけもその中の一匹だっていうの…?」
シズル「ギヒヒヒヒ、一番じゃなかったけど親が良かったからそのナックラーもまあまあ強くなってくれるんじゃない?育て方さえ間違わなかったらさ」
パシーーン
杏子「……」
サキ「……」
さやか「……まどか」
まどか「謝って……フラすけに謝って!」
シズル「……」
まどか「フラすけだけじゃ駄目、他のポケモン達にも謝って……じゃないと私、あなたのこと絶対に許せない」
シズル「ふーん、謝って済む問題ならいくらでも謝るけどね」
まどか「シズルちゃん……シズルちゃんはこれでいいと思ってるの?」
シズル「いいよ。だってボクは強いポケモンが好きだからね。さっきも言ったけど、野生に帰って好きに生きてるんならそれでいいじゃない」
まどかが振り上げた手をすかさずさやかが制止させる。
まどか「離してさやかちゃん……私、今怒ってるの……」
さやか「まどか、気持ちは分かるけど落ち着きなって……今こいつを殴ったってしょうがないよ」
まどか「さやかちゃんは平気なの!?だって、酷いよ……こんなの、あんまりだよ……」
サキ「そうだな、もうお前らの目的は分かった…なら質問を戻させてもらう、お前らのボスは誰だ?何者だ?」
シズル「……」
サキ「答えろ!」
その時初めに異変に気が付いたのはキュウコン、そのすぐ後にプラスルだった。
ぴくぴくと耳を動かし、遠くを見つめている。
シズル「……もうすぐ三時かな?きっとそうだよね?微かに聞こえたみたいだもん」
サキ「聞こえた…?なんのことだ?」
やがて何かを察したのか、それぞれ唸り声をあげ火花を散らし、訪れる危機に備えている。
杏子「どうしたコン、プラ?何か来るのか?」
さやか「……何?」
さやかも耳を澄ませ、その異変を感じ取ろうとする。
大気が微かに揺れる。
まどか「どうしたの?」
さやか「何か聞こえる…地響きみたいな……」
サキ「お前、何か知ってるのか?」
シズル「くくっ、砂嵐じゃないの?砂漠なんだしさ♪」
杏子「いや、どうやら違うみたいだ……見ろ」
杏子が指を差した先、薄暗い月光に照らされて微かに渦巻く砂煙。
ただし砂嵐でないことはすぐに分かる。
なぜなら、砂煙のふもとで大量の光る球体がこちらに向かっているからだ。
さやか「ひっ…何あれ、人魂とか…?」
杏子「にしては小さすぎるが、この際何でもいい…お前ら、何があってもいいように備えるんだ」ボン
さやか「わ、分かった!ミジュか!リオすけ!!フラすけ!」ボボボン
まどか「……チャモっち、ピピっち、カチっち」ボボン
サキ「すまない、私のポケモン達はもう限界だ」
杏子「気にすんな、なんとかする。そん代わり、そいつは逃がすなよ」」
音が近づくにつれ空気もざわつき始める。
その正体が何なのか、次第に明らかになってきた。
ニャース's「フニャー」 チョロネコ's「ニャーン」 ペルシアン「シャー」
まどか「猫の軍団!?」
さやか「あんなにいっぱいのニャースにチョロネコ!?」
サキ「見ろ!誰かいるぞ!」
大量のニャースとチョロネコの中に、一匹だけペルシアンがいる。
その上に小さな人が立っているのが確認できた。
シズル「ステェーーシィィィーー!!!助けてくれーー!!!」
サキ「なっ!やはりお前の仲間か!」
杏子「来るぞっ!ムク!ザル!"インファイト"だ!!」
二匹が前線に飛び出し近接戦を繰り広げようとした。
――が、
ステーシー「みんな~、"ねこだまし"やっちゃってくださ~い」
ニャース「ニャッ」パシッ ムクホーク「ッ!?」ビクッ
チョロネコ「ニャッ」パシッ ゴウカザル「ッ!?」ビクッ
あっさりと止められてしまった。
杏子「なっ!?こいつ…!まだだ、バル以外突撃!」
まどか「みんなもお願い!」
さやか「行って来い!」
100を超える猫軍団にシュバルゴ以外の全ポケモンが向かっていくが、そのほとんどが猫だましで怯んでしまいその場で尻もちを突いてしまった。
猫だましは一回では収まらず、次から次へと後続のニャースとチョロネコ達に猫だましをされ続けその場に釘づけにされてしまっているのだ。
二匹を除いて――
杏子「へっ、ゴーストタイプのユキに"ねこだまし"は効かねえ!"ふぶき"で一気に凍らせるんだ!」
ステーシー「だったらニャース~、"かぎわける"を使うんですよ~」
最前線のニャースがユキメノコを隅から隅まで嗅ぎまくる。
そうして後から続いてきたニャース達がまんまと猫だましを決めていく。
さやか「へっ、『せいしんりょく』のリオすけに"ねこだまし"は効かん!自慢のフットワークを見せてやれ!」
ステーシー「あれは無理だね……ペルシアン~、"つばめがえし"だよ~」
たった一匹で奮闘を始めていたリオルだったが、善戦虚しく素早い燕返しの直撃を喰らってしまい、ドククラゲ戦のダメージも手伝ってかそのままダウンとなった。
猫軍団の進行は留まることを知らず、そして遂に、まどか達の元へ踏み込んできた。
ステーシー「頑張れチョロネコ~、"どろぼう"で奪い返すんだよ~」
サキ「くそぅ、そうはさせ――」
チョロネコ「ニャッ」バシッ サキ「ひっ!」ビクッ
ポケモン達がされたように、まどか達も猫だまし地獄の洗礼を受けることになり、結局全員尻もちを突いたまま一歩も動けなかった。
ステーシー「撤収~」
まさに嵐の様に過ぎ去った猫軍団は、まんまとシズルを奪い、そのまま夜の砂漠に消えていった。
まどか「……逃げられちゃった」
サキ「なんて子供だ、あのシズルとか言う子供よりさらに幼かったじゃないか」
杏子「ったく、選ばれたポケモンしか使わないみたいなこと言っときながら、てめぇの部下はちゃっかり大量のポケモン持ってんじゃねーか」
さやか「午前三時……ひょっとして、時間を気にしてたのって助けが来る時間だったのかな」
杏子「なるほど、三時にここで待ち合わせしてたら様子がおかしいから突撃してきたってわけか」
サキ「全員無事だったのは何よりだが、まんまとやられてしまったわけか……」
さやか「そうだ!お菓子と図鑑!」
まどか「タマゴ……」
一目散に駆けだして行ったさやかに対して、まどかの足取りは重い。
頭の中でずっとシズルの言葉がリピートしている。
『他のポケモン達は用済み、いらなくなったから野生に返してあげてるだけなんだよ』
まどか(いらないポケモン……それじゃあ、あの子達は一体何のために……)
杏子「ほら」ポカッ
まどか「あ、杏子ちゃん」
杏子「そんな顔すんなって。まどかの気持ちも分かるけど、産まれてきたもんはしょうがねぇ…大丈夫さ、ポケモンってのは見ての通り逞しいもんさ」
まどか「……そう、だね……ありがとう杏子ちゃん」テクテク
杏子「……まだ吹っ切れねーか…そりゃそうか」
サキ「暗い顔していたなあの子……普通に生活をしているトレーナーにとっては、確かにショッキングな話だからな」
杏子「強いポケモンが産まれるまでタマゴを作り続ける……馬鹿みたいな話だがどうやら現実らしいな」
425 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/24(火) 23:50:42.77 bupBm9tZ0 356/548イツ砂漠編もそろそろ佳境
メリーレ(メリープ→モココ)『せいでんき』♀
黄色い!なぜか電磁砲を使うイメージがあったのでティロ・フィナーレにぴったりだと思った
後から調べたら今は覚えられないんだよね…金銀時代の思い出のせいか
性格はきまぐれ、思い出したようにマミさんの部屋に綿毛を散らしてイタズラをするのが好きらしい
429 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/25(水) 22:30:41.46 8aLOimp60 357/548俺もまどっちに怒られます
マラカッチはやっぱりもうちょい後で…性格のこととかさやかちゃんが言ってくれるはず
ムク(ムックル→ムクバード→ムクホーク)『いかく』♀
実は入れるつもりなかったんだけど、親父が飛行使いなのを思い出したので
威嚇してくるところとかブレバとかインファとか戦闘スタイルは似てないこともないしいいかな、と
性格は意地っ張り、杏子にもそういうとこあるよね
杏子の言うことをきっちり聞く辺りとても几帳面、杏子とはちっちゃい頃からの付き合い
さやか「おぉぉ我がお菓子よ無事であったかぁぁ!!よくぞ私の腕に戻ってきた!くるしゅうないぞよー!」
ジーッ
さやか「……お、オホン……お、図鑑は無事だったか!それにまどかのタマゴも!」
まどか「さやかちゃん」
さやか「ほらまどか、あんたのタマゴも無事だよ」
まどか「うん……」
さやか「こんだけやっといて二回も任務失敗してるし、あいつもこれでちょっとは大人しくなるかな」
まどか「うん……」
さやか「……ほら、サボテン饅頭一緒に食べよ」
まどか「うん……」
包装を破り蓋を開けると、12個入りのサボテン饅頭がきちっと並べられている。
うっすら緑色なのは生地にサボテンが練り込んであるかららしい。
マラカッチの視線も気にせず、さやかはその場に腰を下ろし、ナイロンを剥がして饅頭にぱくついた。
さやか「うん、おいしいおいしい!まどかも食べなよ」
まどか「さやかちゃんは、平気なの?」
さやか「全然、フラすけがあんな奴らの為に産まれてきたなんて考えたら食事ものどを通らない自信があるね」モチモチ
まどか「……その割には怒ってないみたいだよね」
さやか「まどかがあいつ殴ってくれたからね」ゴクン
まどか「私が?」
一つ食べ終わり、二つ目に手を伸ばす。
さやか「あの時あたしもぶん殴ってやろうかと思ったの。でも子供相手だしとか思って、ちょっと迷った
そしたら神速でまどかが手を出したんだもん、びっくりしちゃって怒りが一瞬どっか行っちゃった」モチモチ
まどか「許せないよ、命を弄ぶ最低の行為だよ……」
さやか「あたしもそう思うよ。今はぶん殴っとけばよかったって思うくらい……」ゴクン
三つ目に手を出す。
まどか「あんなの、辛すぎるよ……あんまりだよ……」
さやか「今のあたしらには、なんにもできない」モチモチ
まどか「悔しいよ、さやかちゃん……」グスッ
さやか「だから絶対強くなって、あいつらをボッコボコにしてやるんだ」ゴクリ
四つ目の袋を開ける。
さやか「そうでしょ?才能がないから負けるんだとか、絶対に言わせない。フラすけが他のナックラーより劣ってたとしても、そんなの戦ってみなきゃ分かんないしね」モチモチ
まどか「それが、さやかちゃんの答え…?」
さやか「そ!あたしの意志!」ゴクン
五つ目を手に取り、まどかに向ける。
さやか「一緒に強くなろうまどか!あたしはあんたに心動かされたよ…強くなって、その感情≪きもち≫をぶつけてやろ!
まどかがあんなに怒るなんて天変地異レベルの大異変だもんね」
まどか「もう、そんなことないよぉ」クスッ
さやか「にゃはは、そうそう!まどかには笑顔がよく似合うよ!」
まどか「えへへ……ありがとうさやかちゃん……それに、さやかちゃんもやっぱり冷静じゃなかったんだなって分かって、ちょっと安心だよ」
さやか「え?そ、そうかな?これでも結構頑張って振る舞ってたんだけどなぁ……」
まどか「簡単に隠せるものじゃないんだよ」ティヒヒ
さやかの手から、サボテン饅頭を受け取った。
さやか「さて、残りはミジュかにリオすけにフラすけ、ピピっちチャモっち……カチっちも食べる?」
マラカッチ「……」ツーン
まどか「いらないみたいだね」
さやか「まあ、そらそうか……じゃ、まどかと一個ずつ――」
まどか「駄目だよ、さやかちゃんは四つも食べたんだからもういいでしょ!私が二つ貰うよ」
さやか「ちょっ、そりゃ殺生だよ!?」
まどか「夜中にこんなに食べたら太っちゃうよ?」
さやか「うっ…そ、それはまどかだって…!」
まどか「さやかちゃんよりは少ないもーん」ペリッ モチモチ
さやか「あぁ~、サボテン饅頭……いいもん、美味しかったから後でまた買うもんねーだ」ベー
杏子「話は終わったか?」
さやか「杏子、サキさん」
サキ「盗まれたものはこれで全部か。どれ、後で持ち主に返さなくちゃな」
まどか「それにしても酷いよね、ノクタス達」
さやか「それだけど、多分あいつらシズルに脅されてたんだよ。じゃなきゃおかしいよ!」
サキ「確かにな……彼らは砂漠の盗賊団などと言われはいたが、実際に盗んでいくのは食料ばかりで重大事件になることもなかった
ホテル側の人間は多少大目に見ていたようだったしな」
杏子「そりゃあれだ、客の食料が消えたら自分たちの懐が潤うからだろ」
サキ「ははっ、違いないな……まあなんにしても、ここまで騒ぎを大きくする奴らじゃなかったということさ」
サキが盗まれた食料や小物類、モンスターボール等をまとめ、まどかとさやかと三人で手分けしてホテルまで持って帰ることにした。
まどかはタマゴを大事そうに抱え、二度となくさないと心に誓う。
さやか「しっかしいつ生まれるんだろうねー、そのタマゴ」
杏子「知らないのか?図鑑でタマゴの状態が分かるんだぞ?ほら、そこのボタン使ってさ……」
まどか「え、そうなの?」ピッ
図鑑をタマゴに向け杏子に言われた通りにボタンを押すと、画面上にタマゴの状態が表示された。
「タマゴの状態」
<ときどき 動いてるみたい。 うまれるまで もう ちょっとかな?>
まどか「もうちょっと……」
さやか「ほぇー、そんなことも分かるんだ、すごいなコレ」
サキ「すまんが、その赤い機械は一体何なんだ?」
まどか「これはポケモン図鑑っていうんです。ポケモンのいろんな情報を収集できるんですよ」
サキ「ほぅ、そんな頼もしいものが」
杏子「どれどれ、どんくらい捕まえたかちょっくら見せてみなよ」ヒョイッ
さやか「こら、勝手に人の図鑑見るな!」
杏子「……どういうことだおい……お前らこの短期間でもうこんなに捕まえたのか!?」
まどか「こんなにって、まだ100匹もいってないよね?」
杏子「いやいや、あたしなんて30も捕まえてねーよ。お前らすげーな」
さやか「あんたどんだけさぼってんのよ!何のために図鑑所有者になったわけ!?」
杏子「めんどくせーんだよ」
まどか「そんなの駄目だよ、QBやマミさんに怒られちゃう」
杏子「QBとかもう何か月も顔みてねーな……」
さやか「やれやれ、あたしらが必死で旅をして図鑑を増やしているというのに」フゥ
サキ「なんだかよく分からんが、随分面白そうなことをしているんだな。旅をしているのはその図鑑の為ということか」
まどか「はい!でも、今はそれだけが目標じゃないですよ」
サキ「というと?」
さやか「グンマーリーグ挑戦!すなわち!」
まどか「強くなりたいんです……あの子達に負けないくらい、強く」
サキ「なるほど……強くなりたい、か」
杏子「いいじゃねーか、とりあえず目標を掲げるのはいいことさ」
まどか「私、この旅に出た時は強くなりたいなんてあんまり考えてませんでした。勿論憧れてはいたんですけど、所詮憧れだと思ってたんです
リーグに挑戦するとか、チャンピオンを倒すとか……そういうの、私なんかができるはずがないって、心のどこかで諦めてたんだと思います」
まどか「でも、今は違います。絶対に強くなるって決めたんです。これ以上被害が出ないように、あの子達が産まれてきた意味を無くさないように……」
まどか「これが私の感情≪きもち≫です」
さやか「……うん、それでこそまどかだ」
杏子「いいんじゃねーの?戦う理由、見つけたんだろ?なら仕方ないじゃん、後はもう、とことん突っ走るしかねぇんだからさ」
サキ「うむ……杏子、君はジムリーダーになりたいんだったな?ジムリーダーがバッジをあげる時の条件は知っているか?」
杏子「あん?馬鹿にすんなよ。ジムリーダーがバッジを渡してもいい実力だと認めたら自由にあげていいんだよな」
サキ「そういうことだな……さやか、まどか、これを」
サキが二人の手に乗せたのは、小さな金属でできたもの。
トレーナーに手渡される特別な証。
さやか「これって……ジムバッジじゃないですか!」
サキ「そう、ヒメナジムのジァッロバッジだ」
サキ「私が気絶している間も戦っていてくれたんだろう?君達なら実力も申し分ないはずだ。なんにせよ、これだけの事件解決に協力してくれたからな、そのお礼だ」
さやか「いいんですか!?」
サキ「私が認めたんだ、受け取ってくれ」
さやか「あ、ありがとうございます!」
杏子「おいおい、バトルしてこそ本当の実力が測れるってもんだろうに……まあ、サキがそういうんならいいけどさ」
さやか「やったねまどか!これでまた一歩……まどか?」
穴が開きそうなほど右手を見つめ、考え込む。
やがて結論が出たのか、左腕で抱えるタマゴに微笑みかける。
まどか「……ごめんなさいサキさん、私これ受け取れません」
さやか「ちょっ、何言ってんの!せっかくサキさんが――」
サキ「いいんださやか、いらないというのなら無理に受け取ってもらう必要はない」
まどか「本当にごめんなさい」
サキ「理由を、聞かせてもらえるか?」
まどか「チャモっちやピピっちは頑張ってくれてたのかもしれないけど、私は今回何にもしてないです。杏子ちゃんが準備する間の時間を稼いだだけ……
だから私の実力なんて全然見てもらえてないと思うんです。正々堂々バトルをして、私を認めてくれたら、その時、もう一度渡してもらえませんか?」
サキ「……分かった、ヒメナシティでいつでも待っている」
さやか「うーん、まどかが遠慮するってんならあたしも貰うのやめとこうかな……」
まどか「さやかちゃんはいいんだよ?私の分まで頑張ってくれたんだもん」
さやか「ふむ、まどかがそこまで言うならば受け取らぬは失礼だね…有難く頂戴いたします」
サキ「あぁ、そうしてくれるといい」
杏子「おっ、なんだこいつらこんなところで」
杏子が見つけたのは、砂漠の盗賊団ことノクタス達の群れだった。
サキが麻痺状態にして放置したまま、ずっと動けなかったのだ。
何匹かは自然に回復したようだが、まどか達を警戒しているのか体も空気もピリピリしているようだ。
サキ「しまった、こいつらのことを忘れていたか……杏子、悪いがクラボは余ってないか?こいつらに食べさせてやりたいんだが」
さやか「ま、こいつらに罪は……半分くらいはあったかもしれないけど、まあ無いと言っても過言ではないしね、うんうん」
サキ「どっちだ」
杏子「あたしは構わないよ。ちょっと待ってろ」ゴソゴソ
鞄と木の実プランターからクラボの実を取り出すとまとめて地面に置く。
杏子「近付いてこねーし、ここに置いときゃ勝手に取って食うだろ」
まどか「もう悪いことしちゃ駄目だよ?」
ノクタス「……」
437 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/25(水) 22:57:13.51 8aLOimp60 365/548ところで、今日からポケモンのジャパンカップのエントリーが始まったね
最近更新しすぎで書き溜めに追い付かれそう+エントリーしてきたってことでちょっとヤバいかもしれない
頑張る
ザル(ヒコザル→モウカザル→ゴウカザル)『もうか』♂
御三家で杏子に似合うやつと言えばこいつ、色々とばっちり
性格は穏やか、血気盛んな杏子とは逆の性格
でもマミさんのカメーレには負けたくない負けず嫌いのよう
440 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/26(木) 10:17:16.25 IZOTRP+50 366/548砂漠編終了間近
コン(ロコン→キュウコン)『もらいび』♂
キョウコンという駄洒落から…割とそういうのばっかり
怪しい光とか催眠術の幻っぽい技も似合ってないこともないと思って
性格は大人しい方で、猫軍団の足音に気付くほど物音に敏感
一同は再び歩み始め、ホテルへと戻ってきた。
ホテルに近づくにつれ、逃げだしてきたらしきフカマルやヤミカラス達の姿がちらほらと見受けられた。
ほとんどが岩陰に隠れ様子を窺っている。
まどか「……」
サキ「まどか、今の君にできることはない……あいつらは野生で生きていくしかないんだ」
まどか「せめて、もう少し生きやすいところだったら……」
杏子「言ったろ、あいつらは逞しいから自分らで何とかするさ。住みやすい場所に移動するなり砂漠で生きてけるように適応するなりね」
まどか「……」
エントランスではまだかまだかと主人の帰りを待っていたサキのシママとゼブライカ達が出迎えてくれた。
サキの命令通り野生のポケモン達を撃退した精鋭たちだ。
サキ「よくやってくれたみたいだな」
さやか「さっすがジムリーダーのポケモン!指揮官がいなくてもばっちりですね」
サキ「そういう訓練をしてきたからな」
やがてホテルの支配人や従業員、観光客も現れ、サキの周りに押し寄せる。
支配人「これはこれは浅海さん!ノクタス達から盗まれたものを取り返してくれたのですかな?」
サキ「あぁ、ここに」
支配人「おぉ!流石ジムリーダー!!ありがとうございます!」
サキ「だが、私一人ではない。この子達の協力もあってこそだった」
支配人「いえいえ、それも浅海さんの素晴らしい指揮があったからこそなのではないですかな?」
サキ「いや、そんなことは――」
支配人「またまた謙遜しなくてもいいですとも!ハッハッハッハ」
さやか「あれ、あたしらの頑張りは…?」ヒソヒソ
杏子「それだけジムリーダーってのは凄いし信用されてんだよ」ヒソヒソ
観光客の分の荷物が全て返され、文字通り、これでようやく肩の荷が下りた。
客「それにしてもノクタス達って酷いよね」
客「あぁ、今度見つけたら懲らしめてやる!」
まどか「っ!そんな言い方――」
サキ「まあ待て……みなさん、一つ言っておきたいことがある!今回の事件、ノクタスと野生のポケモン達が勝手に襲ってきただけに思われるが、実は違う!
この事件には黒幕がいた!ポケモン達は奴らに脅されて利用されていただけなんだ!」
支配人「なんですと?」
サキ「残念ながら黒幕の人間には逃げられてしまったが、もうこの砂漠に来ることはないだろう
だからあまりポケモン達を攻めないでやってほしい。彼らだって、生きようと必死だっただけなんだ……頼む」
客「まあ、ジムリーダーがそう言うなら……」
客「そうだな」
支配人「して、その黒幕とはいったい…?」
サキ「心配しなくても、我らジムリーダーとプレイアデスが必ず捕まえてみせる!」
支配人「……お、おう!流石ジムリーダー!素晴らしい!」
さやか「答えになってないよね?」ヒソヒソ
杏子「まあいいじゃねーか、ここでサキの信用を落とすこたぁないだろ?」ヒソヒソ
サキの言葉でほとんどの人たちはその黒幕とやらに怒りを向けることになり、「ノクタスと野生のポケモン達は被害者」という結論になったようだ。
まどか「あの、ありがとうございます」
サキ「こういうのはジムリーダーの特権さ」
その後客や従業員も自分たちの部屋へ戻り、再びまどか達だけが残った。
空はうっすらと青に変化しつつある。
杏子「じゃ、あたしは帰るとするかな」
まどか「帰るって、どこに?」
杏子「どこって、野宿してんだからテントだろうよ」
さやか「あんたねぇ……年頃の女の子が外で一人ってのはどうなのよ」
杏子「心配しなくてもムク達が追い払ってくれるから問題ないさ」ボンッ
そう言ってムクホークをボールから出し、背中に飛び乗った。
杏子「じゃあな、久々に会えて面白かったぜ!」
サキ「本当に助かったぞ杏子!次に会うときは君がジムリーダーになった時かもな!」
さやか「修行頑張れよー!」
まどか「また会おうね!」
杏子「おう!いつかあたしとタメ張れるくらいには強くなれよな!!行くぞムク」
ムクホークはぐんぐん上昇し、砂漠へと消えていった。
サキ「さて、私達も寝よう。もう朝になってしまったがな」
さやか「ですね~……もうクタクタっすよー」
その後まどか達は部屋へと戻り軽くシャワーを浴びた後、やがて催眠術でもかけられたように、再び泥のように眠りに付いた。
こうして長かったイツ砂漠事件は幕を下ろした。
~イツ砂漠~
岩陰に隠れ、大量の猫ポケモン達に囲まれている少女が二人。
ステーシー「お姉ちゃん大丈夫ですか~?」
シズル「まあね……全く、酷い目に遭ったよ……時間どおりに来てくれるとは、流石ボクの妹だね」
ステーシー「それほどでもないですよ~」テレテレ
シズル「あ~あ、マリアさんになんて報告すればいいんだ……」
ステーシー「素直にありのままを伝えるしかないですよ~」
シズル「くっそう、それもこれもぜーんぶあいつらのせいだ!今度会ったら絶対に許さない!!」
ステーシー「……にゃ?」
シズル「どうしたステー――」
一陣の風が凄まじい勢いで過ぎていった。
思わず顔を隠し、風が止むのを待って顔を上げると、
シズル「……にゃ、にゃんじゃこりゃーー!?!?」
猫ポケモン達は傷だらけでダウンしていた。
シズル「これは"かまいたち"の傷跡…?」
ステーシー「お姉ちゃんあれ!」
砂の地にゆらゆらと揺れる大きな炎と小さな炎が合わせて五つ。
変則的に揺れ動き、まるで死に誘うように近付いてくる。
シズル「なんかやばい…逃げるよステーシー!」
しかしその作戦は叶わず、いきなり体を鞭の様な物で二人まとめて縛り上げられ、完全に身動きが取れなくなってしまった。
さらに、顔をがっちりと固定され、強制的に炎を見るようにさせられる。
シズル「な、何なんだ一体……」
そっと目を閉じようとするも、やはりそれも叶わない。
???「駄目よ、あの炎を見つめなさい」
シズル「だ、誰だお前…!」
闇夜に染まる黒髪をたなびかせ、暁美ほむらが背後に立つ。
ほむら「ほら、しっかり見なさい」
無理矢理瞼を開けさせられ、碌に瞬きもできないままずっと揺れる炎を見つめる。
やがて二人とも口数少なくなり、とろんとした表情でうな垂れてしまった。
ほむら「効いたようね…揺れるシャンデラの炎が相手を催眠状態にするというのは本当だったみたいね」
髪を掻き上げ落ち着いた素振りで辺りを見回す。
ほむら「よくもまあこんなに集めたものね……いえ、産ませたんだったかしら?どっちにしても、二匹分の"かまいたち"で十分仕留められたみたいだけど」
空からアブソルを乗せたウォーグルが降り立ち、シャンデラがゆっくり近付いてくる。
二人を縛るベイリーフは蔓を緩めることなく、進化したばかりのギギギアルはほむらの後ろでくるくると歯車を回す。
ほむら(まどか達の姿が見えたから少し見守っていたらこんなことになるなんてね……結局まどかが落ちるのを助けてしまったし
本当に危なくなっていたらコイツとのバトルにも手を出そうと思ってたけど、杏子が来てくれて良かったわ)
そう、イツ砂漠の冒頭。
まどかとさやかを背後から見つめていたのも、空から落下するまどかを一瞬抱きかかえスピードを緩めたのも、このほむらである。
ほむら「さて、あなた達には聞きたいことがあるの。答えてもらえるかしら?」
こくりと頷く。
ほむら「あなた達の組織の名前は?」
シズステ「ウィッチ…だん……」
ほむら「ウィッチ団…どこかで聞いたこと――っ!そんな、ただのサーカス団じゃない……どうしてウィッチ団が……
いいわ、もう一つ聞きましょう。あなた達のボスは誰?」
シズステ「……ナハト…ワルプルギス……」
ほむら「ワルプルギスですって!?まさか、チャンピオンが組織のリーダー…?どうしてこんなことを……いいわ、質問を続けるわよ――」
その後も質問を繰り返し、ほむらはウィッチ団の目的、現状、構成メンバー、アジト、今後の活動、果ては幹部の使用ポケモンまであらゆることを聞いた。
朝日が昇りきる頃には、聞きたいことは粗方聞き終えていた。
ほむら「――なるほど、よく分かったわ。まだチャンピオンに真の目的があるらしいけれど、それは幹部にも知らされていないみたいね
さてと、どうやって催眠を解けばいいのかしら…?」
とりあえず指をパチンと鳴らしてみる。
変わらない。
ほむら「……それもそうよね。いいわ、今からこのニャースがあなた達を起こすわ。起きたらあなた達はさっきの出来事を全て忘れてしまうの。いいわね?」
こくりと頷く。
突っ伏していたニャースを抱え元気の欠片を使う。
少し回復したニャースに二人を起こすよう伝え、ほむらはベイリーフの拘束を解かせて他のポケモン達もボールに戻す。
ほむら「さて、帰るわよ。ぎあぎあ、進化して使えるようになったばかりでまた行き先が変わっちゃうかもしれないけど、お願いね」
ギギギアルは歯車を高速回転させ、体中にエネルギーを充填していく。
体から光を放ち、エネルギータンクの役割を持つ中央の赤いコアが点滅しだすと準備完了だ。
ほむら「"テレポート"!」
一瞬で光に包まれ、ほむらはイツ砂漠から姿を消した。
やがてニャースが二人を起こす。
目を覚ましたシズル達は、当然どうして猫軍団が傷ついているのか分からないが、状況を報告しないことにはアジトへ帰ることもできないので、二人は恐る恐るマリアへと報告の電話を入れたのだった。
447 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/26(木) 10:37:54.94 IZOTRP+50 373/548さやかちゃん寝返り展開?ハタシテアルノカナ?
バル(シュバルゴ)『シェルアーマー』♂
槍のイメージでスピアーと迷ったけど、オフィーリアの騎士っぽいイメージでシュバルゴに
性格は腕白、長時間シズルに槍を向けてられるほどには粘り強い
ちなみにカブルモから進化させたわけじゃなく、野生のシュバルゴを捕まえた
451 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/27(金) 23:37:36.83 lWE67ozd0 374/548シズルが出てくると長くなる法則
ユキ(ユキワラシ→ユキメノコ)『ゆきがくれ』♀
実はあまり深い理由はなくってパーティの彩り要因でありゴースト要因
個人的に道連れしてくるイメージがあるので
性格は無邪気でおっちょこちょい
BWの図鑑を読むとにレイトウコを思い浮かべるけど関係やいかに
~八日目~―ポケモンセンター―
まどかが目を覚ましたのはすでに「こんにちは」と挨拶をしてもおかしくない時間だった。
その後未だ惰眠を貪るさやかを無理矢理起こし、着替えなどの支度を済ませ荷物もまとめる。
この日のうちに砂漠を越えておかなければならないのだ。
随分と遅い朝食を食べていると、さやかが一言。
さやか「……お土産屋さんに寄っていい?」
この一言で、結局あちこち店を回り、昼食もここで食べることになり、ようやく出発できることになったのは、気温も高くなってきた午後一時過ぎだった。
サキ「やあ、もう出発かい?」
まどか「サキさん!昨日はありがとうございました」
サキ「それはこっちの台詞さ。次は何処に行くんだい?」
さやか「トキサダメシティですよ。ジム戦と、あと神那ニコっていう人に返さなきゃいけないものがあって」
サキ「なんだ、ニコを知っているのか?」
まどか「ニコをって、サキさんも知ってるんですか?」
サキ「ニコもプレイアデスの一員なんだ」
まどか「そうなんですか?」
サキ「あぁ、うちの小道具担当と言ったところか。大方、何か発明した物の試験を頼まれたんじゃないのか?」
さやか「流石サキさん、大当たりです!学習装置と癒しの鈴を組み合わせたものだとか何とか……残念ながら途中で使わなくなっちゃったんですけど」
サキ「そうなのか?まあ、ニコの腕は本物だから間違いなく完璧だったんだろうが……ニコの研究所は分かるか?」
まどか「そういえば聞いてないですね…教えて貰えますか?」
サキがさらさらっとメモ帳に住所を記し、まどかに手渡す。
これでニコを探す手掛かりができた。
サキ「ニコに会ったらよろしく言っといてくれ」
さやか「了解です!何から何までありがとうございます!」
まどか「次に会うときはヒメナジムで」
サキ「あぁ、待っているぞ」
サキに別れを告げ、二人は再び砂の大地へと足を踏み出した。
サキ「しかしジムに挑戦するというのならニコには簡単に会えるはずなんだがな……二人も知ってるはずだと思ったんだが」
―イツ砂漠―
前半よりは些か楽な道を進み次の街を目指す。
道中のポケモンはほぼ変わらないようなので、二人はひたすら歩くことだけに集中する。
荷物持ちは前日言った通りまどかが担当している。
さやか「さあさあしっかりしっかり!ゴールはすぐそこだよ!」
まどか「はぁ…はぁ……なんでそんなこと分かるの……」
さやか「ほら見てヒメナ川!あそこ越えたらトキサダメシティだよ!!」
まどか「うわぁ…大きいね」
目の前に広がるのがヒメナ川。
トキサダメ北部に位置する『つばなの湖』にも繋がっており、下流はカントー地方の海へと続いている。
稀に海のポケモンが迷い込んでくることもある珍しい川で、一部はトージョウの滝と合流しているらしい。
さやか「さあ、あの橋を越えようではないか!」
橋は自動車専用道路と歩行者専用通路に分けられ、歩行者専用にはグンマーには珍しい海のポケモンを求めて、多くの釣り人が糸を垂らしている。
橋を渡りきろうとする頃には、すっかり日が傾き、ヒメナ川は鮮やかな紅に染まっている。
まどか「みんな釣りやってるね。釣れるのかな?」
さやか「さぁね~、あたしら釣竿持ってないしね」
<あーもう!ヤカンと長靴しか釣れないよー!
まどか「ヤカンと長靴……」
さやか「今時そんなベタな……それより街がようやく見えてきたね」
まどか「だね」 ポチャン
ピクシー「!ピピッピピッ!!」グイグイ
まどか「どうしたのピピっち?何か跳ねたの?」
さやか「ん~?なんかいたっけ――」
バシャリと音を上げ、突然川からコイキングが飛び出してきた。
それはそれは黄金に輝く見事なコイキングが、夕日をバックに神々しさすら感じる勢いで跳びはねたのだ。
そのまま重力に逆らわず、金のコイキングは水面へと潜っていった。
さやか「ねえ、今のコイキングって」
まどか「うん……金色、だったよね…?」
さやか「……いやいやいやまっさか~、夕陽のせいでそう見えただけじゃ――」
???「それ本当!?」
さやか「うぉいびっくりした!」
ペラップ「スラマッパギー」
???「金のコイキングがいたって、それ本当!?」
ペラップ「ユッコハ、バカダナア」
ゆっこ「ペラっこは黙ってて!」
突然二人の元に駆け寄ってきたのは、先程ヤカンと長靴を釣り上げた少女だった。
ペラップに「ゆっこ」と呼ばれた彼女は、釣竿を抱えている以外、至って普通の少女に見える。
ゆっこ「今金のコイキングって言葉が聞こえたんですけど、ほんとにいたんですか!?」
さやか「いや、見たって言っても夕日のせいでそう見えただけかもしれないですし」
ゆっこ「もう何言ってるんですか、ここにはいるんですよ金のコイキングが!!麻衣ちゃんが言ってたんですから」
まどか「は、はぁ」
ゆっこ「よーし釣るぞー!情報ご提供感謝いたします!」ヒュッ
そのまま鼻歌交じりに糸を垂らし、じっと獲物を待つ体制に入った。
まどか「……もしかして、ほんとに金色のコイキングだったのかな?」
さやか「仮にそうだとしても、あんまりいい思い出がないからなあ」
かつてカザミノとニビの山で騙されかけたことを思い出す。
結果的にあれがニコとの出会いになったわけだが、騙されそうになったという事実は変わらない。
まどか「じゃあ、私たちもう行きますんで……」
ゆっこ「はいはーい」
ペラップ「コノカラダニモ、ダイブナレテキタゾ」
ゆっこ「何処で覚えたのそんな言葉!?」
いつまでもお喋りを続けるゆっことペラップを背に、二人は改めて橋を渡りきりトキサダメシティに足を踏み入れた。
―――――――
――――
―
ペラップ「イチジカンゴー」
ゆっこ「うっさいなー、結局ヤカンと長靴しか釣れないなんて思わないじゃん……全く、こんなことならみんなと一緒に来ればよかったよ
そしたらまだ笑えたのにさー」
ペラップ「ユルシテソーナンス」
ゆっこ「さーて、帰るとしますか」トホホ
\パシャン/
457 : VIPにかわりましてNIPPER... - 2012/04/27(金) 23:59:22.38 lWE67ozd0 379/548イツ砂漠編終了
トキサダメシティの元ネタとかみんな分かってくれてるんだろうか…
それとぎあぎあの件は完全にボケてた
許してソーナンス
プラ(プラスル)『プラス』♂
赤い電気タイプ、マイナスがいるとパワーアップでなんとなく良さそうだなと
性格は図太くて、我が物顔で物を散らかすのがたまに傷