QB「どうしても契約してくれないのかい」
まどか「そういうわけじゃないけど、わからないの。
ほむらちゃんがどうしてそこまで契約を許さないのか。
だから、今はできないんだ」
QB「なるほどね。
じゃ、とりあえず魔法少女になったときの練習として
テレパシーを使えるようにしてあげるよ。
ただし、その暁美ほむらとだけでね」
まどか「え? いいの?
なんだか携帯電話もらっちゃったみたい」
QB「どうせ彼女が邪魔をするんだ。
じっくりと話をすればいいよ」
・
・
・
元スレ
まどか「痛いよ……ほむらちゃん」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1317301448/
ほむホーム
夜/寝室
ほむら「……まどか。
必ず、救ってみせる……。
あのときの約束、果たすから。
絶対に、あなたを守るから」
ギシ
ほむら「ごめん……ね、ごめんね。
いつも、辛い目にあわせて。
でも、今度こそ、今度こそあなたを、
……ん」
シュル
ほむら「まどか、まど……か、
まどか……好き。
大好き……まどか……」
パサ
ほむら「ごめんね……、
きっと……きっと……ぁ……。
はぁ、まどか……まどかぁ」
ギシ……ギシ
ギシ……ギシ
ほむら「はぁ……ぁあっ。
んっ、んぁあ!
あ、やだ、そんな……とこ。
だめっ……」
クチュ……
ほむら「ぃやぁ、まどかぁ。
はぁ、はぁ、はぁ……。まど……か。
あぁっ、まどか、すきぃ、だいすきぃ」
ギッギッギシッ
ほむら「あっ、あぁっ、いや、はぁっ、
あまいの……あまいの、ここ…….
まどか、まどかあ!
ぎゅって、ぎゅって抱きしめて」」
……ヌチュ
ほむら「とけちゃう……んああ!
だめ、だめ、あっ!
もう……あっ、ああ!
すき、すき、まどかぁ」
ほむら「まどかあ、まっ、まどかあ!
あっあっあっあっあっ!
もう、もうだめ!」
ギッギッギッギッ
ほむら「まどか、いっしょに、
いっしょに、ああっあっあっ、
あっあっ……!」
ニュク……
ほむら「あっあっあっ、
んぁあっ……ふぁっ、
ぁあああああっ!」
ギッ……
ほむら「……はぁ、はぁ、はぁ。
まどか……だい……すき……」
ギシ
ほむら「はぁ、はぁ……。
ん……。ごめんね……まどか。
今度こそ、今度こそ、死なせない。
あなたを必ず救うから。
あのときの約束……果たす、から」
・
・
・
まどホーム
同時刻/自室
まどか「ほむらちゃん、私がテレパシー使えるって知ったら驚くかな。
さて、とほむらちゃんに向かって集中して。
≪ほーむらちゃ……≫」
ほむら≪とけちゃう……んああ!
だめ、だめ、あっ!≫
まどか「え、この声。
どういうこと?」
ほむら≪もう……あっ、ああ!
すき、すき、まどかぁ≫
まどか「ほ、ほむらちゃん……」
ほむら≪……はぁ、はぁ。
まどか……だい……すき……≫
まどか「……」
ほむら≪ごめんね……まどか。
今度こそ、今度こそ、死なせない。
あなたを必ず救うから。
あのときの約束……果たす、から≫
まどか「私が、死ぬ? 約束……?
私ほむらちゃんと……?」
・
・
・
学校
朝/教室
まどか「ほむらちゃん、
今日遊びにいってもいいかな」
ほむら「え?
ええ、かまわない……けれど、
どうかしたの」
まどか「ううん。大したことじゃないの。
ほむらちゃん、私のこと色々知っているみたいだし、
せっかくだから私もほむらちゃんのこと知りたくて」
ほむら「わかったわ。
大したおもてなしもできないのは許してね。
あなたのことだから、
あの美樹さやかもくるのでしょう。
なにか用意しておくわ」
まどか「ううん、さやかちゃんは上条君のところにいくって」
ほむら「意外ね。
美樹さやかは私と二人きりにさせるはずないと思ったのだけど。
わかったわ。
それじゃ、放課後」
まどか「うん、また放課後にね」
・
・
・
学校
休み時間/教室
さやか「転校生、ちょっといいかな」
ほむら「ええ」
・
・
・
学校
休み時間/屋上
さやか「あのさ、転校生。
今日まどかがあんたんとこいくんだけど」
ほむら「ええ、そうね。
あなたもくると思ったのだけど」
さやか「私はついていくと言ったの。
でも、あの子は二人で話がしたいって。
とても大事な話だって」
ほむら「……」
さやか「私はあんたを信じていない。
だけど、あの子のお願いだから聞いたの。
絶対に傷つけるようなことはしないで。
なにかあったら許さないから」
ほむら「ええ、約束するわ。
鹿目まどかを傷つけるようなことはしない」
さやか「口ではどうだか。
でも、私にはあの子を信じるしかないからさ。
明日確かめるからね」
ほむら「ご自由にどうぞ。
話は終わりね。
失礼するわ」
スタスタ
さやか「なんだよ、知った顔でさ」
・
・
・
ほむホーム
放課後・夕方
まどか「おじゃましまーす」
ほむら「遠慮なくあがって」
ほむら「今お茶入れるわ。
コーヒーしかないけれど。
適当に座っていて」
まどか「う、うん。
ありがとうね。
おうち、あんまり物ないんだね」
ほむら「そうね、必要なものしか置いてないから」
カタカタ、コト
ほむら「どうぞ、ミルクとお砂糖は好きに入れて。
それで、なにを聞きたいの」
まどか「え、えっと……」
ほむら「かまわないのよ」
まどか「いざとなると言葉が出てこないね」
ほむら「魔法少女のこととか?」
まどか「それもそうだけど、
今日はできればお友達として……かな」
ほむら「改まって言われると確かに難しいわね」
まどか「そうなんだよね、えへへ」
ほむら「思いついたままでいいわ」
まどか「んと……す、好きな食べ物とか」
ほむら「塩豆大福」
まどか「好きな色は」
ほむら「黒」
まどか「好きな教科」
ほむら「化学」
まどか「好きな曲とか」
ほむら「Holding you,and swinging」
まどか「好きな人とか」
ほむら「まd……いないわ」
まどか「……ほむらちゃん、あのね」
ほむら「なにかしら」
まどか≪聞こえる?≫
ほむら≪! どういうこと?≫
まどか「あのね、昨日QBがほむらちゃんとだけ
お話できるようにしてくれたの。
契約する気になるかもしれないからって」
ほむら「そう……」
まどか「それでね……あの、
すごく、言いづらいんだけど」
ほむら「何でも言ってくれればいいわ」
まどか「き、昨日ほむらちゃんにテレパシー送ろうとしたの。
そしたら……ほむらちゃんの声が……
聞こえてきて……」
ほむら「え?」
まどか「私の……名前、ずっと言ってた……。
あの、……一人で、……してた?」
ザッ
まどか「逃げないで!
ほむらちゃん、お話、しよ?」
ほむら「……」
ストン
まどか「ねえ、約束って、
どういうこと?
私、ほむらちゃんと約束したの?
救うって、私のことなんだよね?」
ほむら「ごめんなさい……」
まどか「お願い、言って。
ほむらちゃんのこと、信じたいから」
ほむら「……ごめ……んなさい」
まどか「私のことなんだよね?
私が知らなきゃいけないことだよ」
ほむら「スゥ……ハァ……ッ。
嫌な思いをさせたわ。
もう、あなたの前には姿を現さない。
さようなら」
ギュ
まどか「だめ!
絶対だめ!
ほむらちゃん、こっち見てよ!」
ほむら フルフルフル
まどか「ね、ほむらちゃんたくさん私に隠してる。
私のこと守ろうとして黙ってるんだよね。
私がした約束の為にほむらちゃんが苦しんでるんだよね」
ほむら「違うわ。
いいの。忘れて。
私みたいな気持ちの悪い人のこと……」
まどか「ほむらちゃん今だって辛いんでしょ。
だって昨日、泣いてたもん。
あんな悲しい声で……してた……」
ほむら「ごめんなさい……。
ごめんなさい……」フルフルフル
まどか「私、どうしてかわかるんだもん。
大事なこと私忘れちゃってる。
それでほむらちゃん困らせてるんだって。
ほむらちゃんに許してもらえないようなことしてるって。
私がほむらちゃんをとっても傷つけてるって」
ほむら フルフルフル
まどか「思い出せないけど、ずっとずっと前、
ううん、最近な気もするけど、でもまだ伝えられていないような。
変でしょ? でも、ほむらちゃんは私のこと、私より知ってる。
だから私が傷つかないように大切に想ってくれてる。
そうでしょ?」
ほむら「鹿目まどか、あなたの勘違いよ。
そんな妄想捨てなさい」
まどか「そんな言い方しないで!
だって、あれから私、ほむらちゃんのこと考えると、
すごく、グス……すごく辛い。
私……胸が痛い」
ほむら「まど……か?」
まどか「ごめんなさい、ほむらちゃん。
私のせいで傷つけて。
謝るのは私の方。ごめんなさい……ほむらちゃん。
身勝手な私の約束で苦しめて」
ほむら「違う! 私嬉しかった!
あなたに頼られて嬉しかったの!
まどかを守りたかったのは私の願いよ!」
まどか「やっと……グスン。
やっとこっち向いてくれた」
ほむら「まどか……」
まどか「ほむらちゃん……」ギュ
ほむら「あっ……」
まどか「ね、私の胸の音聞こえる?
すごく、痛いの。
きっとほむらちゃんはもっともっと痛い音で鳴ってるんだよね。
張り裂けそうに、壊れそうに」
ほむら「まどか……」
まどか「こんなに痛いなら、
私だってきっとほむらちゃんのこと思ってするよ。
だって、グスン……切ないもの、寂しいもの。
すごく……すごく痛いよ、ほむらちゃん……」
ほむら「……」
まどか「ごめんなさい、ごめんなさい。
ずっと、ずっと寂しい思いさせて。
悲しい思いさせて。私謝りきれない。
こんな痛いまま、ずっとずっとこんな私なんかの……ん!」
チュ……チュ
ほむら「……ん、はぁ。
『なんか』、じゃないわ。
私の、大事なあなたの為だからこそ耐えてこれたの。
……まどか」
まどか「ほむらちゃん……ごめんね」ポロポロ
ほむら「まどか、痛いのね?」
まどか ウン……ウン
ほむら「私が、してあげる」
まどか コクン
ほむら「ん……」
チュ……
震えるほむらの唇が優しく口付けする。
目を閉じ受け入れるまどか。
二人の胸の中にいびつな、それでいて優しいキズが生まれた。
鏡写しのせつなさ。
桃色のくちばしが互いを求め合い、慈雨を浴びるように濡れていく。
高鳴り、狂おしいほどの呼気が部屋に満ちる。
「まどか……まどか……まどか」
「ほむらちゃん……ほむらちゃん」
重なり切れない寂しさを声に変え、心を埋めた。
降り積もる雪のように絶え間なく呼び続ける声は、口付けの中にあってさえも途切れることはなく。
「んぁ……」
どちらかともなくくぐもった溜息がこぼれた。
からまる二重螺旋を描く舌が行き場のない欲情を写し、弾ける唾液の音がありあまる想いの丈を教えた。
絡まる指先。
こぼれる涙。
積層の想いを響かせ、少女たちは痛みの詩を歌う。
「もっと……」
ふいに自分の口から出た言葉に驚き、まどかは赤面する。
「ええ、いいわ」
昨晩の一人の夜を演じたベッドに、今度は二人で倒れこむ。
まどかの想いを悟るように、ほむらは上から優しく瞳で微笑んだ。
大丈夫よ、と語りかけるように。
するり、と衣擦れの音を立ててまどかの制服が乱れていく。
羞恥で震え目を閉じるまどかをほむらは優しく抱きしめた。
「ほ、むら……ちゃん」
強く抱きしめ返すまどか。
愛しさに抗うことなくほむらは口付けを繰り返す。
額に、まぶたに、鼻に、頬に、耳に、首筋に、髪の毛に。
そのすべてをまどかは胸の奥底で受け止める。
ほむらの柔らかな温もりが痛みを捉える度に、まどかは小さく小鳥のように鳴いた。
囀る声をなぞりほむらの舌がまどかの耳を愛撫する。
その間にもまどか制服の内側に滑り込んでいた。
「やぁっ、はぁっ」
まどかの桃色の声にほむらの胸もガラスの響きを立てた。
「まどか……好き」
少女の告白。
「わたしも……ほむら……ちゃっ……ん大好き……んぁあ!」
少女の回答。
わかりきっている言葉でも、聞かずにはいられない、言わずにはいられない。
痛みが、そうさせるのだ。
「あぁ!」
ほむらの指先がまどかの胸を包む。
小さなピンクの頂きを繰り返し撫で、はじく。
声に促されるようにほむらはたくしあげられた制服に顔を近づける。
待ち焦がれたかのような思いと同時に、抜け落ちてしまいそうな甘い感情が胸を打った。
「あっ、あぁ! はず、かしいよ……ほむら、ちゃん」
痛みを包む胸をほむらの舌が這い、唇が覆い、歯が沈む。
ほむらにとって愛しい肌の味は甘美に過ぎた苦味すら覚えた。
体を濡らすほむらのすべてをまどかは受け入れ、ほむらへの愛情と返す。
ほむら自身もまた、彼女の声を通して痺れるような夢を味わっていた。
心と体を締め付ける気持ちよさと苦しみの反復。
気づけば互いに生まれたままの姿となり、互いのほしいものをただ求め与える情愛の虜になっていた。
呼び合う名前が繰り返されていたさっきまでと違い、部屋には熱い吐息と塗れた音が満ちていた。
激しい愛欲の深さは、絶望にほど近いまでの悲哀とも呼ぶべき切なさの証だった。
想いも、悲しみも、痛みも、苦しみも、すべてを溶かして二人はひとつになろうとする。
「はぁっ、はぁっ、ほむらちゃんぁああ! んあ、ああっ、ああっ、はっ、ああ!」
「ま、ど……かっ! まどかっ! あっあっあっあっ、あぁあ! まどかぁあ!」
何度「好き」を伝えただろう。
何度「痛み」を感じただろう。
だが、枯れ果てていくかのような想いをいまだ満たすことはできない。
快楽が自分を包むたびに、まどかは約束の忘却を悔い涙を零す。
悦楽が心を駆け抜けるたびに、ほむらは救えぬ己の弱さを詫びる。
その相手のつらさを感じてまた、彼女たちの体は、泣いた。
「ほむら、ちゃん。もっ、う、なんか、おかしっいよ。なにっんあ! これって」
「そう、まどかっ、いっしょ、いっしょに! あぁ!」
ベッドと心を軋ませ、上り詰めていく二人。
汗と雫でぬめる体と唇を重ね、隙間なく溶かした。
押し寄せた震え。
夢中で互いの体を抱き寄せる。
全身と脳に溢れかえ砕け散るような快感とともに、意識は彼方へと押し寄せられ、二人は白く、白く、どこまでも昇りつめていった。
『あぁっ、あぁっ、ん……あぁああああぁああぁぁ!』
・
・
・
まだ収まらぬ呼気を抑えながら、二人はベッドで涙と汗で濡れた顔を見合わせた。
そして、抱きしめあい、満たされない願いに痛みを分け合った。
まどか「ほむらちゃん……ハァ、ハァ」
ほむら「まどか……グスン」
キラッ
まどか「あれ、ほむらちゃん。なにか光ってる?」
ほむら「私のソウルジェムが……」
まどか「なにかちょっとづつピンク色が混ざったみたいに……」
ピカッ
ほむら「いったい!?」
まどか「……ほむらちゃん。女神様みたいになってる!」
フワッ
ほむら「あ、そうなのね……わかった。わかったわ」ポロポロ
まどか「うん、私も感じる。
それに思い出した、大事な約束……。
ほむらちゃんの繰り返した全部……。
本当にひとつになれた。
ほむらちゃんももう泣かなくていいんだ」ポロポロ
ほむら「ええ、そうよ。
なにもかもを覆せるの」
まどか「ほ、むらちゃん……好き」
ほむら「私も大好きよ、まどか。
想いがひとつになったのね」
まどか「うふふ、両……想いだね」ポロポロ
ほむら「ええ」
まどか「でも、行っちゃうんだよね」
ほむら「すべての時間のまどかと私、
そして魔法少女を救ってくるわ。
少しだけ待たせてしまうけど、
必ず戻ってくるわね」
まどか「ううん大丈夫だよ。
ここ……胸の奥に強くほむらちゃんを感じるの。
すごく安心できるの」
ほむら「私もまどかを強く感じるわ。
それじゃ、まどか」
チュッ
ほむら「いってくるわ」
カッ
まどか「ほむらちゃん、またね」
・
・
・
いくらかの日が過ぎて
朝/登校中
さやか「転校生って結局なんだったのかしら。
急に消えちゃってさ。
マミさんがいきなり魔法少女になれなくなったって言うし、
魔女はいなくなるし、QBも消えちゃってなにがなんだか。
全部嘘だったみたい」
まどか「ふふふ。謎の美少女転校生暁美ほむらは、
世界を救う旅に出たのでしたー、なんちゃってね」
さやか「ええ? なにそれ。
っつーかまどかなにかさやかちゃんに隠してるでしょう?
白状しなさいー」
まどか「きゃー、やめてー」
さやか「やめぬわー」
ドタバタドタバタ
???「朝から騒がしいわね」
さやか「あ、転校生!」
ほむら「なにかしら、さやか」
まどか「ほ、ほ……ほむらちゃんだー!」
タタタタタッギュッ
ほむら「ごめんなさい、待たせたわね」
まどか「ううん! ずっと一緒だったからなにも怖くなかったよ!」
さやか「え、え、え、どういうこと?
あんたらなに? そういう関係?」
まどか「えへへー、
ほむらちゃんは私の大事な人だよー」
ほむら「ごめんなさい、さやか。
約束は守れなかったわ。
彼女を傷物にしてしまった、ふふふ」ファサ
まどか「///」
さやか「はぁ~?」
ほむら「さ、遅刻するわ。急ぎましょう」
まどか「うんっ!」
さやか「ちょ、ちょっと話聞かせなさいよー!」
・
・
・
・
・
QB「まさか、感情エネルギーの交換がこれほどのノイズを生むとはね。
魂を拘束していたシステムが破壊されてしまったよ。
結果鹿目まどかの因果が暁美ほむらのものになるなんてまさにイレギュラーさ。
もう暁美ほむらこそが最強の魔法少女だろう。
いや、既に少女ではないかな。
ともかく暁美ほむらを利用するしかないね。
彼女を説得すれば感情エネルギーの回収も容易になる。
ただ、これで宇宙は守られたけど、あるべき物語は壊されたんじゃないかな。
ねえ、どう思う?」
まどか「痛いよ……ほむらちゃん」 end.
66 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/09/30 00:15:49 i0WK6TRm0 29/49乙コメありがとう!
面白かったって言われるのは本当嬉しいね
SS書いてるとたまにくどい程の地の文書きたくなるんだ
感傷的なのとか叙情的な話が好きでね
マミほむで秋の夕方をのんびりするだけの話も考えてた
そういう物語の発展が無い話って需要あるのかな
あと、さやかちゃんごめんね
また考えておきます
マミ「暁美さんってば」
---------------------------------------
マミホーム
16:00頃
ほむら「……」
マミ「どうしてそういじわるするの?」
ほむら「マミがいつまでも名前で呼んでくれないからよ。
この間言ったじゃない、一緒に住むのだから名前でって。
私を怒らせて楽しい?」
マミ「楽しくなんか無いわ。
あなた怒ると怖いもの」
ほむら「じゃあ、どうして」
マミ「ずーっと本読んでて構ってくれないからよ、ほむらさん」
ほむら「ハァ……」
マミ「それで、なに読んでいるの?」
ほむら「『荊の城』よ。この間マミから借りたものよ」
マミ「あれね。ラストの台詞が私すごく好きなの」
ほむら「オチバラしたら本気で怒るわよ」
マミ「『麦の海に沈む果実』でもう懲りたわ」
ほむら「ええ、気をつけてね。
マミおっちょこちょいだから口滑らさないかいつもひやひやしてるわ」
マミ「はいはーい」
ほむら「ところで用があったんじゃなかったの?
それとも本当にただ怒らせたかっただけ」
マミ「ふふふ、そんなわけないじゃない。
あのね、ほら秋じゃない。
午後も三時過ぎると太陽がずいぶん傾いて、
寂しくなるなって」
ほむら「そうね。風ももうかなり冷たくなってきてるわ」
マミ「ええ。でも、この風に揺れるカーテンも、
その影を見るのもすごく好きなの。
そんな中にいると物悲しい日差しが胸を打つの。
なにかが過ぎていってしまうような感じがして」
ほむら「相変わらず詩的ね。
作家にでも目指せばいいじゃない」
マミ「ううん。私はダメ。
自分のための言葉でしかないもの。
そんなものは誰も望んでいないわ」
ほむら「少なくとも……」
マミ「え?」
ほむら「少なくとも、私は好きよ」
マミ「ふふふ、ありがとう」
ほむら「マミの言うとおり、この季節は感傷的ね。
気がつけば時間が過ぎていて、
どこか焦りがあるわ」
マミ「この金色のね、昼と夕方の間が私は嫌いなの。
嫌い、ではないかな。苦手。
お昼ごはん食べて、ちょっとすればもうこの日差し。
今日が過ぎていくことに怖くなる。
なにかにおいていかれているような気持ち」
ほむら「窓閉める?」
マミ「閉めないで。
寒さと、切なさ、バカみたいだけど、心地もいいの。
もう少しだけ、このままでいていいかしら。
ほむらさんは寒い?」
ほむら「そうね」スクッ
マミ「え? どこにいくの?」
ほむら「……」
スタスタスタ
パタン
スタスタスタ
フワッ
マミ「あら、毛布もってきてくれたの。
でも、一枚だけなのね」
ほむら「ええ、一人では寒いもの」
マミ「ありがとう」ギュ
ほむら「しばらくマミのいう秋を一緒に楽しみましょう。
読書は一人でしか楽しめないものね」
マミ「暖かいわ。
風が冷たいから余計に気持ちいいわ」
ほむら「……」
マミ「『銀色夏生』さんだったかしら、
一番暖かい季節は冬って言ったの」
ほむら「そうだったかしら。
私は知らないわ」
マミ「人のぬくもりや、火の温度、
そういうものが大事に感じられるからですって。
確かに今そう思えるわ。
もし、私が一人でこの夕日に立ち会っていたら、
今頃感傷的になりすぎて泣いていたと思うの。
ありがとうね、ほむらさん」
ほむら「ええ、構わないわ。
けれど……」
マミ「なにかしら?」
ほむら「こうして……」
マミ「?」
ほむら「マミはいつも私に『甘えさせて』くれる……」
マミ「あら、甘えん坊は私のほうよ?」
ほむら「いえ、今だってこうして一緒に毛布にくるまっているのも、
本当は私が望んでいたこと。
私がしたくてもできないことを、マミはさせてくれる。
本当に甘えん坊なのは私よ」
マミ「それじゃあ、お互い様でいいじゃない。
私だって自分が好きなことしかしないわ。
相性いいのよ、私たち」
ほむら「こんな素直じゃなくても?」
マミ「ほむらさんは素直よ。
自分が思っている以上にね。
うーん、もっとくっついて。
どんどん風が冷たくなってくわ」
ほむら「ええ。
風は冷たいけれど……。
マミは暖かいわ」
マミ「二人一緒だから……ね。
ちょっと横になりましょ。
もっとくっついて……」
ほむら「う、うん……」
マミ「とっても気持ちいい。
贅沢な気分よ。
さっきから夕方の悲しい気持ちを、
ほむらさんが消してくれてる。
『カタルシス』っていうのかしらね」
ほむら「そう『浄化』ね。
私も同じよ。
自分の弱さをマミが消してくれる。
安心をくれるの」
マミ「ふふふ、相性いいのね。
でも、なんだか良すぎて……スヤスヤ」
ほむら「確かに…・・・これは……スヤスヤ」
・
・
・
18:00頃
ほむら「寝てしまったわ。
真っ暗……。ねえ、マ……。
え? マミ? どこ? どこ!?」
マミ「ベランダよ。
ごめんなさい。
あれ、紫の空に、小さな茜色。
見送れるかなって」
ほむら「綺麗ね」ギュ
マミ「そんな袖掴むだけじゃ寂しいじゃない」ギュゥ
ほむら「///」
マミ「夕焼けを見すぎて胸が痛いの。
だから、ね」
ほむら「背中が温かいわ。
そう、これが暖かい季節、なのね」キュ
マミ「もう少し一緒に見ていましょう」
ほむら「ええ」
・
・
・
グゥ
ほむら「ご、ごめんなさい///」
マミ「いいのよ、もうお夕飯のお時間ですものね」
ほむら「今日どうしようかしら。
マミの当番よね」
マミ「うーん、折角午後をだらしなく過ごしたし、
お夕飯もそんな感じでどうかしら?」
ほむら「どうするの?」
マミ「コ・ン・ビ・ニ」
ほむら「本当、だらしないわね。クスクス」
マミ「さ、準備しましょ」
ほむら「ええ」
・
・
・
道路
マミ「ふふふ、あたたかいわ」
ほむら「ちょ、ちょっとくっつきすぎよ」
マミ「いいじゃない、秋を堪能してるんですもの。
ほむらさんも楽しみましょうよ」
ほむら「じ、十分楽しんでるわ。
ただ、ほら誰かきたら……」
マミ「そんなの気にしないわ」
ほむら「私が迷惑だって言えばいいのね」
マミ「やだー、マミこのままがいい~」
ほむら「マミ、あなたそういう性格だったかしら?」
マミ「だったのかもしれないわね。うふふ。
あら、もうついちゃった」
ほむら「はぁ」
コンビニ
18:30ごろ
ほむら「オムスビもうあまり残ってないわね。
サラダスパゲティにしようかしら」
マミ「だーめ、今日はこっち」
ほむら「おでん?」
マミ「おでんにソフトドリンク。
なんだかダメな感じが楽しそうじゃない」
ほむら「そして後で後悔するのよね」
マミ「ええ、そこまで楽しさよ」
ほむら「『ヤクルト』とヨーグルト買っておくわね。
被害は最小限に抑えないと」
マミ「お願いするわ。
さて、大根、こんにゃく、つくね、牛筋、たまご、
がんも、はんぺんっと」
ほむら「随分買うのね」
マミ「欲望のままに、よ」
ほむら「あ、それっと…・・・」
マミ「餅巾着ね、わかってるわよ。ふふふ」
ほむら「う///」
マミ「あ、ごめんなさい」
店員「はい、なんでしょう」
マミ「ちょっとまだ買いたいものがあるので、
これ寄せておいていただけますか」
店員「ええ、どうぞ」
マミ「恐れ入ります」
ほむら「何買うの?」
マミ「アイスクリームとスナックとジュース」
ほむら「そんなに買って大丈夫?」
マミ「今日だけ、今日だけよ」
ほむら「絶対残すからスナックはダメ。
でも、アイスはいいわ。
ハーゲンダッツクリスピーの新作見つけたから」
マミ「それで手を打ちましょう」
ほむら「飲み物はウーロン茶でいいわね」
マミ「ええ。さ、お会計よ」
・
・
・
店員「ありがとうございましたー」
マミ「冷静になるとやっぱり買いすぎたような気がするわ」
ほむら「いいじゃない、楽しむのでしょう?」
マミ「そうね。だらしなーく、いきましょう」
ほむら「ふふふ」
・
・
・
マミホーム
19:15頃
ガチャン
ほむら「ただいま」
マミ「ただいまー。
ほむらさん、準備お願い。
私コップ用意するわね」
ほむら「あとこの間借りてきたDVD持ってきてもらえるかしら」
マミ「『パンズラビリンス』ね。わかったわ」
・
・
・
マミ「目の前にはおでん、お茶、冷蔵庫にはハーゲンダッツ。
そしてこれから映画と、素敵な堕落っぷりね」
ほむら「本当、みんなが聞いたら驚くでしょうね」
マミ「うふふ、ナイショよ。
かっこいい先輩をもう少し演じていたいもの」
ほむら「ふふ、再生するわね」
・
・
上映中
・
・
マミ「がんも半分食べる?」
ほむら「いただくわ」
・
・
上映中
・
・
ほむら「一時停止するわね」
マミ「ええ、ハーゲンダッツもってくるわね。
半分に切ってくるからちょっと待ってて」
・
・
上映終了
・
・
マミ「きっと、きっと叶ったわよね」グスン
ほむら「人によって最後の解釈がわかれるわね」
22:00ごろ
浴室
マミ「うーん、寒くなってからのお風呂は本当に気持ちいいわね」
ほむら「二人で入る意味あったの?」
マミ「私が寂しくないわ」
ほむら「正直ね。
でも、二人はやっぱり楽しいわ。
けれど、これはやっぱり邪魔ね」
マミ「ちょっと鷲づかみは酷いんじゃない!」
ほむら「ただの憎悪よ」
マミ「ほむらさんの可愛くて好きよ」
ほむら「みっ、みないでよ」
マミ「見られると大きくなるって言うわ」
ほむら「そ、そうなの?」
マミ「女性ホルモンの働きが活発になるの。
とくに好きな人に見られるのがいいそうよ」
ほむら「~~~」
マミ「顔赤くしたほむらさんってほんと可愛いわ」
ペロン
ほむら「ひゃっ、犬みたいに顔舐めないでよ」
マミ「おいしそうだったから、つい。
ごめんなさいね」
ほむら「ジー。これって肩凝らない?」
マミ「私はあまりね。
姿勢とか僧帽筋を気をつけるといいって話聞いてたからそれがよかったみたい」
ほむら「悩みの一つぐらい持っていて欲しかったわ」
マミ「本気?」
ほむら「嘘よ。安心したわ。
マミの悩みは私も辛いもの」
マミ「ふふ、ありがとう。
そろそろでましょう」
ほむら「そうね」
ザバー
寝室
23:30ごろ
マミ「電気消すわね」
ほむら「ええ、お願い」
パチン
ガサゴソ
マミ「?」
ほむら「私も秋にやられたみたい。
なんだか眠りに落ちるのが怖いの」ギュウ
マミ「いいわ。抱きしめていてあげる」キュ
ほむら「あ、ありがとう///
すごく、気持ちいい」
マミ「それに、眠ってしまっても一緒にいられれば怖くはないわ。
だから、同じ夢を見ましょう。
ほむらさん、おやすみなさい。また、夢でね」
ほむら「ええ、夢で逢いましょう。
マミ、おやすみなさい……」
マミ「暁美さんってば」 end.
115 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2011/09/30 02:31:15 i0WK6TRm0 49/49こんな遅くまでお付き合い支援ありがとうございます
予想外に長くなってしまいました
遅筆ですいません
本当にこの子達可愛いなあ