~結衣宅~
京子「結衣~」ギュー
結衣「どうした?」
京子「抱きつきたいだけー」ギュー
結衣「……///」
京子「えへへ……」
元スレ
京子「ねぇ、結衣。一緒に死のう」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1341420799/
京子「……結衣……」
結衣「ん?」
京子「あのさ。私たちって、いつまでこうしていられるのかな」
結衣「いつまでって、そんなのずっとに決まってるだろ。なんだよ急に……」
京子「最近思うんだー。このままずっと一緒にいられるのかなって」
結衣「おい、縁起でもないことを……」
京子「だって女同士って結婚できないじゃん。同性愛とかに理解がある人ってそんなにいないし」
結衣「う……」
京子「世間体とかもあるし……」
結衣「わ、私は京子とずっと一緒にいたい!」
京子「私だって、結衣とずっと一緒にいたい……!」
結衣「……」
京子「……」
結衣「現実的に考えれば、ずっと一緒にいるのって厳しいのか……?」
京子「最近そればっかり考えちゃってさー……」
結衣「……本当に今のうちだけなのかもな。こうやって2人で一緒にいられるのって」
京子「私は、死ぬまで結衣とずっと一緒にいたいな~……」
結衣「私は、死んでも京子とずっと一緒にいたい」
京子「……本当?」
結衣「うん。あの世でも、ずっと京子のそばにいるから」ギュッ
京子「……」
結衣は京子を抱き寄せた。京子の頭を愛おしそうに撫でる。
京子「……ねぇ、結衣」
京子は結衣の首に手を回して顔を近づけた。
結衣「何?」
京子「一緒に死のう」
結衣「……え?」
京子はいつになく真剣な、どこか心細そうな表情で結衣を見上げる。京子の瞳が寂しげに光った。
京子「私、もう疲れちゃった……」
結衣「何考えてるんだ! 馬鹿なこと言うなよ……!」
京子「実はさ……昨日親にちょっと話してみたんだ。もし私が女の子好きになったらどうするって。そしたら、そんなの絶対に認めないって」
結衣「で、でも……現に愛し合ってるんだから、それぐらい説得すれば……」
京子「でも私一人っ子だし……」
結衣「あ……」
京子「それで、周りからも変な目で見られるわけでしょ?」
京子「どの道……この関係はずっと続くわけ無いんだ……」
結衣「……」
京子「そう思うと……もう辛いし、死にたい……」
結衣「……」
京子の表情は次第に暗くなっていく。
京子「ね……もし明日私が死ぬって言ったら、一緒に死んでくれる?」
結衣「京子……」
結衣は少し微笑んで、京子を抱きしめた。
結衣「いいよ」
京子「えっ……本当?」
結衣「嘘じゃない。それだけ京子のこと愛してる。京子と一緒にいられないなら、いっそ死んだほうがマシだ」
京子「嬉しい……」ギュッ
結衣「……///」ギュッ
京子「言っとくけど、本気だよ?」
結衣「分かってるよ。京子のそんな顔、初めて見た」
京子「それだけ真剣って事」
結衣「うん……」
結衣「死ぬとしたら、どうやって死のうか」
京子「とりあえず痛いのは嫌だな~」
結衣「じゃあ首吊るか」
京子「苦しいのも嫌ー」
結衣「じゃあ飛び降りでもするか。あれって飛び降りた瞬間に失神するから楽に死ねるらしい」
京子「二人ともグチャグチャになるのはもっと嫌! それに下の人にも迷惑がかかるかも……」
結衣「う~ん……」
京子「……」
京子「無難に睡眠薬にしよう」
結衣「そうだな……」
子「いつにしようかなぁ」
結衣「私はいつでもいいよ」
京子「じゃあ明日で」
結衣「いいよ」
京子「……え!? 本当にいいの?」
結衣「いいよ」
京子「な、なんかやり残した事とかは?」
結衣「……遺書は書こうと思うけど、いざ考えると特に何も無いな」
京子「そ、そうか……」
京子「いつにしようかなぁ」
結衣「私はいつでもいいよ」
京子「じゃあ明日で」
結衣「いいよ」
京子「……え!? 本当にいいの?」
結衣「いいよ」
京子「な、なんかやり残した事とかは?」
結衣「……遺書は書こうと思うけど、いざ考えると特に何も無いな」
京子「そ、そうか……」
結衣「そう言う京子は?」
京子「わ、私は……ラムレーズンを大量に食べたいなーなんて……」
結衣「じゃあ明日いっぱい買っておくよ。最後の晩餐、私もそれにする」
京子「う、うん……」
~翌日・結衣宅~
京子「ごちそうさまでした」
結衣「おそまつさま。といってもラムレーズンだけだけど」
京子「でもこんなにいっぱい食べられて幸せ……」
結衣「なら良かった」
京子「……結衣」
結衣「ん?」
京子「もう一回聞くけど、本当にいいの……? 今日で人生最後の日なんだよ?」
結衣「うん。いいよ」
京子「なんでそんなに軽いのか……」
結衣「多分、京子がそばにいてくれればいいんだ。私は」
京子「え……」
結衣「それで私は満足だから。京子が一緒にいてくれるなら、死んでも思い残す事はないよ」
京子「……」
京子「そ、そういえば私たちって、天国と地獄どっちに行くのかなぁ~?」
結衣「いつもなら、京子は地獄行きって言うところだけど……」
京子「いつもならだと!?」
結衣「2人で天国に行きたい」
京子「あ、う、うん……」
結衣「でも……なんか京子って地獄行きそう」
京子「何故だ!?」
結衣「取り立てていい子でもないし、かといって悪い子でも……ない……し……」
京子「お肩をお揉みしましょう結衣さん」モミモミ
結衣「今から間に合うか? あ、そこいい……」
そして結衣と京子は、同じ布団に並んで寝た。2人とも手には大量の睡眠薬が握られている。
結衣「遺書はちゃんと枕元に置いて……と」
京子「……」
結衣「京子はいいのか? 遺書書かなくても」
京子「わっ私はいいよ。なんか未練が残りそう」
結衣「そうか」
結衣「じゃあ、私から」ゴクッ
結衣は手のひらの睡眠薬を一気に口に含み、ペットボトルの水を飲み干した。
結衣「ん……」ドサッ
京子「どう?」
結衣「変な感じ……京子も、早く」
京子「ん……」ゴクッ
結衣「……眠くなってきた」
京子「私も……」
結衣「あっちで会おうな……」ギュッ
京子「うん……」ギュッ
2人は抱き合いながら、眠りについた。
~数時間後~
?「……」ガチャ
京子「……」ムク
京子は布団から起き上がると、飲む振りをしてポケットに隠した睡眠薬をゴミ箱に捨てた。
そして結衣の首筋に手を当てた。脈が無いことを確認し、念のため口元にも手をかざした。
?「京子……」
京子「綾乃……」
綾乃「船見さんは?」
京子「うん。もう死んでるよ」
綾乃「そう。良かったわ……」
綾乃「これでずっと一緒にいられるのね」ギュッ
綾乃は背後から京子を抱きしめた。
京子「うん。ずっと一緒だよ、綾乃……」
綾乃「京子……///」
綾乃「船見さんには悪いことをしてしまったわね」
綾乃「船見さん、絶対に別れるのを認めなさそうだもの」
京子「……」
京子(これでいい……これで私は綾乃と一緒にいられるんだ……)
京子(だけど何なんだろう。この気持ち……)
この心中は、綾乃と両想いになってしまった京子が画策したものだった。結衣との心中をそそのかし、京子自身は一緒に死ぬ振りをして生き残り、綾乃と付き合うというものだった。
しかし京子には、この計画を実行するうちに結衣に対する罪悪感が芽生えていた。
唐突な心中の提案をためらいもなく受け入れ、さらに自ら『京子がそばにいてくれればいいんだ』、『それで私は満足だから』と話した。
そんな結衣の気持ちを踏みにじり、自分は綾乃と残りの人生を謳歌しようとしている。
そんな京子の罪悪感は、結衣の死という受け入れざるを得ない現実に直面した瞬間、頂点に達した。
綾乃「2人の愛さえあれば、性別なんて関係ないわよ。これからどんな難関があっても、絶対に乗り越えて行きましょう」
京子「うん……」
綾乃「でも、船見さんもどうかしてるわね」
京子「え?」
綾乃「普通愛し合っている者同士なら、どんな事があってもずっと一緒に人生を歩んでいくって考えるじゃない?」
京子「……」
綾乃「あっさり京子と一緒に死ぬ事を選んで」
京子「……」
綾乃「ちょっとは心中に抵抗があるかと思ったのに、拍子抜けしちゃったわ。障害に立ち向かうより、逃げる事を選んだって事ね」
京子「綾乃!!」
綾乃「!?」ビクッ
京子「しょうがないじゃん! 死んでくれなきゃ私たちが困るんだし。良かったよ、結衣が受け入れてくれて」
綾乃「そ、そうよね。もうこの話はやめましょう。『船見さんの家に遊びに来た私と京子が、自殺した船見さんの遺体を見つけて通報する』設定だったわね。私は救急車を呼んでくるわ」
京子「うん……」
京子(あ、結衣の遺書、処分しなきゃ……)
京子は枕元に置いてある遺書を拾い上げた。
京子「……」ジーッ
京子(どんなことが書いてあるんだろ……?)
京子(なんだか見るのが怖い……。けど……)
京子「……」ペラッ
家族、友達、娯楽部のみんな、先生へ
私は今日、命を絶つ覚悟を決めました。理由は、今私の隣にいる歳納京子とずっと一緒にいたいからです。
私たちはどうやっても結ばれない者同士。この関係は、世間体を考えると絶たれてしまいます。京子の口からも、京子のご両親の考えを直接言われました。
だけど私は、どうしても京子と一緒にいたい。京子の温もりを感じながら、生きて行きたい。この気持ちは昔から変わりません。
京子の恋人として、逝くことを決めた次第です。先立つ不幸をお許しください。
船見結衣
京子「……あっ……ゆ、ゆい……」ジワッ
京子「うっ……うぅっ……」グスッグスッ
一通り読み終わると、それまでたまっていた罪悪感が涙となって一気にあふれた。
京子「結衣っ……」
京子「……」ダッ
綾乃「京子、救急車呼んだわよ……ってわぁっ!?」
京子は綾乃に目もくれず、一目散に台所へ駆けていった。
綾乃「き、京子?」
京子「ハァ……ハァ……」ブルブル
京子は台所にあった包丁を握り締めていた。刃の部分を首筋に当てる。手は震え、汗が止めどなく流れる。
綾乃「ちょっと、どうしたの?」
廊下から綾乃の声が聞こえる。
京子「結衣っ……結衣ぃっ……!」ガタガタガタ
その時、綾乃が台所に入ってきた。
綾乃「京子!? 何をしているの!!」
京子(綾乃……ごめん……)ドスッ
京子は包丁を自らの首筋に思い切り突き刺した。
子「あぐっ……! がはっ……!」ドサッ
京子の首から血があふれ出す。京子はそのまま床に倒れこんだ。
綾乃「きゃああああああ!!」
綾乃は持っていたハンカチで京子の血を止めようとする。しかし焼け石に水であった。
綾乃「ど、どうしよう……どうしよう……!」
京子「う……あやの……ゲホッ!」
綾乃「な、なんで!? どうしてなの京子!! せっかく一緒になれたのに……!」
京子は血まみれの手で綾乃の頬をなでる。目は潤み、涙が頬を伝う。
京子「ごめん……や……やっぱり……結衣の気持ち、裏切れない……」
綾乃「そ……そんな……」
綾乃もまた、目にいっぱい涙をためていた。
京子「ほんとにごめん……あやの、愛してる……」チュッ
京子は綾乃にキスをした。そしてふらつきながらも立ち上がり、結衣のもとへ向かう。
綾乃「嘘……嘘でしょ……? こ、これじゃ私、一体何のために……? 船見さんを殺してまで……」
綾乃「嫌……嫌……! 嫌ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
血だまりの中で、綾乃は泣き叫んだ。
京子は再び結衣の眠る布団に戻った。京子は結衣の傍らに、倒れこむように座る。
京子「ゆ……結衣……」
京子「ごめんね……いくら謝っても謝り足りないけど……」
結衣は今にも目を覚ましそうな、安らかな表情で眠っていた。
京子「昔から、私のこと……ずっと守ってくれたのに……私、迷惑ばっかりかけちゃって……」
京子「それにこんな……こんな事まで……こんなひどい、取り返しのつかないこと……うっ……!」ゲボッ
京子は血を吐き、布団にうずくまった。意識が朦朧とする。
京子「結衣……私ってバカだよね……最低だよね……いつも自分勝手で……わがままで……」
京子「許してなんてっ……言えないよね……」ポロポロ
涙が結衣の頬に落ちる。
京子「私、やっぱり悪い子だから……じ、地獄に行って……いっぱい……罰を受けるから……だから、ゆ、い……」ギュッ
京子は結衣を抱きしめ、唇にキスをした。懺悔の気持ちと、精一杯の愛情を注いで。
やがて京子は深い眠りに……
ぐしゃっ
京子「あ……」
ちなつ「うっ……ううっ……」
京子「な、何をするんだちなつちゃん……」
~娯楽部部室~
ちなつは京子の持つ紙芝居を手でまっぷたつにしていた。
ちなつ「だ、だってこんな終わり方……い、いくら何でもひどいです……」ポロポロ
あかり「うわ~ん! 2人とも死んじゃ嫌だよー!!」エーン
京子「ちょっ……な、泣くなって! たかが紙芝居じゃないか、なー結衣!」
結衣「あのなぁ……」
結衣はゆっくり立ち上がると、京子を抱きしめて覆いかぶさるように押し倒した。
京子「え。わっ!」ドサッ
結衣「……」チュッ
京子「んっ!? あぅ……」チュー
結衣「……はぁ……」
京子「いっいきなり何すっ……///」
京子は言葉が出なくなった。結衣の目には、今にもこぼれ落ちそうなほど涙がたまっていた。
京子「ゆ、結衣……?」
結衣「い、いくら作り話でも、言っていい事と悪い事がある!」ギュッ
そう言うと、結衣は京子を強く抱きしめた。
結衣「私は……私は京子と一緒に、ずっと生きて行きたい……!!///」
京子「あ……ご、ごめん……///」
結衣「だから、冗談でもあんな話はやめてくれ……///」
京子「はい……///」
ちなつ「こんな救いのない終わり方、あんまりですよぉ……」グスグス
あかり「ひっく、ひっく」グスグス
(※紙芝居のショックが尾を引いて、結衣の行動に全く気づいていないちなつ&あかり)
綾乃「歳納京子! あなたって人はまたプリントを……!」バーン
千歳「お邪魔しま~す」
京子「おわっ! 綾乃!?」
結衣「えっ!?」ギュッ
ちなつ&あかり「!!」
綾乃「ってあなたたち!? 何をしてるのはしたない!///」
千歳「!?」カシャッ
====================
京子「だめだよぉ……あかりもちなつちゃんも見てるって……///」
結衣「気にするなよ京子。見せてやろう、私たちの愛を……///」ギュッ
京子「あっ……///」ドサッ
Bed in……
====================
千歳「う~んええわぁ……///」ダー
京子「いやーごめんごめん」ハハハ
綾乃「まったく、今度という今度は罰金バッキンガムなんだから!」
結衣&ちなつ&あかり「……」ジトー
綾乃「……え?」
何とも言いようのない空気が、部室を包んでいた。
綾乃「あの……私なにか悪い事でも……?」
あかり「……はっ!? べ、別に何でもないでございますよ~……」ギクシャク
ちなつ「そ、そうですよね~……」ギクシャク
結衣「綾乃……なんかごめん。いろんな気持ちが混ざり合ってて整理がつかない」
綾乃「ええっ……な、何なのよこれ~!?」
京子「まー気にするなってー」ケラケラ
その後、綾乃はほとぼりが冷めるまで京子をのぞく娯楽部のメンバーから、会うたびに何とも言えない視線を浴びせられる事になるのだった。
はっぴーえんど
68 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/05 02:51:11.25 TrNtfjVQ0 43/45読んでくださった方、ありがとうございました~
この2人はハッピーなエンドが似合うと思います
69 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/05 02:51:56.47 X5WQcZC00 44/45綾乃ちゃんに罪は無い無いナイアガラよ!
乙
71 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/07/05 02:53:14.13 nbcpK+vF0 45/45京子がこのネタ書いたと思うとまた思うところがある
乙